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アリア

はろぃ

- アリア -




女神「スイ」の出会い・救いの言葉により俺は前を向き、進むことができる。

誰も認めてくれず、卑下されることが日課だと思い込んでいた過去の自分はもういない。

たった1人でも自分の存在を認めてくれているのであれば肩書きの女神ではない。その存在は真の女神だ。


その女神からの発言によればもう1人の私(滅)がパラレルワールドに存在すると全てがなくなるらしい。それを止めれる手段を俺は持ち合わせていると言うのだ。

そして追加で「恩恵」と呼ばれる神から授かる力も受け取ることができた。

詳細を聞こうにもはぐらかされて聞けなかったが。


「さてと、とりあえずどう行動しようかな。てか説明不足すぎやしないかあの女神」


自然溢れ出る木々にぽつんと佇むその姿は迷子さながらだ。

右も左も分からず右往左往していると近くで大きな音が聞こえてきた。


「....きゃぁぁぁ!!!」


少女らしき叫び声が断末魔のように響き渡り、山彦のように呼応する。

どうも有名人が通りかったような歓喜の声ではなく、窮地に追い詰められた悲劇の叫び。

俺はとりあえずその叫び声が聞こえた地点まで急行するようにした。


体がとても軽い。

疲れもせず自分の体が自分のものではないかと錯覚してしまうほど、まさに夢のようだ。


体が軽いといっても重力が変わったわけではない。

生前に一度、経験をしたことがあるため知っているが魔素濃度が高いところにいくと魔素摂取量が上がり、エネルギー変換効率も飛躍的に向上するらしい。

その場所よりもここの魔素濃度がとても濃いので身体能力も爆発的に伸びている。


声がした発声ポイントに到着し、周囲を見渡すと薄いセミロングほどある薄い茶髪に華奢な体躯で抵抗する少女とそれを3人の男性が取り押さえて連行、拉致する現場を目撃した。


「助けてぇぇぇ!!」


少女は泣き喚き、死に物狂いで抵抗するも大の大人が3人で鳥囲っているため言葉通り、手も足も出ない。


生前もとい、ここにくる前の地ではどうしていたか分からない。

あそこにいたら俺以外の全員は敵。

手助けする義理もなく、見逃してどんな目に遭っているのかとご飯を3杯もよそっていただろう。


醜く、情けなくて、弁明の余地がない。

今の俺ならそう言える。


たしかに、俺のことを侮辱していた者たちがいたことは誤りがなく、憎み、殺したいとまで決意していた。

しかし、その侮辱していたものの中に目の前で襲われている少女はカウントされるのか?

