第23話 宝探し編2
俺たちは一日かけて5階層を踏破した。
41階層は毒+迷宮化。
42階層な毒+迷宮化+謎解き。
43階層は迷宮化+暗闇+謎解き。
44階層は即死罠+出口の隠蔽+lv50の門番×2という構成だったが、毒と暗闇はスキルで無効、迷宮は時間をかけて攻略、謎解きはオフリアに解いてもらってなんとか攻略し、戦闘に関しては1度も苦労する事無く攻略したのであった。
「・・・ここが45階層・・・?、まるで人間の村みたいだな」
45階層はどんな構成かと身構えていたら、そこは迷宮でも毒マップでも無い、広大な平野に石作りの家屋が連なる、これまでとは異質の空間だった。
まるで古代の遺跡のような雰囲気に俺は圧倒される。
俺たちがその遺跡の中へと足を踏み入れると、一匹のリザードマンと遭遇した。
▼リザードマン lv50 HP1020 MP201
【脱皮】【怪力】【剣術】
流石に深層の魔物だけあって手強いスペックをしていたが、普通の冒険者ならともかく、今の俺たちにとっては敵ではない。
俺が合図するまでもなく、リザードマンはオフリアの《斬裂》により速やかに処理された。
断末魔を上げる間もなく処理されたリザードマンはその場に横たわり、俺たちはその骸を放置して前に進んだ。
「ピギッ、ギュッピィエエエエエエエエエエエエエン」
と、そこで、変な鳥の鳴き声が響き渡る。
頭上を確認すると、インコのような姿をした鳥が、俺たちの頭上を旋回していた。
「・・・俺たちの居場所を知らせているのか?、面倒そうだ、逃げるぞ」
俺は鳥を《握潰》で握りつぶしてその場から速やかに離脱しようとするが、遺跡の中からはぞろぞろと魔物が現れて、俺たちは囲まれた。
リザードマンlv50 、サイクロップスlv50、ホブゴブリンlv50、ハーピィlv50、その他沢山、どうやらここは人型モンスターの巣窟であり、彼らが集団で生息する階層のようだった。
「数は全部で100体くらいか、俺1人だったらヤバかったかもな・・・」
俺の《握潰》は単体攻撃で、《合掌》はグループ攻撃ゆえに、これだけの大人数相手なら手数が足りずに圧殺されていただろう。
だが。
「どれだけ数で囲もうと無駄です!《斬裂》!《斬裂》!《斬裂》!」
ぶっ壊れチート技持ちのオフリアがいる以上、俺がオフリアの背後を守るだけで敵は為す術なく蹂躙されるしかない。
魔物達は俺たちに襲いかかろうとするものの為す術もなく、次々と首を刎ねられてみるみる数を減らしていき、瞬く間に全滅した。
「やりました!レベル50到達しました!、これでもっとお役にたてますね」
「たった2日でレベルカンストか、本当にデタラメな強さだな、・・・しかしこいつら、俺たちを脅威と認識して集団で囲んで来たな、低くても知性がある、厄介だな」
「・・・あれ、モンスタードロップがありますね、これは・・・薬?」
「・・・〝覚醒薬〟だな、まぁこいつらレベルの最上位モンスターのレアドロップなら珍しいものでは無いだろう」
覚醒薬は3個落ちていた、落としたのはどれも『ネームド』と呼ばれるモンスターに固有名詞がついた個体だったので、『ネームド』モンスターのレアドロップが覚醒薬という事になるのだろうか。
「・・・取り敢えずギミックが厄介になって来た事は間違いないし、この先は気を引き締めていこう」
普通のパーティーだったならば、間違いなくこの階層で詰んでいただろう、チートの無い一般冒険者ならば最低でもレベル50が50人単位の戦力でなければ太刀打ち出来なかった筈だ。
故に大抵のダンジョンでは、攻略組と呼ばれるような軍団がいなければ攻略が進まないのだろう。
「うっ・・・」
「どうした、大丈夫か?」
「いえ、急に頭の中に声が聞こえた気がして・・・」
「・・・覚醒して日が浅いからな、無理するな、俺も覚醒した最初の頃は「殺せ」という声が頭に響いて殺意と破壊衝動がやばかったし、精神が不安定になる副作用があるんだろう、ここいらで休憩にしよう、今飯を作る」
「・・・やったぁ!、私もうお腹ぺこぺこです、今日のごはんはなんでしょう」
「野菜たっぷりの酢豚だ、デザートには胡麻団子と烏龍茶もあるぞ」
オフリアは空元気で俺に強がってみせる、俺はそれに付き合うように応えた。
だが俺もオフリアも、この階層で言葉に出来ない強い違和感を感じていたのであった。