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棚橋衣奈の心労 信条編・陰謀編  作者: TNネイント
第十二話「この世界の真実は作れる」
36/36

12-3.そんな私と彼の、かりそめのトゥルーエンディング。

 この部分は8000文字を目安として書いています。

(通常5500文字)

 私の事を「本命」と、それも本気で言っていた彼には、一体私が何に見えているのだろうか?

『総合的に見たら一位』?

『最も大切な人』?

 はたまた……『運命の人』?


 そのような考え事をしながら、手紙を通学時に使うかばんの中に入れていた。



 この気持ちについて、結局誰にも相談できないまま、普段通りにして迎えた次の日―――――。

 この日はわざとバスではなく自転車で通学した。


 学校に来てからも、かばんから自分の机の棚に忍ばせていた手紙を、授業と授業の合間の時間にブレザーのポケットに隠していた。

 昼休みに、笠岡くんの靴箱に入れるためだ。


 ただ、それがバレてしまえば彼を驚かせられないし、他の人に頼もうにも、その人にとって迷惑になる可能性を考え、躊躇してしまっていた。


 結局、この行為は私一人で行った。

 入れる前は他人の視線や反応が、入れた後は音で他の人からはバレているかもしれない、と恐れていた。

 そうして、午後は普段通りに過ごし―――――。


 授業が終わって下校する際、一旦普段降りていた階段の前で待った。

 なるべく人が少ないうちに登りたかったからだ。


 すれちがった三年生の人たちなどと軽くコミュニケーションを取りつつ、この階段から四階へと登った先で笠岡くんを待った。

 この間は緊張もそうだが、かばんを足元の廊下に直接置いた事に対する罪悪感も強かった。

 十分(じゅっぷん)ほど待っていると、下校途中の状態の彼が一人で近付いてきた。


「え……衣奈……?」

 息が荒くなっていて、そこからすぐに大真面目になって探していた事が想像できた。

 休憩のために少し時間を置かせてもいいか、と確認したところ、受け入れてくれた。

 彼も彼で、自らのかばんを足元に置いていた。


 それから「目的」を話すための体制、つまり半径1メートルほどで対面する構図になったのは、また五分ほど経ってからの事だった。


「あの……笠岡くん……」

 視線が彼ではなくその周りに行ったり、動いていないのに汗をかいたりしていたが、それでも彼の名前を呼びかけた。


「十年間、私なんかの事を、助けてくれて、受け入れて、愛してくれて……。 ありがとう、ってただ言うだけで……だけでも……」

 ただ、本題にはすぐに持っていけなかった。

 強引に思い出話を始めたものの、その途中でも泣き出してしまった。


「その……全然足りないんじゃないか、ってくらい……あなたには、感謝してて……」

 心配する彼に促される通りに話を続けるが、涙そのものは止まらない。


 一度彼に背を向けて、鼻をすすったり、眼鏡を取って空いた方の手で目元を拭ったりもして、話を続けるのに一分ほどかかったりもした。


「……すみません」

「いいよ。 続けて?」

「あっ、はい……」

 当たり前のようになだめるようにする彼を前にしても、この時だけは不安だった。


「こうして、あなたと話ができるだけでも……私としては、とても幸せなんです。 ……笠岡くん」

 言われた通りに話を続けるが、途中から気持ちがこみ上げ、また目をうるませた。

 そんな状態でもう一度名前を呼びかけた時、彼は心の準備のためか、一度うなずいていた。



「私と……いや、私とは……ずっと、『友達』でいてくれませんか……?」

 わずかに間を置いても収まらない、二度と経験できないような緊張の中、伝えたかった事を伝えた。

『付き合わないでください』とも言おうとしたのだが、それを言ってしまったらどうなるか分からなかったので、この言い方にした。

 それでも、伝えた後は涙を我慢できなかった。


「いいけど……。 なんで?」

「私には、笠岡くんを幸せにできる自信がないんです」

 彼の反応はというと、あまり驚いていなくて、困惑していると言った方が近い状態だった。


「それに、やっぱり……私よりも、結ばれるのに相応しい人……というのが、あなたには沢山いるじゃないですか。 その中でも、良い意味で一番だって言える要素が無いのに、本当に私でいいのかな、って」

