遅すぎた胎動
繰田朱音は反省していた。
五月におこなわれた中間テストのことだ。
「テストなんて文字が書けりゃ万事オッケーッしょオッ!」と、全く勉強をせずに臨んだ結果、彼女は五教科全てで学年最低クラスの点数を取ってしまった。もちろん赤点だ。
それで即留年とはいかない。檸文高校は赤点を取っても提出物と補講で挽回できるようになっているからだ。
しかし逆を言えば、そこでミスをしてしまえば終わりということでもある。
実際、朱音は中間テストの補講に相当な苦戦を強いられた。その場はなんとか切り抜けられたものの、これから先、定期テストの補講を確実に乗り越えられるかどうかの自信はなかった。
そこで彼女は決意した。
次回のテストからはちゃんと勉強をして臨もう、と。補講でつまずいている時点でおかしいのだ。
朱音自身、留年することにはあまり抵抗はない。しかし、周囲の人々に心配をかけるのだけは避けたかった。特に普段世話を焼いてくれている、親代わりの高崎には。留年なんてしてしまった日には、彼女に合わす顔がない。
朱音は自由人だ。
だが、それで周りに迷惑を振りまくのは違う。
それが彼女なりの、繰田朱音なりの矜持だった。
――よし、いっちょやってやるか!
朱音はペンを握り、期末テストに向けて勉強を始めた。
――これは期末テスト開始二十分前のお話☆
オワタ