今の俺ならはっきりと「NO」と答える。

そして、少し前の俺なら足踏みしていただろう。


実際に少女は俺が「無能」であると知らないがためにその事実が明るみになれば結果は変わるかも知れないと一抹の不安が残っているからだ。


そんな少しの不安が更なる不安を呼び込み、増大し、爆発する。

心の拠り所である存在が無かったために抱え込むことしか出来ず、これまでの生涯を孤高で貫いていた。いや、孤独に追いやられたのである。


そんな心情を解きほぐすかのように現れたのが女神と名乗る「スイ」であった。



スイは「無能」ではないと言ってくれた。

スイは「有能」だと言ってくれた。

そんな単純な言葉なのだが不思議なことに俺の心を大きく揺さぶった。


認めてくれた存在。唯一の理解者。そして、心の拠り所。

俺にとってはそれだけで、人生を賭ける最大の理由として成り立っていたのだ。


ここで逃げては俺ではない。

もう「無能」の俺ではないのだ。

ここで逃げてしまえばスイの顔に泥を塗るだけでなく、自分でも「無能」であると認めてしまうことになる。

俺は「有能」なのだ。

生涯折れることなく信念を持ち続け、そして念願叶い、女神からの太鼓判まで貰った。

「有能」は「有能」らしく、なすべきことを成らざらん。


「お兄さんがた?何してるのかな?」


「っなぁ!.....なんだよ子どもが1人かよ。おい片せ」


「はいよ」


気付かずに暴れていた少女であったが突如拘束しようとしていた男が話し始めたので何事かと話した方向へと目をやると、なんとそこにはまだ成人していない青年が1人。

ある覚悟を持って、この場に立っているようにも伺える。


「ダメ!逃げて!この人は強いの!」


「は?逃げる?....心身ともに無傷でいられる状態で逃げるのが最適だって?馬鹿だろ?」


「へ?....はぁぁぁ!!!?」


「こりゃー傑作だ!お嬢ちゃん、残念だったな。せっかくのヒーローはまさかの敵。助けに来てくれたかもと期待させてからの馬鹿とか最高だろ!っふははは!」


「助けないと俺が俺でいなくなる。俺を俺であると証明するために立ち上がる」


「.......あ?どーゆーことだよ三下?」


「つまりはそこの人を助けに来たんだよ三下」


「なんだと!?おい!やれぇ!ドルグ!」


こちらに歩み寄る男はスクラマサクスを片手に襲いかかる。

自身より遥かに大きくて屈強な男。

手には武器を持っており、自分は素手だ。

過去の自分では情けなく背中を見せて逃げ惑うかも知れなかった。

しかし、今の俺には恐怖や畏怖といったネガティブな感情は忘れ去られ、向上心や探究心といったポジティブな感情が表に出てきているのだ。


ドルグの振り払う手にはスクラマサクスが握られており、その放物線上には俺が立ち止まっている。そのままの軌道を描けば確実に刃が俺を捉え、無事では済まないだろう。


「死ねや!クソガキ!」


ドルグは勝利を確信して優越感に浸り、笑みをこぼした瞬間であった。

その一瞬の気の緩みを見逃さなかった。


ドルグのスクラマサクスの握っている手首を捻り、武器を手放させた。

そして、息つく間もなくスクラマサクスを空中でキャッチし、ドルグを斬りつけた。


「ぅぁぁ!」


赤い血潮を吹きつかせながらびくりともしなくなった。

その姿を目の当たりにしていた他の誘拐犯もどきは恐怖に怯えていた。


「おい!お前たちしっかりしやがれ!ガキに何怯えてるんだよ。...んー、だが実力があるのは確か。俺が出る」


先ほど、下に野垂れ死んでいるドルグという男に指示を出していたリーダー格的な男が前に出てくる。

やはり、この男にも手には武器が握られている。

少し変わった形?見た目をしており、量産されて作られているような武器ではないようなことだけは分かる。

形状としてはよく見る刀剣だが刀のところに宝石が内包されている。


「さっきさお兄さん何してる?って質問してたよな?答えてやるよ」


先程のドルグと呼ばれていた男とは違い、速さが尋常じゃない。

というより、一般論で速さが尋常じゃない。

走っているより、爆風で破片が飛んできているかのような感覚だ。


高い金属音が鳴り響く。

刃と刃が混じり合い、じり貧状態へともつれ込まれていく。

やはり、まだ単純な力の差が総じてあるため真っ向勝負では勝ち目が薄いだろう。


「「教育」だよガキ!」


鍔迫り合いも限界を迎え、力で弾き出される。

そして、そのまま追撃しようと相手が踏み込み、刀を振り下ろした。


が、それを寸前の所で空いている手で防ぎ、間髪入れずにスクラマサクスを逆手に持ち替える。

逆手でもつと、相手から掴まれる前に振り払って斬りつけることも可能な上に力を伝達しやすい。そのような理由もあり、ここでは逆手に持ち替えるのがリスクがもっとも少ない選択である。


「っち!いやらしいことしやがって」


男は相手との距離を取るために前蹴りを放とうと片足を上げたその時、スクラマサクスが男の地についているもう片方の足を狙って攻撃した。


「っな!」


流石の男も驚き、咄嗟にジャンプして回避を試みる。しかし、前蹴りの踏み込みをするはずであった軸足を無理やりジャンプさせたのだ。体幹は愚か体勢もぐちゃぐちゃである。


追撃はそこで飽き足らず、男の腕を掴んだまま後ろへと倒れ込み、成るがままに連れて行く。そのまま踵を相手の重心に起き、後方へと弾き出す。俗に言う「巴投げ」という技だ。


「圧縮魔弾」


起き上がり振り返りざまに「圧縮魔弾」を放つ。俺みたいな能力では殺傷性は無いが相手をノックバックさせるほどの威力は持ち合わしている。その勢いままに斬りつけて決着を付ける算段を踏んでいた。


