僕は紹介した。
冒頭にイミフな事が書かれていますが、今回はキャラ紹介です。
空白の世界。
そこは誰の手も届かぬし、誰も存ぜぬ世界。
ただ、一方で。
無である、そこには何もないし、何も出来ない。
白の世界。
色は白、背景は当然なく味気ない。味気ないからこそ、関与しない。
何に?
そう、物語にーー。
「唸れ!僕の伝説の右手!ほとばしる精の衝動!ふぉおお~~……!ってあれここどこ?」
確か僕は自室でPCの前で十八歳未満の方々には口では言えないようなイケナイ行為をしていたのに。
「よぉ、休日の真昼間から下半身露出プレイとはお盛んだなぁ春明ちゃん。自分のポークピッツまでにぎにぎしちゃってぇ!あれか?春明って、半脱ぎで興奮するタイプか?」
「う、うわぁあああ!かっ海斗!?どーして君がこんな所にいるのさ!?ていうか、ポークピッツとかいうな!!!」
どこからともなくいきなり海斗が僕の背後から現れた。
び、ビクッた……でも良かった。こんなイケナイ不埒な姿、女の子に見られたら僕はもぅ……!
「やっほー!春っち!」
「うわぁあああああ!」ジタバタ
今度は海斗に続いて、美帆ちゃんの元気な声が聞こえたので僕は慌ててトランクスとズボンを装着した。い、いやぁ!み、見られちゃったかしら!?アタシの恥ずかしい姿!い、いや……しかし、声と同時に一瞬でトランクスとズボンを装着したから間一髪で見られていない……はず。
「み、美帆ちゃん……?み、見た?」
「んー?何を?」
……良かった、やっぱり見られていないようだ。
本当によかったわ!アタシ、アタシ……!もぅ…!喜びが止まらない!
「春っちが獣姦モノで興奮するところなんて見てないですニャン♪」
「良かった…………っっ!?よくねぇえええ!え、何で?何で知ってんの!?ねぇ!?何で!?何でぇええええーーーーーー!?」
何かもっとすごい事を知られているんですけど!
『人間の交尾は激しいですニャン』はその道のマニアにもなかなか知られていないエロゲー中のエロゲーだ。中古でも一万円は優に超える値段だというのに……!さ、さては……これは陰謀か!?隠れオタクな僕に対する神から僕への挑戦なのか……!?だとしたら、僕はそんな神なんてクソ喰らえだ!僕の性癖を晒すなんて……やだっもうぅほんとやだっ!
「って、君は君で何でデジカメを構えてんのさ海斗!?何?何を撮ろうとしてるの!?」
「……何も」
「何でそこであからさまにガッカリしてるの!?あっわかったぞ!きさまぁあれかっ、僕のポークピッツを撮ろうとしてたんだろ!?そうだな!そうなんだろ!?」
何て悪魔な男だ!
そんな……そんなイケナイ画像がネットやねらーやニコニコに晒されたら有名どころかもう表に出歩けないお嫁に行けない身体になっちゃうじゃないか!しまいには、イケナイサイトに晒されて、僕の身体は目で、鼻で、手で弄ばれて汚れちゃうー!ってうわぁああこんなことを考えている自分がとてつもなくキモイ!キモイよ!我ながら人生で九番目にキモイよ!
「まぁまぁ、そんなに落ち込むなよ、春明。よくあるじゃないか。俺だってあるぜ?自室で自家発電してたらお袋や妹に見つかっちゃったことあるし」
「ないよそんなの!ていうか家族に見つかるなんて最悪だよ!かなり欝だよ!何でそんな平気な顔して語ってんだよ!あんた神経おかしいんじゃない!?」
「その時はさー、笑って誤魔化すんだよ。そしたらお袋は笑顔で『あらあらまぁまぁ』とか言ってそのまま去ったし、明美は真顔で『死んじゃえ』とか言ってそのまま去ったし、雫ちゃんは『……手伝う』とか言って部屋に入ってきたなぁ。まっとにかく笑っとけば大丈夫だよ!」
「明美ちゃん以外は明らかにリアクションおかしいよね!?ていうか、何気にすごいこと言ってる子いるし!その前に三度も見つかるなよ!警戒しろよ!あんたはエロに関してはオープンカー並みの解放感に満ち溢れているな!」
「二人ともー?私もいるってこと覚えてるー?一応、私も女の子なんだよー?」
美帆ちゃんはさほど気にしていないような表情でそう言う。
……すみません、正直忘れていました。
「……で?ここはどこなのさ」
僕は周囲を見回しながらそう言った。
白の世界。
周囲には僕らを遮る壁という壁もないし、何もない。
あるのは、『白』という概念だけ。どこまで言っても白、白、白。白でしかない。
「ここは『空白の世界』。外界からの影響は全く受け付けない空間さ。だからこの空間は物語には影響を与えないし、俺達という存在も関与しない閉ざされた空間だ」
「な、何それ……?」
何か、海斗が珍しく真面目に哲学っぽいことを語っているけど……つまりどゆこと?
「簡単に言えば、ここいらでキャラ紹介しとけー!ってことだよ~」
今度は美帆ちゃんがそう言う。
きゃ、キャラ紹介……?な、何ぞそれ?
