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記号たちは明日へ進む  作者: 八番出口
第一章 ボツキャラクターの日常
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ある夏の群青 9/9

 残りわずかだった一学期があっという間に過ぎていき、気づけば夏休みが始まっていた。


 とある平日の午前中、特に予定のなかった春心は、リビングでテレビをぼーっと眺めていた。


 いま流れているのは全国放送のワイドショーだ。芸能人や各界の著名人が、様々な時事ネタにああだこうだと好き勝手にコメントしている。


 春心は高校に通うようになってから平日の午前中にテレビを見ることがなくなったので、ああ、そう言えば、平日の日中ってこんな雰囲気だったっけ、と変に懐かしい気持ちになってくる。

 

 将棋界でなんとか七段が最年少記録を塗り替えたという話が終わると、次に、西フランスの洞窟で新たな壁画が見つかったというニュースが取り上げられた。

 

 その壁画はおよそ五万年前に描かれたものらしいのだが、ずいぶん目立つところで発見されたようで、『いままでどうして発見されなかったのか不思議でならない』という、現地の専門家のコメントが引用されていた。

 

 古代の壁画と言われても春心にはさっぱりわからない分野なのだけれど、どうやら世紀の大発見クラスの出来事らしい。


「よお春心、ここにいたか!」

 

 と、朱音がリビングにやってきた。なにがあったのだろう、機嫌がよさそうだ。


「おい見たかよ、あれ!」

 

 あれ、とは。


「壁画のこと?」


「壁画? んだそりゃ? 全然ちげーよ」

 

 違うらしい。

 

 じゃあなんだろう? 全然ピンと来ない。


「気づいてないのか。上木内姉から連絡が来てんぞ」


「え、そうなの!」

 

 春心は慌ててスマホを確認する。確かに、志保からメッセージが一件届いていた。


「うわ、サイレントにしてて気づかなかった!」


 メッセージの内容は、例の騒動に対する謝罪と感謝だった。


 あの日の夜の翌日、春心は学校で直接志保から謝意を伝えられたのだが、今一度、改めて文面で、ということなのだろう。


 ふと、文末に謎のURLが添えられていることに気づいた。


「ん、これなんのリンクだろ」


「まあいいから、見てみろよ」


 にやにやと、朱音が意味深な表情を浮かべる。


 なんのこっちゃと思いながら、春心は志保から送られてきたそのURLをタップした。


 表示されたのは、ある動画チャンネルのトップページだ。ちなみに、クレイジー小僧ちゃんねるではない。


 その動画チャンネルには、たった一件だけ、動画が投稿されていた。


 春心は、その動画を再生してみる。


 すると、そこに映し出されたのは――


「ねえ朱音ちゃん、これって……!」






 その動画は、あまりにも予想外で。


 その動画は、あまりにも驚きに満ちていて。


 だけどその動画は、なによりも温かくて。


 春心は思わず、笑ってしまった。

第一章 完

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