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僕は固まった。

「一階は共同のリビングルームに風呂、炊事場、洗濯機、学生寮と寮生共同の生活場所になってるからな。運が良ければ洗濯機の中に女の子の下着とか残ってるから探してペロペロなめなめしてみな」

「誰が探すかっ!!!ペロペロなめなめするかっ!!!」

あれから無事、魔のババァ地獄から抜け出した僕は海斗の案内でようやく学生寮にたどり着いた。

「あらぁん、海斗ちゃんお帰りぃ〜〜あら、後ろにいるかぁいい子は誰かしらぁん?」

一階のリビングでつるっパゲの男性……いや、少しカマっぽい人に出会った。……ん?かぁいい子って僕のことですかな?

「おぉ〜ゲンさん、紹介するぜ!こいつぁ、俺のマブでラブなダチで間宮春明つーんだ!今日からこの寮生の一員になるやつだ。まぁ、よろしくしてやってくれや。なっ♪春明ぃ、うりうりぃ〜〜♪」

例のごとく、海斗は肩を抱き寄せ、僕の乳首をツンツンと突いた。フレンドリーにも程があるだろ。そして、ラブは余計だ。

「あらぁ、そうなの。あたしはこの寮の管理人の原田源三郎はらだげんざぶろうよ。よろしくねぇ、春ちゃん。……じゅるり(///)」

……は、春明ちゃん?それにこの人、何で僕を見つめながら舌なめずりしているんだ……怖っ!ゲンさんは指をしゃぶり、僕を見つめながら、リビングから退場していった。すいません、勘弁してください、僕のデリケートな心が折れそうです。

「おぅ、春明。言い忘れていたが、あの人の前では決して油断するなよ?『歩くケツ掘りマシーン』という二つ名で有名な人だからな。夜中は部屋の鍵かけとけよ。それで以前、ここにいた奴がうっかり部屋の鍵かけ忘れて童貞喪失したからな。気ぃつけろ」

ま、マジっすか(汗)これからはいつも以上に尻の穴に気を配らないとあのオカマに喰われるっ!(泣)

「あと、ゲンさんの部屋はリビングを出た廊下の奥な。慰めてほしいときは行くんだな」

いらないっ、そんなまったくためにならない余計な情報はいらないっ!(泣)






「ここは二階な。男の寮生の部屋がこの階だ。三階は女の寮生の部屋だ。こっそり忍び込んで夜ばいに特攻かけるときは俺と礼二に声かけろな」

この人、どんだけ女に飢えているんだ……もてそうな顔しているのに……多分、性格の問題だろうな。

「あんたはまた僕を犯罪に加担させる気かっ!?って、礼二って誰?」

「春明のすぐ、後ろにいるよん♪」

「えっ、う、うわっ!?」

「……」

後ろを振り向くと、そこにいたのはものすごくでかい男だった。ガタイは並なんだけどとにかく、身長が高い。ストレートの黒髪、端正な顔立ち、でも海斗のようなふにゃけた感じではなく、切れ目の鋭い目がちょっと怖そうな人だった。

「………」

礼二さんは僕に気づくと、手をさしだした。……握手だろうか?手を握ったら、握り潰されるとかそんなオチじゃないだろうな?(汗)……んな、アホな。僕は素直に握手に応じた。……べ、別にびびってなんかいないんだからねっ!

「……俺の名は村上礼二むらかみれいじだ。馬鹿の相手は大変だと思うが、よろしくな」

「……は、はぁ。間宮春明です」

見た目はちょっと危なそうな感じのお方だが、喋って見ると普通の人だった。……あぁ、よかった。この人とならすぐにお友達になれそうだ……

「もぅ〜〜こ〜いつぅ〜〜♪ツンツンしちゃってさぁ♪このっ、このぉ〜ツンデレさん♪」

海斗は礼二さんの肩を抱き寄せ、頬をチョンチョンと突いた。

「触るな、てめぇ、ぶち殺す」

ヒィ!怖いっ!殺されゆ!(泣)

「ごっめぇぇぇ〜〜ん♪そんなに怒るなぉ〜〜♪」

海斗は明らかに不穏になってゆくこの場の空気などおかまいなしに礼二さんの頭を軽くポンポンと叩く。

もぉーーーーーやだ、この人ぉおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

「……部屋の冷蔵庫に俺が入れておいたプリンが消えていた」

「ごっめぇええええーーーーーん♪食べちった♪でも、許ちて♪エヘッ♪」

ぎゃああああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!この人何て地雷作動させてんだぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

