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僕は動揺した。

学園長室に足を踏み入れると最初に目に付いたのが部屋の広さ。もっと大広間だと思っていたけれど、普通に六畳間のこじんまりとした部屋だった。そして部屋に入ると正面に学園長の机があって、その椅子に腰掛けていたロングの黒髪のメガネをかけた女の人が僕に気付くと、ニコッと愛想の良い笑みを浮かべた。

「こんにちは、貴方が転校生の間宮春明君ですね?海斗から話は聞いてますよ」

「よっ!春明ちん!元気にしてたかっ!なははっ!ポリポリムシャムシャ……」

「……何で、あんたがここにいるんですか」

海斗は丁度、僕から見て右側のすごい高級そうなソファーで足を組んでお菓子をムシャムシャ食べながらまるで自分の家のようにくつろいでいた。お菓子のカスがそれまた高級そうな学園長室の赤い床のマットに落ちていた。

「へー、君が転校生君かー……あたし村上美帆むらかみみほ、よろしくね、ポリポリムシャムシャ……」

そして、海斗のすぐ隣でまた同じくポリポリお菓子を食べている女の子がいた。黒髪のツインテールで普通に美人だった。また、この人もお菓子のカスをポロポロ床に落としていた。……あんたら行儀悪過ぎ。ん……?村上……?最近何処かで聞いたことがあるような苗字だな……

「ウマウマー♪」

幸せそうな顔でお菓子を頬張る村上さん……何か子供みたいな人だな。

「は、はぁ……どうも、間宮春明です」

「とりふぁへふ、かぁひゃんほははひひへよ(とりあえず、母ちゃんの話聞けよ)」

……とりあえず、物食いながら喋るなよ。何言ってるかさっぱりだよ。僕は再び、学園長に向き直った。

「うふふふ………海斗から聞いてますよ。もう、明美と行為を済ませちゃったとか?」

学園長は気味の悪い笑みを浮かべながらそんなことを言った。なっ、いきなりこの人は何を言い出すんだっ!

「し、ししししてませんよっ!!!そんな事っ!?(汗)」

「お、お母さんっ!!!(///)」

明美ちゃんは顔を真っ赤にさせながら抗議した。

「ふふふ……冗談ですよ。あぁ、自己紹介するの忘れていましたね。私はこの高宮学園の学園長を務めております橘千里と申します」

そう言うと、僕に名刺を渡してきた。

「は、はぁ……こ、これはご丁寧にどうも。僕は、今日からこの学園に通わせていただく間宮春明です。よろしくお願いします」

「うふふふ………ちなみに、私は今年で『20』×2歳です」

「……は、はぁ?」

……え、それって普通によんじゅ……

「『20』×2歳、です♪」

「は、はい……」

有無を言わさぬ千里さんの笑顔の圧力に僕は屈した。

「あ、あの……それで、僕に話って……?」

ところで何で僕は学園長室に呼び出されたのだろう?こういうのって普通、職員室じゃないのか?

「特にありません。しいて言うならば、ただ貴方の顔を一度見ておきたかった……理由にはならないかしら?」

千里さんはニコニコと笑いながら僕を見つめる。

「……は?あの……それはどういう……」

「よー、春明ー。どうやら、話は終わったようだなぁ。こっち来いよ」

僕は頭の中で?を浮かべながら海斗のいるソファーの方に振り向いた。






「やっぱ、あたしはこっちの『山芋味』が一番いけると思うなぁー」

ポリポリ

「いいやっ!この『辛子&山葵味』がいけてるだろっ!?これしかねぇーって絶対っ!」

ポリポリ

「……あの、あんたらはさっきからポリポリムシャムシャと……何を食っているんですか?」

海斗と村上さんはソファーで手を休めることなく何やらお菓子を食べ続けている。

「おぅ!これなぁ、母ちゃんが開発した『うめぇ棒』の新商品の味でなぁ〜〜〜今、モニターとして俺と美帆がこの『うめぇ棒』食べてんだ」

……かなりギリギリじゃありませんか?それ?

「ほらっ、コレ食ってみろよ」

「んがぐっ!?」

海斗は僕の口にいきなりうめぇ棒を押し付けた。……うっ。

「グギャぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!か、かれぇえええええええええーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

な、何だっ……!このっ……喉が焼けるように辛い……いやっ!辛すぎて痛いんだっ!僕は余りの喉の痛さに床に倒れてゴロゴロ転げまわった。

「おぉ、火ぃ吹いたぞっ!なははっ!」

海斗は僕の姿を指差しながらゲラゲラ笑っていた……くっそぉー!また、コイツのイタズラかっ!