「えっと……何でいきなりキャラ紹介とか出てきたのか分かんないけれど……つまり、エロゲのパッケージ裏のヒロインのキャラ紹介的なことをやろう、とかそんな感じ?」
「ハハハ、エロゲーを引き合いに出すとはかなり病んでるなぁ春明」
病んでるってなんだ!病んでるって!失礼だぞ君!全国のユーザーに謝れ!もちろん僕にもちゃんと謝るんだ!
「まっとにかくその登場するキャラについて私達がてけとーに語ればいいんだよねー」
てけとーって……やる前からそんなテンション下がるようなこと言わないでよ美帆ちゃん。
「じゃ、まっさっそく始めるとするか。まずは、【二話に出てきたキ●ガイババァ】」
「おぉー、括弧がゴージャスな感じになったねぇ」
「そうだね……って、海斗。誰さその人?」
「さぁ?」
「さぁ……って、美帆ちゃん覚えてる?」
「私その時、いなかったしー誰?」
…………
「って、何でそんなあきらかに誰も覚えていないようなモブなキャラクターな人をいきなり紹介してんのさ!もっと主要な人から紹介していこうよ!僕とか僕とか僕とか僕とかっ!」
「次は【姫川先生】な、俺達のクラスの担任だ」
スルーですかそうですか。いいもぉーん!誰がなんと言おうとこの世界の主人公は僕だもぉーん!ダメオタニートだけど主人公は僕だもぉーん!
「正確には姫川愛理先生だね。でも愛理ちゃん、極度の恥ずかしがり屋さんだから人付き合いはあまりうまくないみたいだねー。私はそんな愛理ちゃんが好きだけど、お兄ちゃんは苦手な感じだねー」
「そうそう礼二の奴、何か気難しくて空気読めない君だろ?普段からツンツンしてるから、余計姫川ちゃんにイライラすんだろうな。男がツンツンしてるのがかぁいいとか思ってるんだろうかね?あいつキモイよな、春明」
「僕に同意を求めるな!そこで頷いたら僕が殺されゆじゃないか!……まぁ、でも姫川先生は大変だと思うよ。僕なんか初登場ですんごい誤解を受けたし……本名言った後に、ネットで検索されるー云々で忘れてくださいとか言われたの初めてだよ……」
「まぁまぁ春明ちゃん、あれで学園では良心的な教師なんだよ。これから春明も世話になるから仲良くしないとダメだぞ☆」
「……その後に変質者という名の濡れ衣を着せられたんですけど。電波ですよね、あの人」
「次は黒木と後藤田。その次は……」
「ちょっ、ちょっと海斗!ちゃんと紹介してあげなよ!ゴージャスな括弧もなくなってるし!お粗末君だよ!」
「えー、俺達のクラスメイト。以上」
「…………えっと、それだけ?」
「仕方ないよー、私達二人の存在すら知らなかったんだから。この間、春っちと絡んでいる時に初めて知ったし。あ、いたの?みたいな」
「いやいや、結構酷いなあんた達!それって【男子A】とか【男子マジンガーZ】とかと変わらない扱いって言う事だよね!?」
「「だって、モブだし」」
「そうですね……」
ホロリ……。
「次は【橘千里】……おっ母ちゃんか」
「海斗のお母さんだね。学園長さんだよー、ちなみに前作にも登場してるらしいよ」
「ふーん、思ったんですけど、雫ちゃんが理事長なんですよね。ということは、海斗のお母さんよりも立場的には上で……っておかしくないですか?しかも雫ちゃん末女だし」
「難しい事はわかんね。そーゆーことは母ちゃんに聞いてみそ。まぁ、俺が母ちゃんの後を継ぐのが普通かもしれねーけれど、色々あるんだよ色々」
「まぁ、海斗は勉強とか規則とか苦手だもんねーアハハー」
「いぇー自由な俺、最高っ!!!」
……何でそんな偉そうなんだろう。最高じゃないよ最低だよ。
「次は【セレブ】またの名を【南森辰之助】だな」
「あぁ、あの人か……マヨネーズの人。生徒兼警備員とかもうワケワカメだし、色々謎な人だよね。あとマヨるとか」
「あれでもセレブ君は必死で生きているんだからそっとしておいてあげてー」
……美帆ちゃん?それ、遠まわしに酷な事を言っている事を理解してる?
「【学園関係者】はこんなもんか……。あとは色んなアレでアレな先生とかその他諸々」
「適当すぎでしょ……」
「最期に【その他】の部類で、春明の残念な妄想に残念ながら登場した【ロリ大魔王様】か、残念ダナー」
「本当に残念だねー。あー、残念残念。残念無念また来週」
「まるで僕が残念な存在みたいに残念残念、連呼してんじゃねーよ!!!」
「ていうか、あそこで春っちの残念な妄想を挟む作者の意図が分かんないよねー残念」
「あー、でもあれが意外にも伏線なってたりして。あー残念残念」
クッ……こ、こいつら。でも、本当に残念な妄想だったからあまり言い返せない!
くっそぉー!あーハイハイ!残念でしたー残念残念!あはははー!
「んじゃ、今回はこれくらいで。次回はいつになるか分からないけれど、【ヒロイン】と【サブキャラ】を紹介するぜー。ばいばーい」
「ばっいビー♪」
「次回もあるんだ!?えっそこに主人公って項目がないですけれど!ありますよね!?えっもしかして【サブキャラ】に入るわけじゃないですよね!ねぇ!?ちょっと!?大家さん返事してぇー!?」