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記号たちは明日へ進む  作者: 八番出口
第四章

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ある日の会話 ♯春心、しづく

「はるこ。私、合コン行ってきたんだけど……」


「合コン? いま合コンって言った? 聞き間違いかな」


「合コンで合ってるよ……」


「うそぉ、しづくちゃんってそういうの行くんだ……。っていうか、高校生が合コンなんて行っていいの? そもそもそれって本当に合コン? しづくちゃんって、合コンがなんだか知ってる?」


「言われてみたら合コンってなんの略なんだろ……。でも、あれでしょ? 男女が集まってゲームとかするんでしょ? 私が行ったのもそういう感じだったよ……」


「うわぁ、それって完璧に合コンじゃん……。しづくちゃんがそういうところに行くのって、なんか嫌だなあ。どういう経緯で行くことになったの?」


「休みの日に一人で歩いてたら、でっかい黒い車が迎えに来たの。それでスーツを着た白髪のおじさんが出てきて、『お乗りください』って……」


「え?」


「で、目隠しさせられて、二時間くらい車に乗ってたかな……?」


「ええ?」


「そしたら、なんか山の中のでっかいお屋敷みたいなところで降ろされて……」


「えええ?」


「それからでっかいホールみたいなところに案内されたの……。そこには私以外に七十人くらい人がいて……」


「ななじゅうにん!? 絶対その合コン小回り利かないじゃん!」


「どんなツッコミ……? まあ、それでね、ホールの奥にある超でっかいモニターに司会の人が映って、『これから皆さんにはゲームをしていただきます』って言ったんだ……」


「あのさ、しづくちゃん、思ったんだけど」


「ん……?」


「それって合コンじゃなくて、デスゲームじゃない?」


「デス……ゲーム……?」


「いや、だってその状況、合コンじゃなくてデスゲームっぽいじゃん。じゃあ訊くけど、そのモニターに映った司会の人、ゴージャスで変な仮面してなかった?」


「してた……」


「じゃあデスゲームで決まりだよ。デスゲームの関係者は全員ゴージャスで変なマスクつけてるんだから」


「それは偏見だよ……。というか、合コンだってみんなで集まってゲームくらいするよね……?」


「なら、ほかの参加者の人はなんて言ってた?」


「『これに勝ったら、本当に借金がチャラになるんだろーなぁ!?』って言ってる人がいたよ……」


「じゃあデスゲームだよ! デスゲームはだいたい巨額の借金が絡んでくるんだから!」


「え~、『ゲームに勝ったら合コンの参加費がタダになるんですよね?』っていう意味の確認だったかもしれないじゃん……。まだ合コンの可能性は捨てきれなくない……?」


「捨てきれるって! 合コンの参加費のことを借金って言わないでしょ!」


「でも、会場に『ノブヒコくん』っていう着ぐるみのマスコットもいたよ……? これが本当にデスゲームだったら、マスコットなんているわけないじゃん……」


「いるよ! めちゃくちゃいる! デスゲームって、変なマスコットキャラクターが登場する率まあまあ高いよ! 逆に合コンのほうがマスコットなんていないでしょ! 合コンの会場にマスコットがいる状況ってなに!?」


「え~……? まあ、たしかにいま思うと、ちょっとおかしなところもあったかも……。最初は七十人くらいいた参加者がね、ゲームが進むごとに、どんどん減ってったの……」


「じゃあデスゲームだって! デスゲームは人が減ってくゲームなんだから! 逆に合コンでゲームが進むごとに人が減るって現象起こんないでしょ! 合コンに一回戦敗退なんてないんだから!」


「そう……? 合コンだってさ、自己紹介の時点で大失敗して、いきなり『この合コン、もう望みがないな』っていう状況になったら、それは一回戦敗退みたいなものじゃない……?」


「悲しいこと言わないでよ! とにかく、しづくちゃんが行ったのはデスゲームだよ! 決まりだよ!」


「そうかなあ……」


「なら一回戦で負けた人、どうなった?」


「どうだったっけ……? あ、思い出した……。負けた人は別の部屋に連れてかれてた……。『嫌だああああ! 助けてくれええええ! まだやれる! チャンスをくれ! 地下労働なんて嫌だあああああああああ!』って言ってたなあ……」


「完全にデスゲームだよ! デスゲームで負けた人は借金を返せるまで、わけのわかんない社会で違法労働させられるんだから! 血も涙もないんだから!」


「いやあ、本当にデスゲームかなあ……?」


「逆になんでまだ合コンだと思えてるの? それならどんなゲームやったのか教えてよ!」


「『暗転じゃんけん』をやったよ……」


「じゃあデスゲームだよ! デスゲームって、じゃんけんとか、鬼ごっことか、すごろくとか、あっち向いてホイとか、そういう素朴な遊びを魔改造したゲームばっかりやるんだから! それはもうデスゲーム! 実際の合コンでは……まあ合コンって私もよくわかってないけど、でもどうせ『ポッキーゲーム』くらいしかやらないんだから!」


「よく喋るね……」


「なにそれ!?」


「あと、そう言えばこんなことがあったよ……。二回戦で『人間大富豪』っていうゲームをやったんだけど、カナコっていう人がね、『みんなで協力しようよ! このゲーム、実は協力すればみんな勝てるんだよ! 必勝法だよ!』って言っておきながら、実は裏で抜け駆けしようとしていたっていう衝撃の展開があったんだ……」


「じゃあデスゲームだよ! デスゲームでいい人そうなヤツはだいたい裏切るんだから!」


「それは合コンでもあるんじゃない……? 裏で抜け駆けする人、いそうじゃん……」


「え? あー、まあ……それは……あるかもしれないね。うん、あるかも」


「なんか嫌だね……」


「嫌な世の中だね」


「…………」


「…………」


「あと、こんなこともあったよ……。三回戦で『嘘つきジャンプ』ってゲームをやったんだけど、一人だけ圧倒的に強い人がいてさ、そのとき知ったんだけど、その人、前回大会の優勝者だったんだって……。びっくりしちゃった……」


「それは完全にデスゲーム! デスゲームの強キャラが実は前回大会の生き残りでしたって展開、あるから! 逆に合コンでさ、前回大会優勝者がまた次の合コンに参加してたらどう思う? 全然強キャラじゃないっていうか、なんなら負けてるじゃんみたいな。短期間で負けてるじゃんみたいな、そんな感じになるじゃん!」


「ふーん……」


「ふーんて! っていうか、しづくちゃん、よく無事に帰ってこれたね。デスゲームなんて生きて帰るだけで奇跡みたいなものなのに」


「最後まで勝ち残っちゃったからね……」


「勝っちゃったんだ!」


「お小遣いももらったよ……」


「いくら?」


「1000億円……」


「絶対デスゲームだよ! デスゲームの運営をしてる人たちって、だいたいが庶民の感覚を知らないアホな大富豪なんだから! 金銭感覚が狂ってるから賞金の感覚もおかしいんだよ!」


「はるこ……」


「なに?」


「嘘だよ……」


「どこから!?」

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― 新着の感想 ―
 春心ちゃんのデスゲームに対する解像度がメチャメチャ高くて、吹きました(笑)。
マジで何処から嘘なんだ?
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