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砲兵連隊

野砲及び榴弾砲を装備する砲兵連隊のみを今回は取り扱って考察してみる。


戦時中の帝国陸軍師団に付属する砲兵連隊は概ね以下の装備であった。


75mm野砲大隊×2 計24門

105mm榴弾砲大隊×1 計12門


開戦前の段階で帝国陸軍は火力の充実を目指し、以下の装備に転換を計画し、実際にそれに取りかかっている。それに伴い、主力である九〇式野砲の量産は低調となり、生産数が伸び悩むこととなる。


75mm野砲大隊×1 計12門

105mm榴弾砲大隊×2 計24門

155mm榴弾砲大隊×1 計12門


これはアメリカ陸軍の師団砲兵のそれに近いモノを目指した格好となっていた。以下はアメリカ陸軍の装備。


105mm榴弾砲大隊×3 計36門

155mm榴弾砲大隊×1 計12門


大口径砲の量産はカネもかかるし、ガントラクターの配備もしないといけないから容易なものではない。


「このはと」世界では、まずは改造三八式野砲などを機動九〇式野砲で置き換え、同様に機動九一式十糎榴弾砲の配備による師団砲兵の定数必達を目指し、同様に機動化による迅速な砲兵戦力の展開を目指すという方針が実現されている。


よって、史実のように定数割れのために代用配備などがないことで砲兵火力の標準化が達成されている。


しかし、極東赤軍の配備しているだろう砲兵戦力は76.2mm野砲、122mm榴弾砲、152mm榴弾砲の総計48-60門程度に比べると、些か火力不足が否めないと言えるだろう。


一つ考えたのは次の段階として自走砲化という可能性とその要求だ。


作中ノモンハンで自走砲の要求が生まれるフラグは立ったと思うが、師団砲兵に自走砲が必要になるのかという話。


恐らく、参謀本部や技術本部は実用化や用兵について考えるだろうが、仮に自走砲が必要と判断され開発及び実用化されたとしてだが、史実の一式砲戦車/自走砲ホニⅠの時もノモンハン事件直後から研究開発がスタートしていることから、それは自然な流れだと了解出来るだろう。


問題は、史実において、実際は35年時点において歩兵・砲兵関係者が山砲級火砲(短砲身75㎜砲)を搭載したオープントップの自走砲が提案されている。これは、高価な戦車を対戦車砲によって喪失したくないという事情が根底になるようだ。


つまり、これが二式砲戦車ホイの原点と言うことになる。ただし、ホイは自走式戦車支援砲は搭載火砲はそのままに、一般的な戦車のような密閉式の旋回砲塔を備えた形式に改められ、名称も砲戦車という名称に変化したことで誕生している。


では、ホニⅠはどうなのかと言えば、ノモンハン後に開発が始まり、仮制式となったものの制式化は塩漬けされ、中途半端な形で存在することとなった。この事情はホイの存在があり、そしてその搭載砲が焦点となっていたことになる。


ホイを制式化したのは良いけれども、山砲級火砲(短砲身75㎜砲)を搭載し、対戦車戦闘に疑問符が付いたこと、対戦車には野砲級火砲(長砲身75mm砲)が望ましいという意見が出ていたこと、これらによって開発が停滞したのだ。


その後、砲兵側は突撃砲構想を持ち出す、機甲兵側は密閉戦闘室要求を持ち出すこととなり、グダるが、機甲師団用の機動砲兵として配備が進められることとなる。


この史実の流れを考えると、「このはと」世界においても、ノモンハンの一件によって野砲級自走砲/自走対戦車砲を望む流れはやはり出来ていると思うべきだろう。


では、それをどう運用するのかという話になるが、師団砲兵の機動砲化が済んでいる時点で師団砲兵の自走砲化はそこまで重要ではないと言えるだろう。対戦車火砲の能力不足が明らかになっていることから、機甲兵の戦車の大口径化、長砲身化が望まれることは間違いなく、そこを考慮するとオープントップ式の野砲ポン付け戦車駆逐車という概念が生まれることは特に不自然では無い。


となると、アメリカ陸軍のM10/M18などの様な旋回式か、ドイツ陸軍の各突撃砲や駆逐戦車の様な固定砲台式かは兎も角、そういったものが望まれることになるだろう。


けれども、じゃあ、砲兵側が黙って野砲を差し出すかと言えば、それもまたどうなのかと思う。なぜならば、列車砲を集中運用し、それで戦略砲撃、要塞・縦深陣地の粉砕という実績を上げていることから、自走砲の集中運用・独立運用によって総軍・軍司令部の戦術の幅を広げるという可能性も秘めているからだ。その場合、機動砲の様な牽引砲では実現出来ない。


しかし、75mm級野砲でそれを行うのは威力不足であろうし、そうなれば、105mm

級軽榴弾砲や155mm級重榴弾砲でそれを試みたくなるのが人情ではないだろうか?


ホニⅠでは不足だが、一式十糎自走砲ホニⅡという存在ならばあるいは?と考えたが、史実でもホニⅠ、ホニⅡによる独立自走砲大隊が組織され、実際に運用されたが、輸送中に撃沈され全喪失し戦果を挙げることなく解体された。


であるが、ドイツ陸軍には同種の兵器がいくらでもあり、運用の参考になるだろう。105mm榴弾砲のヴェスペ、155mm榴弾砲のフンメルなどだ。105mm級なら概ね30-40発程度、155mm級なら20発程度の砲弾を搭載出来ることから、ガ島殴り込みと同様な運用を行うことも不可能ではない。尤もドイツ陸軍は一貫して装甲師団の装甲砲兵として運用しているが。

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