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第6話 カ

「うっ・・・、ここは」


 目が覚めた俺は見知らぬ場所にいた。

 ダンジョンに放置されても仕方ないと思っていたのだが、どつやら誰かに介抱(かいほう)して貰えたようだった。


 目覚めた時に真っ先目に付いたのは、俺を介抱していたのだろう、椅子に座って眠りこける【プリースト】の格好をした少女だった。


 彼女は俺たちが助けた鎧の男に襲われていた少女だ、だから助けを呼んだ後に、見つけた俺を介抱する役目を自ら引き受けたといった所か。


 辺りを見渡す、どうやらここはどこかの宿のようだ、俺が普段利用する安宿とは違いベッドは綿がつまっていて深く沈み、そして布団は軽い羽毛布団だった。


 少女の装備から推測するに、彼女が月収100万以上の上級冒険者なのは間違いないだろう。

 高価な加護を付与する指輪や魔力を底上げするネックレスを付けている事からそれなりの高レベルな事が伺えるし、彼女たちの仲間だった男もlv36のそこそこの高レベルだった。


 と、俺はそこで手っ取り早く少女が何者かを自分は知る事が出来る事を思い出した。


 スキル【真眼】、対象のステータスを可視化できるスキル。


 それを使って俺は少女のステータスを確認した。



 ▼ユリエト lv31 【プリースト】age17

 HP77/77 MP133/133

 スキル【女神の加護】【信仰B】【簡易詠唱】【治癒】


 【真眼】は高レベルの【プリースト】や【賢者】が取得出来るものであり、こうして相手の持っている能力やスキルを見る事が出来る便利なもので、【真眼】を持っているだけでも便利スキルとしてパーティーから重宝される存在になれるものだった。

 俺は部屋の鏡を使って今度は自分の情報を確認する。


 鏡で見た俺の外見は少し変化していた。

 髪は苦痛によるストレスの効果だろう白髪になっていて、痩せ型だった体は筋肉が肥大化して2倍以上になっていたし、目つきは鋭く野生味のある風貌(ふうぼう)で、端的に言えば精悍(せいかん)で逞しいイケメンになっていた。


 故に調子に乗って鏡の前でマッスルポーズなんかを取ってみたりもする。



 ▼カチワレ lv35 【繝?繝ウ繧ノ王】age16

 HP 454/552 MP222/878

 スキル【ダンジョンの加護】【魔眼】【王の手】【不死】【毒無効】【怪力】



「・・・これが、潜在能力の解放の恩恵、って事になるのか?」


 lv35に上がっているのは恐らくlv36のカインを倒した経験値のおかげだろう、タクトたちのパーティーで雑用していた時にそれなりに経験値は稼いでいたが、それでも最後に確認した時は21だったから急激なレベルアップではあった。


 そしてそれ以上にステータスがぶっ壊れていた。

 一般的に平均以上とされるlv30プリーストの6倍以上のステータスを俺は持っていた。

 HPが552もあるなら、確かにカインの斬撃を食らっても痛くないのも道理という話だろうか。


 これだけ強ければ、ソロでダンジョンの最下層に潜る事も不可能では無いだろう。


 ダンジョンはlv=適正階層とされており、そして現在の一流パーティーでも、40階層までしか到達出来ていない。


 それはダンジョンは10階層毎に、トラップ、モンスターの凶暴化、ダンジョンの迷宮化、毒による継続的なHP減少などのギミックが追加され、lvを上げるのすらも難化していくからだ。


 故に現状の都市の最高冒険者のlvも、40付近で頭打ちとなっている訳だが、だが、今の俺のステータスは恐らく50相当の強さになっている。


 lvも10から20で倍、20から30で倍という二次関数(にじかんすう)的な成長をするものであり、35で平均の6倍ならば、今の俺はおよそ平均的なlv50相当の能力があるという話である。


 確かに、高価な薬を使い命をかけた代償としては妥当なものなのかもしれない、しかし、無能力者である俺がここまでの力を得られるのは、奇跡だとしても信じられないような話だった。


「・・・職業の部分が文字化けしてるが、俺のジョブはなんなんだろうな、○○の王、冒険王とか剣王とかならこんな文字数にならないだろうし」


 取り敢えず俺は自分の一通りのステータスを確認した後、空腹でいる事に気づいて飯屋に行こうと思うが、しかしいかんせん無一文だったので、仕方なく少女、ユリエトが目覚めるのを待ち、そして見るからに金持ってそうなユリエトにたかる事にしたのであった。

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