「はっ、ひぃ!ふぁああああーーーーー!!!!!み、水っ!水ぅううううーーーーー!!!!!だっ、誰か僕にウォータープリーーーーーィズぅうううううううううーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

「はい、コレ食べて口直しだよ」

今度は村上さんが僕の口の中にうめぇ棒を押し込んだ。……むぐむぐ……僕の口内で味気の無い何やらねとねとしたものが絡み合って何とも食感が………って。

「うっ、うわぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!きっ、気持ち悪ぅうううううううううーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!ぎゃふぁああああ、キモからぁあああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

「おぉ!春明が今、キモイと辛いを合わせて『キモから』という単語を編み出したぞっ!」

「「うまいっ!」」

うまくねぇーよっ!!!!!そ、そんなことよりっ……!誰か、僕の潤いのラプラスをぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!僕はあまりの口内に残る辛さと気持ち悪さに苦痛を感じ、そこら中を走り回った。

……もきゅっ。

「………なっ(///)」

な、何だ……?この……柔らかな感触は……そ、それに……ほんのりと温かみがあって幸せな気分……僕はゆっくり顔を上げた。

「………あ」

不意に僕の意識がはっきりと覚醒する………僕が見たものは………顔、明美ちゃんの真っ赤なお顔が目の前にあった。明美ちゃんは拳を上に掲げ、プルプル震えてらっしゃる………に、逃げたい。この場からこの感触だけを忘れず、立ち去りたいです……(泣)

「い、いつまで掴んでいるのよぉーーーーーーーーーー変態ぃいいいいいいいいいーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

バキィイイイイーーーーーー!!!!!

「うぼぉあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」






………

目を開けると、視界に白い天井が映った。……あれ?ここは……どこ?僕は……何でこんな所で寝ていたんだ……?そんな事を考えていると最近どこかで聞いたことがあるような声が耳に入る。

「……あっ、海斗!春っち目が覚めたみたいだよー!」

確か……この声は村上さん。春っちって……

「おぉ!やっと目が覚めたかっ!春明!」

……海斗、僕の最近の不幸の原因はこいつがほとんど絡んでいる。

「……村上さん、ここ……どこ?」

僕は海斗を無視して傍にいる村上さんに尋ねた。

「保健室だよ〜、あれから春っち、海斗の妹ちゃんのビンタで伸びて気絶していたんだよ〜〜〜それに、妹ちゃんワンワン泣いて何度も謝ってたよ〜〜〜」

……あぁ、そうだ。僕は明美ちゃんのビンタを喰らって気絶したんだ……あぁ、でも何か明美ちゃんには何か悪い事したなぁ……泣くなんて……あれは僕が悪いのに。

「そう……」

僕は何だか切ない気持ちになった。また、泣かせちゃったな……

「なはははっ!そう落ち込むなって春明ぃ〜〜〜!」

海斗は何故か爆笑しながら僕の肩をバンバン叩いてきた。痛っ、痛いって……それに何でそんなに笑っているの?僕なんか面白いこと言った?ていうか、何でコノヒトこんなに空気が読めない人なんだろう。

「………」

「まーまー……そんなに怒らないであげてよ、春っち。コイツ、バカだけど実はいい奴……でもない」

「あひゃひゃひゃひゃーーーーーーーーーー俺、天才っ!」

……それじゃあ、まるっきり駄目な人じゃん。すげぇ、ムカつくよコノヒト。ストレスしか溜まらないよ。

「……ごめん。あたしからも……謝るからさ。その……それでも、許さないって春っちが言うなら………その、あたし……脱ぐから……(///)」

村上さんは頬を染めモジモジしながら、上の制服のシャツのボタンを外していく……って、うぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!この人、いきなりなにやってんのぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!人がシリアスな気分になっているのに何でいきなり服を脱ぎ始めるんだぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

「ちょっ、ちょっとぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!村上さんっ、何やってんのぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

「あひゃひゃひゃひゃーーーーーーーーーーストリップキタキター(笑)」

「あんたはいい加減黙れよっ!」

そして、海斗とアホな会話をしている間に村上さんは既に上のシャツの前ボタンを外し白い肌と白のブラを露出させ、指を口に含みながらモジモジしながら僕を見つめていた。な、なんだぁあああああああああーーーーーーーーーーこのエロゲー展開はぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!(汗)ちょっぴりドキドキするじゃないかぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

「………春っち(///)」

そんなアホな事を考えている間に、村上さんは今度はスカートのホック手をかけ下に下ろしていく……隙間から白のパンティーが見え……あぁああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ダメッ!ダメッ!だめぇ〜〜〜!!止めないと大変なことになっちゃうっ!で、でもでもっ、こ、声が出ないっ!止めないといけないのにっ!僕の理性がっ、本能がっ……!めくるめく、モエモエ〜〜〜な姿を想像してしまうっ!あぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!何て、ダメ人間っ!!!!!僕なんか萌え死んじゃえばいいんだぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!僕はその場で頭を抱え、俯いた。