「そんな事ない。 そういう思慮の深さで言ったら、間違いなく一番だよ」

 訊かれた理由に対して、その場で浮かんだ言い訳をひたすら話していた所にも、彼からのフォローが入ってきた。

 ここまでの流れ的にも、内心怒っているだろうと思っていたが……これも考え過ぎだったらしい。

 このせいで関係がなくなる、なんて事になってもおかしくないのに。


「更に言えば……一人で真面目に考えてみて、一番幸せにしたいと思ったのも衣奈だったんだ」

……などと思っていると、彼の口からは更に踏み込んだような言葉が飛び出してきた。

 この瞬間、悪口を言われた時ともまるで違う、独特な心理的衝撃が、緊張や驚きよりもずっと重く、大きくのしかかってきた。

 まさか……このタイミングになって恋を?


 結局、また彼の前で泣きじゃくってしまった。

 涙を拭き直そうとして、顔を片手で覆うようにしながら下に向けた時、彼の方から歩み寄っていたのが、響いた足音で分かった。


 いくら私自身の発言も悪かったとはいえ、ここからは何をしても彼を不満にさせてしまわないかという予感はあった。

『抱きついたら嘘のようになってしまう』とか、『抱きつかなかったら成長していないように見られてしまう』とか。


 それでも、数十秒後には、彼の背中に両手を重ねるようにして抱きついていた。

 この瞬間だけは、制服を汚してしまうとか、私の眼鏡が壊れてしまうとか、押し倒してしまうとか、気にしてはいられなかった。

 そこまで考えが行くという所を、つい先ほど褒めてくれていたのにもかかわらずだ。


 そんな私に対しても、彼がなだめるような仕草をしていたのが、背中を手で触られている感覚から察せた。

 そこまで()げるほどの愛情も、つい先ほど台無しにしてしまったというのに。


 この間もまた、『かける言葉として適当なのはどんなものなのか?』と迷っていた。

「ごめんなさい」なんて言ってしまったら、宣言の意味が薄まってしまう……とか。


 結局何も言えないまま涙が収まり、落ち着きを取り戻したところで互いに元の位置に戻った。

 この直前、振り返っていた間に確かめた眼鏡や制服への影響は、思っていたよりはずっと小さかった。

 レンズに涙からだと思われるしずくが付着していたが、私に確認できたのは本当にそれくらいだった。


「こんな事に付き合わせてしまって……本当にすみません」

「いや、いいよ。 こういう事は来年にも何回かあるかもしれないし」

 この会話の後、二人で自らのかばんを片方の肩にかけ直し、階段を降りた。

 この途中で彼の顔に視線を向けると、苦い顔という訳でもなかったのを見かけた時、また不安になってしまった。


「……あと、この短期間で、何回も同じような事で……正直、笠岡くんだって、本当は嫌がってる所……というのもあるんじゃないかと」

「どっちとも言えないかな。 全く無いってわけでもないけど、かと言って、衣奈が心配してるほどでもないし」

 その顔のままで確認したのが、話の内容についてだ。



『……俺は、衣奈とも付き合っていけると思ってる』

『そう……なんですね』


『本命? それは……衣奈かな』

『本当ですか? 私なんかが……ですか?』

 彼と二人になると、大体恋の話がつきものだった。

 厳密には勝手が変わってくるかもしれないが、『それしか話題がないのか?』と言われても文句を言えなかっただろう。


『でも、やっぱり恋人とまでには……。 それに、笠岡くんには、私以外にも良い相手がいるじゃないですか』

『私より、他の人といる時の方が、幸せそうに見えたので……。 未来についても、その方が、笠岡くんのため……なのかな、と』

 否定した理由だって、今日とほとんど変わっていなかったし―――――。



 それから、彼と二人で帰っていた時の事。

 横並びなのは昨日と変わらず。

 違うのは、かばんを彼が押していた自転車のかごに入れてもらった事だ。

