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第3話 外れ×外れ=

「くぅ──────────ガハッ」


 薬を飲んだ俺は先ず吐血した、内臓が燃えるように内側から熱が発火していて、そして喉が焼けるに痛くて思わず噎せると、吐き出したのは己の血液だったのだ。


「痛い痛い痛い、苦しい苦しい苦しい、熱い寒い熱い寒い熱い寒い、なんだよこれ、死んだ方がマシなくらい苦しいじゃねぇか、頭がおかしくなりそうだ!!!」


 ゴブリンに殴られた痛みよりも更に凶悪な鈍痛が体を蹂躙(じゅうりん)する、内臓は内側から食いちぎられてると錯覚するくらいにズキズキとした痛みが絶え間無く傷み、そして頭痛は今すぐ頭をかち割りたくなる程の激痛が締め付けるように傷んだ。


 そんな今までに経験した事の無い痛みが俺を髪の毛からつま先まで包み込む。


 恐らく、人類史が存在する中に於いて俺以上に過酷な拷問(ごうもん)を受けた人間は他にいないのでは無いかと錯覚するくらい、その痛みは俺にとって耐え難い苦痛だった。


 痛みから逃れようと俺は必死になって、自ら髪の毛を掻きむしり、地面に頭を叩きつけて、自分で自分の首を絞めて自害を試みる。


 この時点で俺は理解していた。


 俺は「10%の外れ」を引いたのだと、だから俺は苦しんでいるのだと。


 幾度となく.何度も何度も何度も、「死」という単語が頭を埋め尽くしていく。

 死にたい死にたい死にたいと、そんな願いだけが意識を支配していく。


 しかし、それでも俺の体は踏みとどまった。


 体からほぼ致死量の血液を吐き出し、あと一歩、ほんの少しの覚悟だけで自死を選べる所で、(すんで)の所で耐えた。


 生きる事に執着していたからでは無い。


 ただ、こんな俺にとっても、クズで無価値で最底辺にいる俺にとっても。


 ──────────友達との約束は、果たさなければいけないと思ったからだ。





「はぁはぁ、うっ・・・」


 体感では永遠に等しい苦痛だったが、それは俺の体感だけの話のようであり、正気に戻った俺の目の前には、鎧の男がノロノロとした足取りで向かって来た事から、そんなに長い時間では無かった事が伺えた。


 ──────────そして、俺の目の前には、ある1つの変化があった。





 ▼カイン(狂化)lv36 HP109/123





 これは俺たちを(おそ)った目の前の男のステータスだ。

 ステータスの可視化は【真眼】系のスキルが無ければ見えないものであり、そしてスキルとは魔力に目覚めた者、能力者(ギフテッド)で無ければ扱えないものだった。


 故に俺はこの時点で、──────────理不尽な賭けに勝った事を自覚したのであった。

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