僕は安堵した。
チュンチュン……チュンチュン……
……ん、んむぅ〜〜〜………小鳥のさえずりが聞こえる………朝、か?今、何時だろう……
「ふぁ〜〜〜……眠い……」
僕は身体を起こして、欠伸をしながら背中を伸ばした。ん〜、何だろう……何か身体の節々が痛い。筋肉痛かな?昨日は海斗を追い掛け回して久しぶりに運動したからなぁ〜〜〜……
「……でも、僕はいつの間に部屋の布団で寝たんだろう……」
……思い出せない。何故か、昨日の夜の記憶だけが抜け落ちている……う〜っ、考えたってしょうがないっ!さぁ!今日も元気イッパイ!頑張るぞ〜〜〜!!!
「グァー、ゲァー、グガァー、ギャルルルル〜〜〜、ズボッ、ズボッ、ズボボボボボーーーーー………」
……何だ、今の変な鳴き声は。僕の人生の経験では今のような変な鳴き方をする動物は会った事も見たこともない。……嫌な予感、僕は変な鳴き声がした方向を見た。
「バキュンッ!バキュンッ!バッキューーーン!Oh!ディス伊豆ア!パン!オーケー!パン!アイアムぱぁあああああああああーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!」
「………」
……何故か、僕の隣で海斗が寝ていた。……えっ、何それ?寝言?どんな夢見ているの?そんな事より……
「……おい、ちょっと。あんた、何で僕の部屋で寝てんのさ。起きろコラ」
僕は海斗が寝ている布団を引っ剥がそうと布団を引っ張った。
「アッ、やめろっ!春明っ!そんなとこ、舐めるなぁ……き、汚いよぉ……うっ、うぅ………アッ!春明!今度はア○ルかっ!ア○ルなのかっ!?うぐぁあああ……ひぃ〜、そんな大きいの入らねぇよぉおお………」
「どんな夢見ているんだぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!てめぇ、起きろコラァアアアアアアアアアーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
バキッガスッドスッ
僕はあまりの海斗の気持ち悪さについ海斗の顔をフルボッコしてしまった。……ちょっと、やりすぎたかな?
「はぁはぁ……でもこれで、起きるかな」
「おっすっ!春明!今日もいい朝だなっ!」
「うわっ!?海斗っ!?いきなり、起きないでよっ!?びっくりしたぁ……」
殴ったら本当にすぐ起きたよ……これが海斗の起爆スイッチなのだろうか?
「それより……僕は海斗、君に一言言いたいことがある……」
「え?ヤリたいことがある?」
「言いたいことだよっ!!!何で君はふっつうに僕の部屋でしかも僕の真横で寝ているのさ!?」
「えっ……?何でってそりゃあ……お前と俺は相部屋だろ?外のドア見てみろよ、書いてあるぞ」
「嘘っ!?」
僕は一目散に部屋を出て、部屋のドアを見る。そこには……部屋番の下に彫刻刃で掘ったと思われる僕と海斗の名前があった。名前だけならまだ良かった、いや良くないけど……問題は僕と海斗の名前にオプションとして相合傘マークが書いてあった。しかも、彫刻刀でわざわざ掘ってあるところに悪意を感じる。
「………」
「なっ♪俺の言ったとおりだろ?」
……もう、何も言うまい。
「よっし!今日は学校だからなっ!下でゲンさんの朝飯食って元気モリモリになろうぜっ!春明!」
そう言うと海斗は布団を捲り上げ、そのまま立ち……ってっ!!!
「うぼぉあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!何でお前は裸なんだぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!そこも元気モリモリじゃねぇかぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
海斗は何故かスッポンポンだった。きっ、汚ねぇえええええええええーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!間近で直で見ちゃったよっ!おぇ〜〜〜朝から吐きそうだっ!
「おうおう!そうさっ!見ろよっ!俺の肉体!この筋肉美っ!フンッ!ガー!」
海斗は両手の上腕に力を入れ、僕に見せ付ける。
「力を入れるなっ!何かでかくなってんぞっ!あんたのソコもっ!キモイぞっ!(汗)」
「よっし、じゃあさっそく下で朝飯食うぞっ!兄弟っ!キャッホーーーーーウ!!!!!」
海斗はそのまま、僕の部屋のドアを開けて飛び出していった。
『きゃぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!兄さんっ!!!!!何で裸で廊下を疾走しているんですかっ!?』
……さて、僕も朝飯を食べに行こうかな。
寮の一階、リビングルームに行くとすでに朝ご飯はできているのかいい味噌汁の匂いがしてくる。あぁ、いいねぇ、日本の朝食。やっぱ、基本日本人はご飯だよね。パンもおいしいけどさ。
「おはようございまーす」
僕はリビングに入り、挨拶をした。すると、既にテーブルには鮭の塩焼き、ダシ巻き卵、ほうれん草のおひたし、納豆、味噌汁、ご飯、ノリが並べてあった。うわぁ、すんごいおいしそう、何だかお腹減った来たよ。
「あらぁ、春明ちゃん。おはよう。昨夜はぐっすり眠れたかしらぁ?」
フリフリのエプロンを装着したゲンさんが声を掛けてきた。げんなり、少し食欲が減りますた。
「礼二さんも、おはよう」
そして僕から一番近くにいる礼二さんにも挨拶した。
「……あぁ、おはよう。ふぁ……」
何だか眠そうだな礼二さん。寝不足だろうか?