「や、やめっ、やめぇえええええええええーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!(泣)」






「……なーんてねっ♪もぉ〜〜〜春っち、いつまで経っても止めてくれないからあたし冷や冷やして本当に全裸になるとこだったよぉ〜〜〜♪」

「なははっ、春明っ!お前ってやっぱりエロエロなんだなぁ〜〜〜♪よっ、この助平!」

「………」

村上さんは笑いながらはだけたシャツとスカートを元に戻していた。海斗は僕の頭をポンポンと軽く叩きながら爆笑していた……な、何てことだ。……また、嵌められた……村上さんにまで……く、屈辱……

「なははっ!春明!これでお前も俺と同じムジナだなっ!変態同士これからも楽しく行こうぜ!ベイベッ!」

「い、いやだぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!絶対、アンタと一緒と思われたくないぃいいいいいいいいーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!(泣)」

僕は泣いた。そりゃあ、もう泣きまくりましたよ。僕=海斗なんて構図が出来るなんて………ぜ、絶対僕は認めないぞぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!(泣)

「ふっふふ〜〜〜ん♪春っち、ってやっぱ変態さんなんだ〜〜〜♪明美ちゃんがすっごく嫌うタイプの人だねっ♪」

村上さんは黒のツインテールをなびかせながらなニヤニヤ笑う。なっ、なにぃ……あ、明美ちゃんはエッチな人がお嫌いなのかぁ………(※普通はそうです)ぐぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!じゃあ、『オタクぅ〜?あぁ〜無理無理っ、絶対無理っ!つーか存在が無理っ!アウト!』とか言う人なんだぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

「あ〜それと、春っち。『村上さん』ってのやめない?あたし達、もう友達なんだからさ?『美帆』って呼んでよ♪」

村上さんは笑いながら僕に握手を求める。

「……じゃあ、『美帆ちゃん』で」

「うん♪おっけー♪」

「良かったなっ!春明っ!またお友達が増えたぜぃ!」

「はっははは………そう、だね」

僕はまた友達が出来て嬉しい気持ちで半分、また海斗と似たような友達が出来て不安な気持ちで半分、それは微妙な心境でいっぱいだった。






「いや〜〜〜でも、春っちってお兄ちゃんが言ってたとおり、幸薄そうな顔しているねぇ」

「だろっ♪すんげぇ、残念そうな顔しているだろっ?」

……え?何、この人達……友達になった途端、いきなり僕を弄る普通?何だろう……美帆ちゃんって、海斗の女版みたいな子だな……これからも僕の心労が増えるような気がするよ……

「……え?美帆ちゃんってお兄さんいるの?」

とりあえず、下手に僕が怒ったら余計弄られると思った僕は他の話題を振った。

「そうだよー……んー?あれー?春っちってお兄ちゃん知ってるよね?」

「おいおい、春ちゃ〜〜〜ん。お前、もしかして気付いてなかったのか〜〜〜?美帆は礼二の妹ちゃんだぜ〜〜〜?うりうりぃ〜〜〜♪」

海斗は肩を抱き寄せ、僕の乳首をクリクリ弄ってきた……すごくウザイよこの人……

「……あ、そうなの」

……全然似てないな……なんて事はちょっと失礼かもしれないので敢えて僕は口には出さなかった。

「……そういえば、僕、どこのクラスに行けばいいんだろう……?」

「ん?あぁ、春明は俺と明美と美帆と同じクラスだぜ?よかったなぁ〜〜〜♪春明っ!」

……え、えぇ〜〜〜明美ちゃんはまだしも、君らと同じクラスなの……?知り合いがいるから、ほっとはするけど……あぁ、気苦労が絶えないよ……

「って、ちょっと待ってよ。何で、海斗が明美ちゃんと同じクラスなのさ。おかしいでしょ?」

「海斗、去年留年してるからあたし達と同じ学年になるんだよ」

美帆ちゃんがそう答えた。……え、えぇ〜〜〜……りゅ、留年?

「いぇーーー♪留年最高!!!」

海斗は何故かその場で小躍りし始めた。……何でこの人はノリノリなんだろう……友達として色々な意味で心配するよ……ホント。

「じゃあ、今から早くクラスに行かないと……」

「んー……それは止めといた方がいいよ〜〜〜」

「……え?何でさ……?」

「今、昼休みだし♪」

………え?

「えぇえええええええええーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

「…と、いうわけでぇ……」

ガシッ、ガシッ

「え……?」






「「ブッチしようぜっ♪」」

「えぇええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜??????????」

僕はそのまま海斗と美帆ちゃんに引きずられていくのであった……







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