「殺すっ!」

「やってみやがれっ!このチンカスがっ……と春明が思っています」

「こ、こらぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!僕を巻き込むなぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!(泣)」






「春明、ここがお前が今日から寝泊りする部屋だ」

僕の部屋は二階の一番端に位置する部屋だった。

「おいっ!見てみろよっ!春明っ!部屋番!801(ヤオイ)だってよっ!なははっ!何か作為的な運命を感じるよなっ!」

「………」

もう、ツッコむ気力すら起きない。さっきから、礼二さんに殴られた頬の辺りが痛すぎてもう何も言う元気も無い。……理不尽だ、何で僕がこんな目に。僕が何をしたって言うんだ。こんな不幸が続くのは全部、こいつ、僕の目の前でヘラヘラ笑っている海斗のせいだ。……でも、我慢だ。僕が耐えれば、世界は救われると昔からそう信じてきたから。

「お〜〜〜い?マイフレンド?元気ねぇなぁ〜〜〜………よっしゃあ!そんなら、お兄さんがイイモン見せてやっから部屋で待ってろよっ!」

海斗はそのまま階段方向へ走り去っていった。

……良かった、ちょうど今は一人になりたかったから。そして、僕は海斗から渡された部屋の鍵でドアを開けて、中へ入った。

「……狭いなぁ。でも、こっちのが僕は落ち着くんだ」

何も無い六畳の部屋

僕はそのまま畳の床へダイブし、大の字で寝転んだ。……硬いよ、床。

そして、僕は今日の出来事を振り返った。

昼、学園近くの定食屋でポンから定食を食べているといきなり横から変なバンダナの男、橘海斗が現れ、僕のポンからをほとんど平らげた。そして、僕の貴重品やら何やら入った荷物を奪い、逃亡。学園中を探して、ようやくの思いで海斗を見つける。そこで妹その1登場、橘明美。どうやらこの学園の生徒で女子ラクロスなる部活に励んでいるらしい。結構、可愛かった。下着を盗んだのは兄、海斗だと怒る妹。でも、僕の鞄の中身は何故かその下着が山盛り入っていて。はい、殴られました。完全に濡れ衣だよね、コレ?でも、あの子……泣いていたな。……僕は悪くないはずなんだけど、何かグサッとくる。クソぉ!何で僕がこんな切ない気持ちになんないといけないんだっ!明日から僕の素敵な学園生活が始まるというのにっ!次あの子に会うとき、どんな顔して僕は会えばいいんだっ!海斗のせいだっ!全部、海斗のせいだっ!

「……でも、僕が我慢すればいいんだ」

……そうさ、僕が我慢すれば……誰も傷つかない。誰も……誰も……

そして、僕は懐からある写真を出した。

「………母さん、父さん………友香ともか、ごめん。僕、あの頃とまた変わらない日々を送るかもしれない」

家族全員で写った写真。

そこには母さんも父さんも……友香も、そして僕も……皆、笑顔で寄り添っていた。

……でも、こんな、こんな幸せな家庭をぐちゃぐちゃに壊したのも全部、僕のせいだ。

……だから、変わらなくちゃいけないのに。僕が、変わらなくちゃ世界は救われないって。

「う、うぅ………」

泣いちゃいけないのに、絶対泣かないって決めたのに。自然と瞳から涙が流れる。

………ダメだ、今日は色んなことがあって疲れているんだ、きっと。だから、明日に備えて今日はもう寝よう。忘れよう、今日のことは。忘れて、明日がきっと良い日になるように祈っておこう。






「春明ぃいいいいいいいいいーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」






……今日、幾度となく聞いた声。海斗だ。うるさい、今何時だと思っているんだ、九時だぞ?良い子はもうおやすみしなきゃならない時間だよ?

バンッ!!!