「鎌鼬」


男が俯きながら何かをぼやいたと思ったら俺の出した「圧縮魔弾」がバンと言う音とともに消えていた。

何かおかしい?と違和感を覚えて走り出す向きを男から真横に変えた時であった。

元いた地点もとい真横にとてつもない風が通り過ぎた。そして、気が付けば擦り傷ができていた。


「ほぉ〜、たまたまでは無さそうだがよく避けたな。初見避けはお前で5人目だ」


「...どうも。よければ原理とか教えて欲しいけどね」


下を見てみると縦に一直線に地面が抉れている。どうやら相手は透明な刃らしき風を操り攻撃しているようだ。

しかし、「鍔迫り合い時などに出さなかったのが不自然である」と仮定すると何かの条件付きであることが分かる。

予備動作や特定条件の探り出し。そして技の規模などの把握をするために距離を空けて様子見をすることにした。


「どうした!?もう終わりかよ?...なら、遠慮なくこちらから行かしてもらうぜ!」


何も無い地面が急に抉れ始め、直線上にその地面の抉れが続く。

姿形、音もなく、訪れるその脅威は不可の意が多すぎて刀で受けていいか迷う。


「圧縮魔弾」


迷いながら出した答えが牽制技にしか使わないこの「圧縮魔弾」。

しかし、「圧縮魔弾」の性質上の特性を活かした戦闘スタイルとも呼べる。

「圧縮魔弾」とは魔素を風船内のガスと見立て、圧縮する。そして、飛ばしたい方向とは逆の方に魔素の流れを作ると、勢いよく流れ出る魔素のエネルギーを利用して噴射できる。

そのためには圧縮した魔素を囲う魔素の膜が必要となってくる。その膜が破けると破裂音が生じる。


バンパバンブァン!!


「高さと横幅は分かった」


先ほどの攻撃から直線上にしか飛ばせないと推測し、相手が出した直線上に圧縮魔弾を各それぞれ配備し、違う音が鳴るように設定。

その音の高さで相手の技の規模を把握した。


「だいたい高さは3メートルで横幅が30センチメートル。速度は時速150kmといったとこかな」


「...ほう、なるほど。俺は研究されていたのか」


「それに、あなたの周囲にしか発生しないのも疑問。見た感じだと貴方の周囲1メートル範囲は範囲外であると考えても良い。この結論から間合いを詰めるのが先決と判断」


横移動を繰り返しながら様子を見ていたが直線上に相手の懐に入りに向かう。

また「圧縮魔弾」を低速にして空中を浮遊させる。地面に付かないほどの空中であの攻撃をされると視覚では判断できないため聴覚を頼るしか無い。15センチ間隔で「圧縮魔弾」を放つためにだいたいの位置を把握することができる。


パン!


と、予想が的中した。

地面が抉れずに空中で音がした。その理由は空中に相手の攻撃が通っているからだ。

爆発した地点から余分に5センチほど多めの20センチ分横にサイドステップして避ける。


が、音もなく赤い血が滴る。

どうやら攻撃が少し、腕を掠めたみたいだ。

余分に避けたはずなのに相手の攻撃が腕を掠めた。

理由はわからないが結果を出すには早計だったらしい。未知な点を隠しており虚を突かれた。


「んーおかしいな?片腕は持ってけるような範囲だったのに」


「伸縮自在?それとも初めはわざと範囲を狭くしていた?...どちらにせよ見誤った代償分は変えさしてもらう」


「何を...種がわからないことは自分でも分かってるんだろうが!そんなお前に何ができんだよ!」


激昂に身を任せ、正常な判断も出来ないぐらいに落ち着きを無くした男。

冷静さの欠如が顕著に現れ、思わず口角が吊り上がってしまう。


再び地面が抉れ始め、相手の男の攻撃が再開したことを知らせてくれた。

すると、その攻撃の背後に身を投じてこちらに接近を図ってきた。

男は速めにケリをつけたいらしい。ケリをつけないと行けない何らかの理由があるらしい。

そうでなければ、自分の有利な戦術を捨ててまでこちらに接近するメリットがない。

しかし、そう考えさして誘われているといった考えも無きにしも非ずとも言える。


結論から先に述べるとこの行動はこちらからしたら喉から手が出るほどに待ち望んでいた展開であった。


恐らく、相手はこれまでの行動パターンから俺が「見えない攻撃」と武器を対峙させたくないと踏んでいる。そうするように仕組んでいたと言うと半分嘘になるが真実を言うと受け止め切れるのかが懸念点の一つとしてあった。

しかし、その懸念点もついさっき解消したためにもう恐れることはない。


俺は堂々と男の攻撃を正面で受け止める。


キン!