 私から「空いていた方の肩も使って彼の分も持ちたい」という提案はしたのだが、「持たせるのも悪いだろう」と断られた。

 間違った事は言っていないし、こちらもその方が楽ではあるのだが……また申し訳ないという気持ちになった。


「衣奈には難しい質問になるかもしれないけど……一人だけ、俺に幸せにしてほしい子がいるとしたら、教えてくれないか?」

 この状況の中で、彼から一つ質問された。

 引っかかったのは、「一人だけ」の部分だ。


 実際、彼はあの中でも、一人しか付き合う相手を選ぶ事ができない。

 私が選ぶとしたら六島さんか井原さんになるが、それだと彼の気分を損なわせる可能性も否定できない。

 しかし、私の答えによって、彼がその方に向かう可能性かもしれない。

 もしも私がここで別の誰かの名前を出せば、最悪の場合、作戦にも相当な悪影響が出るかもしれなかった。


「六島さんですかね……? 結ばれたい、って気持ちが特に強いので……」

「友希か……。 まあ、そうだよな……」

 少ししてから答えたのだが、それに対する彼の表情は、どこか苦いような感じになっていた。


 訊いてみたのに対しては「大した事じゃない」と答えていたが、余計に不安になった。

 まさか、本当は彼女の事を嫌がっている……?

 それはそれで、作戦的には都合が悪い。

『一体彼に何をした?』といった決め付けも良くはないが……事情について、心配で仕方がない。


 それからも、ほとんどこの調子で話をしながら、私の家の前まで移動していた。

 そこで一旦立ち止まって、私のかばんを取り出しては左肩にかけ直し、挨拶をして彼と別れた。


 この挨拶の直後、彼に軽く振ったはずの右手が、全然動いていなかった。

 また、悲しさや寂しさのような感覚がやってきていたのだろう。

 帰ってからも、見かけては声をかけてくれた母さんを無視して、すぐに自分の部屋へと向かっていた。


 そこでしばらくの間、部屋にある机の上でうつ伏せになっては、また泣いていた。

……あの二人が先にいた時点で、そういう運命にもなりえたという事は覚悟しておかないといけなかったか。

 先に私が会っていたとしても、付き合えていたかどうかというのは微妙なところだったかもしれないが……。


 涙が落ち着いてからも姿勢は変えずにいた事もあってか、立ち直る直前の時の眼鏡のレンズには、抱き着いていた時よりも大きいしずくが貯まっていた。

 変わるために必要な事のはずなのに、数年に一度あるかどうか分からないくらい泣いた日になってしまった。


 それから気分も落ち着いたところで、制服から私服へと着替えて、かばんから端末を取り出した。

 他の人と話がしたかったからだ。

 しかし、相談するつもりはあっても、アドバイスを受ける相手として適当な人というのが、私の連絡先の中にはいなかった。

 そこで一度端末を片手に部屋を出て、リビングへと向かった。


 そこにいた母さんに心配された時、何があったのかについて軽く話した。

「笠岡くんとは付き合わない事にした」と。


 異性関係については明るいはずのその人から受けたアドバイスは、「引きずらずに次の相手を探せばいい」というもの。

 彼くらいの相手となると、そうするのもとても難しい話になってくるのだが……。


 その後は気分が乗らなかったという事と、「学園にいる間に届いていた」というドキュメンタリーに関する書類の事以外、ほとんど普通に過ごした。

 乗らない気分については、母さん以外の他の家族にも心配させてしまった。


『告白』……と言ってもいいか分からない事については、家族以外では長岡さんにだけ電話経由で、相手の名前を伏せた上で教えた。

 ほとんど相談のような(てい)で話していたのもあって、彼女を困惑させてしまった。


 この後は「他に異性の相手はいるか?」などに話題を広げていた。

 その中で、「学校では田辺さんとの間だけの秘密にしておいてほしい」とも伝えておいた。

 