ドアが吹き飛ぶんじゃないか?と思うくらいの威力で開いた。……もうちょっと優しく扱ってよ。

「春明ぃいいいいいいいいいーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

「う、うるさいよ……聞こえているから、って何さ、その格好?もしかしてセレブ気取り?(汗)」

海斗は何故か白いバスローブ身に纏い、ワインを片手に僕の部屋に入ってきた。何なの、この人。この人の性格がいまひとつ掴めないよ。

「………すまんな、こんな夜分遅くに」

あっ……礼二さん、この人は常識人だ。でも……さっき、かなり怒っていたから………話しにくいなぁ。海斗のせいで殴られただけに。

「…その、何だ。さっきは悪かったな……つい、取り乱してしまった。俺らしくない………」

……謝られた、いや当然かもしれないけど。でも、やっぱり人に謝られるのは何だか照れくさくて、僕は「いや、あれは完全に海斗のせいですから頭を上げてください」と礼二さんにそう言った。

「……そうか、本当にすまないな。おい、海斗、お前も間宮に謝れ」

「ごめんちゃ〜〜〜い(^=^)」

……何だろう、すごく殺したい。うん、すごく殺したいよこの人。人をイラつかせる才能の天才だね。

「……まっ!悪かったなっ!そんな謝りの代わりといっちゃあ何だが、今から麻雀やろうぜっ♪1000点、100円で♪」

「あんた本当に謝る気あるんですかっ!?」






……午前1時。

ひたすら、3人で麻雀を打ち始めてちょうど四時間。

僕は大敗をしていた、しかも1万円の大損だ。……あぁ!分かってたさっ!こうなることぐらいっ!

不幸続きだしねっ!僕基本、幸せ訪れた事ないもんっ!ふーんだっ!

「……そろそろだねぇ」

海斗は時計を見ながらそんなことを呟いた。寝るのか?あぁ、良かった。もう、僕は疲れてヘトヘト。麻雀なんかやってたら骨の髄まで絞られちゃう。

「……もう、寝ませんか?明日もあることですし」

僕は自分からそう提案した。

「んにゃ?まぁ、そうだな。でも春明、風呂入ってないだろ?入れば?というか、絶対入れっ♪」

海斗は気持ち悪いくらいニコニコしながら僕に風呂を勧める………何だろう?何か嫌な予感がする。

「……う〜ん、もうこの時間ですし、明日朝一で入りますよ」

「そっ、それは困るっ!…いやっ!汗臭くて気持ち悪いだろっ!?絶対入った方がいいって!見ろよ、俺の身体っ!セッケンで洗いまくったから、ほらっ!」

海斗はバスローブを脱ごうとする……

「ちょっ、脱がないで下さいっ!脱がないで下さいっ!気持ち悪いっ!」

「……じゃあ、海ちゃんの言う事聞いてくれる?」

「とりあえず、海ちゃんとか言うな。……分かったよ、入りますよ。確かに何か今日は貴方を追い掛け回して汗だくで気持ち悪いですからね。洗っちゃいますよ、色んなとこ。あらいぐまのラス○ルっちゃいますよ」

「よっしゃぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

海斗は何故か、ガッツポーズをする。……変な人、僕はそう思いながらバスタオルを持って部屋を出て行った。

「……海斗、まさかお前」

「いやぁ〜〜〜今日は初日で彼には悪い事しちゃったからねぇ〜〜〜夜ぐらい楽しんでもらおうとっ!ねっ♪何て俺はマブダチ想いの男なんだ……くぅ〜、素敵過ぎて、自分に酔いそうだぜ……よっしゃ!礼二!今日はマブダチの童貞脱出(?)を祝って飲むぞっ!夜通し!」

「……もうどうなっても知らないぞ、俺は……」

せめて、春明の被害が少なくなるよう祈り、溜息をつく礼二だった。






ーーー脱衣所ーーー

「……何か、この学生寮はすごいな。色々と」

小さな風呂場、そんなイメージしかしていなかった僕には圧巻だった。すごい、銭湯みたい。広いよ、広すぎるよ。

「でも、いいよね。こんな風呂。これから毎日は入れると思ったら何だかワクワクしてきちゃったよ、僕。すごいなぁ〜〜〜」

そんな事を一人で呟きながら僕はそそくさと上着、靴下、下着を脱ぎ、裸になった僕は走りながら風呂の入り口に駆けて行った。

「ひゃっほーーーーーう!!!!!」

………僕はこの時、調子に乗りすぎていたかもしれない。だって、ようやく一人で落ち着ける場所で身体を休めることができるのだから。だから、この時の気持ちは後悔していない。






「………えっ?」






僕が入り口を開けた瞬間、視界に入ったのはでっかい大浴場でもひのき風呂でもない。

………僕の最初に視界が飛び込んできたものとは。






……白い肌、ふっくらと発展途上の二つの丘、お湯でしっとり濡れた肢体。

……つまりは、僕が言いたいことは………女の子の一糸纏わぬ姿が僕の視界に飛び込んできたということだ。






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