甲高い音とともに地面の抉れは無くなり、同時に攻撃を防いだことの証明にもなった。

すぐ両横でとんでもない風圧を肌で感じ、その余波で髪や服が捲れ上がる。

これは刃を交えないと踏んでの攻撃を置いていたのが仇になった。


「っな!」


相手が驚いたその瞬間を見逃さなかった。

俺は手に持つスクラマサクスを男へと勢いよく投げつける。


「これでやれると思ってんのかよ!」


それをごく平然に自ら持つ武器で難なくあしらう。

しかし、男は気が付かなかったのだろう。

その無謀とも言える攻撃が罠であることを、


バン!


腕周辺で小さな爆発が起きたとも思えるほどに規模が可愛い攻撃。

しかし、奇襲には最適化ともいえるほどに武器を取り上げる程度の威力を発揮する。

二重構造の高密度に圧縮した魔素をまず外膜を開けて斜め前へ噴射する。距離に応じて計算した魔素量が尽きれば次の内膜の穴を開けて魔素の流れを形成する。それにより、魔素の流れ方向へとベクトルが変換してあたかも真横から奇襲されたのかと錯覚する「圧縮魔弾」の応用的な使い方だ。

男が武器で俺の攻撃をあしらうことは確信づいていたからそこの軌道上に「圧縮魔弾」をのせるだけでいい。


武器を取り上げることに成功し、相手は余裕が一切なく、動揺で混乱している今がチャンスだ。

一気に距離を詰めて、この争いを終着しようとしたが、


「これで終わるわけないだろうがよ!」


男は懐から刃渡り15cmのペティナイフを取り出し、胸に向けて突き刺そうとしてきた。

まさか誘い込まれていたとは考えにも及ばなかった。いや、誘い込むと言うより最後の手段の方が正解だろう。

俺が武器を手放して接近することを読み、行き当たりばったりではない用意周到に計画された作戦。


その最後の足掻きを待っていた。


「とった!」


俺は武器を持つ手首を右手で内側へと捻り、同時に肘窩も曲げて刃先を持ち主本人へと向ける。そして、そのまま手首を前へと押し出すとペティナイフは男の胸へと一直線に刺さる。


窮地に追いやられ、正常な判断ができない時が1番油断しやすいためこの絶好の機会を待っていた。


しかし、浅い。

刃の先端が胸に刺さった程度であり、致命傷とはいかない。

やはり、力の差がはっきりとしているため最終的に押さえ込まれた。


「...あっぶね。ドルグを失い、深傷ではないが傷をつけられた上に時間がかかり過ぎだ。応援が来られちゃ被害が大きくなる.....マイナスになるか」


「何を言ってる?」


「これ以上は付き合えれないってことだよ。.....おいアル!ヤイン!ここからずらかるぞ!」


男は武器を手放して自らに向けていた武器を無くす。そして、反対の拳でレンに向けて正拳突きをお見舞いする。

それをバックステップして回避する。


「逃がすと....いや、今は人命優先するか」


「話がわかってるじゃないか。名前を聞いておこうかな。名前はなんて言う?」


「俺はレン。...ファミリーネームは無い」


「紋無しだと!?世間は広いな。俺はカリア。ファミリーネームはあるが話せん。まぁまた今度に会えた機会にでも決着を付けようか?それまで生きとけよ?」


カリアや他のメンバーの足元から白い煙がモクモクと上がってきた。

その煙が全身を覆い、姿形が見えなくなり煙が晴れたときにはその場には誰もいなくなっていた。

原理は不明だが撤退してくれたことには間違いない。


「さてと、もう大丈夫だよ」


「あ!ありがとうございます」


彼女は未だに恐怖に怯えているはずだが助けてくれたその恩義に報いるために恐怖心を悟られないように平常に接しようとしてくれている。しかし、そんな脳を騙しての演技は騙しきれない恐怖が溢れ、手足が微細に揺れている。