 他は……大体は学園で会って話せるし、多くの人に言い伝えるのも良くはないと考えていた。

 少なくとも、六島さんには言っておくべきだったか。


 寝る前も、一人で暗い部屋の中、しばらくベッドの上で膝を上げて座り、うなだれていた。

 私自ら、あれを『必要な事』としていたのに。



 翌朝―――――。

 私は普段より短く、浅めになってしまった眠りから醒めた。

 それでも普段から一時間遅れになってしまった辺りが、事の衝撃の深さのような何かを、改めて認識させた。 


 眼鏡をかけ直し、パジャマで洗面台まで移動しては歯磨きをした。

 そこからリビングに移動すれば、テーブルに向かって歩き、その場にいた家族たちに挨拶をする。

 これもまた普段の生活のはずなのだが、私の気分は乗らないままだし、弱々しいような発声もまた、母さんと父さんを心配させてしまっていた。


 結局、状況をどうにもできないままで朝食も身支度も済ませた。

 ただ、今日はかばんに、私の部屋の棚の中にあったハンカチタオルを二枚忍ばせた。

 流石に昨日ほどの量の涙は出ないだろうが、もしも私が泣いた時のための備えとして用意した。


 通学中のバスの中では、無理やりにでも笑顔を作って、乗車してくる他の学生さんに挨拶をしていた。

 途中で美佐さんたちのいた所に移動したが、そこからはほぼ普段通り。

 挨拶をしてから、すぐに「昨日何をしていたか?」という話題になった。


「よくできるな、そんな事……」

 この中で、放課後での件について教えると、彼女は驚きからか引き気味な反応を見せた。

 出来事に対するものだとしたら、それが自然な反応なのだろうか?