「……あぁ、間宮。昨夜はすまなかったな」
「……は?昨夜って……何かありましたっけ?」
「……ん、覚えてないならそれでいい」
礼二さんは目を閉じ、腕を組んだ。……う〜ん、やっぱり昨夜の記憶が抜け落ちている。何かあったのだろうか?……まぁ、いっか。
「……間宮、早く席に着け。お前のせいでいつまで経っても食事が始められない」
冷たい、そんな感じの声が僕を呼んだ。……あ、雫ちゃんだ。昨日はすごい僕に対して冷たかったけど、こうやって声を掛けられたから少しは彼女に近づけたのだろうか?……でも、相変わらず言う事はきっびしー
「……は、はい。で、でも、雫ちゃん?ぼ、僕は一体どこに座ればいいのカナ?(汗)」
テーブルの席は全部で六つで向かい合わせに三つ配置されている。そのうち一番手前の席は礼二さんと雫ちゃんが向かい合って座っている。そして、礼二さんの隣にはゲンさんが座っている。なので残り、三つ空席があるのだが……
「……私の名前を呼んでいいのは海斗だけだ。お前に名前で呼ばれる筋合いはない。自分の立場を知れ、クズが」
「す、すいません(汗)」
な、何かすごい勢いで睨まれたので普通に謝ってしまった……やっぱり、この子昨日とあんまり変わってないかも………
「あれ?そう言えば、海斗と橘さんは……?」
「橘は表で洗濯物を干している。海斗はウンコだ」
う、ウンコって……(汗)礼二さん、物事を包み隠さずはっきり言う人だなぁ……
「うぃ〜〜〜すっきりしたぁ〜〜〜昨日まで俺、クソの状態、ゲリピーだったんだよなぁー。今日はたらふくうまい飯が食えるぜぇ!」
この人は単なる場の空気が読めないアホだよな。朝食を目の前にして便の状態とか言わないで欲しい……
「あー、お腹空いたー」
橘さんはお腹を押さえて、食卓のイスに座った。
どうでもいいかもしれないけど、ちなみに皆が座った位置はこんな感じである。
春明 明美 雫
海斗 ゲンさん 礼二
食事中……何かさっきからしきりに左からの視線を感じる……
「………」
……何だろう、殺気では無いけどじっと僕の様子を覗っている感じっていうか女の子に見られるのは何だか照れくさいものがある。……横目でチラッ
「ゲンさん、お醤油とってー」
……うーん、何だかなぁ〜〜別に嫌われてはいないようだけど。何かやりにくいっていうか、話しかけにくいんだよねぇ……
「春明の鮭の塩焼きもらいっ!」
僕の皿に盛られていたまだ手もつけていない鮭が視界から消えていく。
「あっ、コラッ!それ、僕の鮭!返せよっ!」
「いいじゃん、いいじゃん、そんなかったいこと言いなさんなって〜〜〜鮭の一つや二ついいじゃんか。そのかわり、このほうれん草おひたしやるからよ♪」
「あの鮭は一つしかないんだよっ!メインディッシュだよっ!しかも、あんたそれ、自分の嫌いな食べ物僕に押し付けただけだろっ!?」
「あぁ〜〜〜マジ、鮭最高(^=^)」
「マジ、その顔ムカつくなぁ………一発殴りたいなぁ」
「間宮、うるさい。静かに食え」
「えぇーーーーー?今の海斗もうるさかったよねぇ!?雫ちゃん!?(汗)」
「名前で呼ぶな。今度言ったら、原田にお前の穴犯させる」
「うふっ、あたしはまだまだ現役よぉ〜♪んふっ、ぺロリっ!!!」
「ひぃ!怖いっ!この人妖怪だよっ!」
「……ぷっ、ククク……あはは」
……?隣から聞こえるか、聞こえないかくらいの声の笑いが僕の耳に入った。な、何だろう?今、そんな笑うとこあったかなぁ?
「……えっ、た、橘さん……?な、何で笑ってるの……?僕なんか変なこと言った?」
「あ、あはは………い、いや……何でも。あ〜、私馬鹿みたい。ねぇ、春明君って呼んでもいい?私の事も橘じゃあ、三人もいるし、ややこしいじゃない?だから、明美って呼んでもいいよ」
「あっ、え……?あぁ、いいよ。じゃあ、僕も明美……じゃなくて、明美ちゃんって呼んでいい?」
「うん、いいよ。これからも、よろしくね、春明」
「う、うん」
何だろう、何だかよく分からないけど、明美ちゃんと少し仲良くなれたような気がする。よ、よかったぁ……
「(……フ、青春……だな)」
礼二は味噌汁をすすりながら、そんな事を考えていた。