「...名前はレン。君は?」


「私はアリア。アリア・ミリアドット」


恐怖に打ち勝とうと綺麗な薄い茶色い髪を払い、自を誇示する。

真紅のように真っ赤で好戦的な瞳は真っ直ぐこちらを睨み、少女の幼い体躯で堂々と胸を張る。


「アリア。俺のことを「信用しろ」とは言わないが「信用できる存在」が現れるまでは俺のことを信用してくれ。君を安全に家に届けるから」


「助けてくれたことには感謝しています。けど、何が目的なのですか?一歩間違えれば貴方はあの人たちに殺されていた。それなのにも関わらず私を助けたメリットが考え付かない。どこの第三勢力ですか?」


「女性には優しくしろがモットーなので」


「は!!???そんな嘘誰が信じると思ってるのですか!」


「....それなら本当のことを言うが俺とお前は環境は違うが境遇は似てるんだよ。言わば根っこの部分は俺とアリアは一緒なんだよ」


「...っふふ、なにそれ///」


全くの見当違いの回答にポカーンと立ち尽くすしか無かったアリア。そして、悪意の感情が全く見受けられないので張り詰めていた緊張感が一気に解けて笑顔が溢れる。


「まぁ、そうやって笑顔が見れて良かったよ」


「っな!勘違いするから言い方変えた方がよろしいですよ?」


「事実なのに?思った通り、笑顔が1番素敵だ」


「ァァァ///...もういいです!護衛してくれるなら速く行きましょ!」


歯が浮くような台詞をこうもあっさりとこの人は。狙っていっているような感覚もないし、素で発言しているのだろう。どうしてこんな臭い台詞を何気なく発すことができるのか。


その謎を胸に抱き、帰路へと着く。

あんなにも隠すことができなくて漏れていて恐怖心は無くなり、何故か両親に囲まれるような安心感と両親に抱く信頼感。何故かは分からないがその2つの感情をレンにアリアは向けていた。

自分でも気が付かなかったのだがいつのまにか信用してしまっていたらしい。

アリアはレンの背中を見ながら微笑ましく、笑みを浮かべた。






商業都市リーリャカンスの最大ギルドと呼ばれる「ミリアドット」そこの応接間の1部屋で5人の偉人候補と七聖剣の1人が対談していた。

全員、変わった武器を帯刀し、戦争前夜とも思える顔つきだ。


「これより作戦を開始する!捜索範囲をB範囲からCまで拡張。敵と遭遇するも「アリア」の救出を優先。深追いは決してするな。それと魔導武器の使用を解除する。本作戦はランクA相当の任務と推定する。後は現場の判断に任せる。以上だ」


整えられたいかした髭に葉巻をふかしながら知的あふれる眼鏡の奥にアリアに似た真紅の瞳。髪は薄く短い金髪。中肉中背でありながら七聖剣の1人として数えられるほどの実力者。


「よし、アリアちゃんを助けに行くか」


隣に座る脳筋そうな男が声を上げる。


「リーダー。すっ飛ばしていかないでくださいよ。あんたが本気になると誰も追いつけないんだから」


奥に座る眼鏡の大人しそうな人が笑いながら語りかける。


「馬鹿かね?10分の1しか出してないのに何言ってんだよ」


「「界雷のギルマス」に何言っても無駄だよ。なんせ雷の速さだからね」


次は奥の隣の少年っぽいまだ子供の人が陽気に答える。


「さすが七聖剣の1人よね」


その隣に座る、妖艶かつ洗練された美しさを持つ女性。


「.....」


最後の1人は会話には一切、参加しようとはせずに黙って一点を深く見つめる。


「つべこべ言う暇あるならアリアを探せ!少しの情報でも逃すなよ!」


「「「おぉ!」」」


計6名の決起は終結し、ギルドマスターでもあるレイハート・ミリアドット。その娘のアリアの捜索活動を開始した。










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