「……ですよね」

「つうかさ……お前もお前で、なんでそんな事しようとか思ったんだよ?」

 いつものような、辛辣にも聴こえる彼女からの鋭い言葉も、まともに受け流せなくなっていた。


「付き合えたとしても、喧嘩別れとかで疎遠になるのが怖かったので」

 問われた事には少し時間をかけつつ答えたが、彼女はそれに対しても苦い表情をしていた。

 口頭で謝りを入れようにも、するべきかどうかで迷ってしまった。


「それ、今から考える事か?」

「付き合ってから考える、っていうのも心配になるじゃないですか」

 互いに言葉に迷っていたが、彼女からの指摘の方が先だった。

 間違っているとも言えない発言だったが、返事は焦りながらになっていた。


「そうだけどさ……。 それとは別で、その……やられた側の気持ち、って……あるだろ?」

「すみません」

 彼女は自分なりに空気感に配慮していたからなのか、この会話が進むにつれて、緊張の度合いが高まっていっていた。


 ここで一度周りを見渡した。

 先程のところも撮影されていて、番組にも使われる可能性があると思い、少し恥ずかしくなった。

 それから学園の一組教室前で別れるまでは、ほとんどいつも通りに過ごしていた。

 挨拶が全然できなかった事以外は。


 教室に立ち入ってからも、戸から奥の壁に寄りかかり、外の景色を見ていただけだった。

 授業の開始前、席に戻ろうとして右から振り返ると、笠岡くんの姿が目に入り、気まずくなっていた。



 授業になっても落ち込みようはほぼ変わらず、昼休み。


 食べた弁当の容器などを片付けて、まず向かったのは二組教室だったが、六島さんの姿がない。

 一組の笠岡くんの席周りだろうか。

 伝えたい事があったのに……。


 代わりのようにして立ち寄ったのは、四つ子たちが集まっていた所だった。

 集まっていた席と六島さんの席は遠めに位置していて、私には確認するのにも少し時間がかかる事もあったが、今日はスタッフさんがいたおかげですぐに場所が分かった。


「あっ……どうしたの?」

「大した用事とかはないんですけど……二組に来たなら、みなさんの事は無視できないかなって」

 先にこちらに気付いていた美来さんから声をかけられてから、しばらく彼女たちと最近の事について雑談をしていた。


 それを終えて別れてから、午後の授業までの時間はそこそこ残っていた。

 一旦一組教室に戻ったが……『()()()の周辺に向かう』というのは、反応が怖くてできなかった。


 それから、午後の授業も終わって、教室を出てすぐの事。


「……あの、井原さん」

「何?」

「今日は、校門を出る辺りまで一緒に……というのはどうですか?」

 私は笠岡くんでなければ、他の組の人目当てに待ち伏せするわけでもなく、井原さんに声をかけた。

 反応が怖かったが、若干しかめっ面だったくらいで、本当に怒られるという感じではなかった。


「はあ……? どうして?」

「教えておきたい事があるんです。 いろいろ話も聴きたいですし……あなたとしても、その方が都合が良いと思うんです」

「都合が良い……? 信じていいの?」

 提案に戸惑っていた彼女だが、これでも前よりかはずっと改善されていた。

 ただ、それと私への嫌悪感の有無は無関係の話で、彼女が言動を取り沙汰されないようにするために対策を取っているだけの可能性も否定はできない。


「……もし期待外れだと思ったら、また悪魔呼びでもしてください」

「やれやれ……」

 息を吐き、嫌そうな表情を見せた彼女だが、結局一緒に下校する事になった。

 彼女も彼女で、『悪魔(わたし)()められた』と思われていても不思議ではなかったが。


 早速笠岡くんとの出来事について……という事をしようにも勇気などが足りないので、世間話から始めた。


 彼女の学園での居場所というものが、徐々になくなりつつあるらしい。

 人目や言葉に対して必要以上に敏感になり、笠岡くんの席に向かう事さえも相当な勇気が必要になったという。

 前に姿を見せていたが、虚勢と言った方が近いようなものだったとか。

 取り巻きたちについては、全員に見限られたというわけではないが、側にいてくれるという確証も得られていないようだ。

 これらの話を聴いていても、『ざまあみろ』とか言ってしまうような気持ちにはならなかった。

 仮にもし、一度でも私の方から『私の動向次第でお前の将来潰す事だって出来るんだぞ』などと迫っていたら、こうした会話もできていなかっただろう。


 そういった話を聴く側に回っていた中で、私の方から本題について切り出した。


「伝えたい事……について、言ってもいいですか?」

「結局何なの、それ?」

 険しい表情になっていた彼女の前で―――――。


「私が笠岡くんと付き合う可能性が、ほぼゼロになりました」

「何それ……。 は?」

『あの事』について、結果からなるべく簡潔に話した。

 呆れと驚きが混じっていたのか、彼女の反応は何とも言えないものになっていた。


「……で、結局、今よりは距離は取るってだけ、という事でいいわけ?」

「そうなります」

「ああ、そう」

 ある程度の説明もしたが、期待したほどでもなかったのか、彼女はまた呆れ気味に反応していた。

 その後、二人で横並びで校門を通ってから、バス停の前で別れた。

 歩く彼女の背中に向かって、少しの間だけ右手を振っていたが、これといった反応は確認できなかった。


 それから、夜の勉強終わり―――――。

 誰とも連絡やSENNでのやり取りもせず、二年生として過ごした一年の振り返りを、端末のメモアプリに入力していた。

 一年生の時も、こういう事はやっていたか。


 結局、三学期に対して二学期までの内容が薄めになってしまった。

 三学期になってからが激しすぎた事も大きいだろう。


 そして……文字に起こそうにも悩んだ『手紙の件』。

 振り返り自体も一時間近くかかったが、その中の二割はこれ関連で迷ったからだった。

 風呂の事もあるので、続きについては明日以降に持ち越す事にした。



 ――――――――――



 それにしても、ここ一ヶ月程度で、一気に周りの状況が変わってきたものだ。

……良い意味でも、悪い意味でも。


 私自身に対する理解も進んできたし、美佐さんのように友達も増えてきた。

 でも、問題も次々と浮かび上がってきた。

 決められない優先順位、明かせていない素性、信頼や恋愛と行った関係性の構築、力のなさなど、その大小は様々だ。


 そんな問題の数々とも、人々の悩みとも、真面目に向き合い、可能な限り解決させていく事。

 未来のためにも、信頼できるパートナーを見つける事。

 そして―――――多くの人にとって、模範的な存在になる事。

 これらを、三年生としての学生生活における目標としたいが……達成させていく中でも、私の他人への勝手な心配は尽きないだろう。

 

 また、六島さんとの「作戦」も続いている。

 当初の計画は失敗したのに近いものとして、他に好意を寄せている女子たちも納得のいく形にできるのかどうかは、私の動きにもかかっているのだ。

 陰謀編はこれで終わりです。

 わざわざここまでこの作品に目を通してきてくれた事に感謝します。


 十三話からは「均衡(きんこう)編」となりますが、シリーズ続編の作品としてここまでとは別で投稿するため、一旦区切る事となります。


 こんな自己満足でしかない、いつちゃんと完結と言える状態になるのかも分からないような作品ですが、引き続き次話投稿等を待ってくれればと思います。

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