第1話 始まり
全てはここから始まった。
目を覚ますと辺り一面平坦な土地で地面は石に覆われた大きな凹地だった。
「ここはどこ?なんで突然外にいるのよ!」
隣の女性の言葉で自分の現状を確認した。
先程の女性を含め、辺り全員似た状態であることは聞くまでもなく明白だった。
突然のことで動転していたが次第に平静を保つことはできた。分かったことはいくつかあったが中でも
少し肌寒く雲が近いことから、ここがかなり標高の高い山であること。
また 俺が初め目を覚ました所の地面には光沢のある石があり色々な言語で様々なことが書かれていた。
特に気になったのは
2/25 6/30 11/03 1xxx 2xxx etc….
特に規則性があった訳では無いが、それらの数字が日付と年代を示していることは容易に理解できた。 自分なんなりに推測すると定期的に人が連れてこられていると解釈することもできる。冷静であれば考えもしないが、小説なら何者かによって転移させたと考えるだろう。
しかし今の状況なら同じような判断しても可笑しくは無いだろう。
そうしているうちに、時間が過ぎ集められた人々も今の状況に馴染んできた。
すると頃合いを図って最も高い所から人が現れた。
「転移者の皆さん異世界にようこそ!これより我々ケリドナムカ王国が責任を持って新たな生活の支援をいたします。」
そう行って一番近いところにいる人々から兵士と思われる人たちに誘導されて移動を初めた。
「これより移動を開始します。現在もともと火山だった山の山頂にいるので、これより下山します兵士の案内に従って列になって付いてきてください。」
「すいません。お手洗い行きたいのですが。」
一人のスーツを着たサラリーマンと思われる人が近くにいた兵士に尋ねるために肩に手で知らせようとした。
一瞬兵士がその男の手を払おうとしたが、ちょうどそのとき後ろにいた上官と思われる人に静止させられ、丁寧な対応をされながらお手洗いできる場所に誘導された。
その場面を近くで確認していたおじさんがその兵士に食って掛かった。
「なんだ今の、あの兵士がスーツの男に乱暴しようとしたよな?おいそこのガキお前も見ていたよな!」
確かに俺は男が手を払われようとしたのは見たが、叫んでいる男の人もなんかやばいやつだったので無視していた。すると上官と思われる兵士が部下に対して指示をした。
「落ち着いてください、この方が落ち着く様にあちらに移動させてください」
「なんだ?俺にも暴力しようってのかよ」
するとその男は暴れながらも兵士二人に連れられてどこかに行った。俺は後をつけようとしたが兵士に「何かなさいましたか?」と半ば威圧的な反応をされたので素直に従う様にした。
数十分程度時間がたったと思う、しかし転移者の数は200人前後だったのもあってそれなり移動には時間がかかるらしく。俺は色々気になるのでゆっくり進んで最後尾に位置していた。
「ああ かなり遅れてしまったようだね。」
最後尾の俺の後ろから来たのは手洗いに行ったスーツ姿の男だった。
「すいません、もう一人連れていかれた方がいたと思うのですがどうされたのですか?」
俺はスーツの男を引率してきた兵士に確認した。
「少し確認します・・・”メッセージ”『もう一人男がいたらしいのです確認お願いします。はい わかりました・・・ 』問題ないようですよ、先に行ってるらしいです」
この世界に来て一番初めに魔法を見たのは俺かもしれない。あれはメッセージと言う遠隔地間の連絡用魔法なのだろうか?
それはさておき先程のめんどくさそうな男と数十分で説得できるのだろうか?
もしかしたら魔法で洗脳されたか。もしくは殺されたと考えても可笑しくない。