しかさーん!
お土産の後は、みんなでご飯。まずはレンジで温める。隣の部屋、つまり準備をする部屋にはレンジが置かれてあるから、それを使って温めだ。置いている理由は単純で、私たち家族がれんちゃんと一緒にご飯を食べられるように、だね。
まあ泊まる時は私たちの分もご飯を用意してくれることが多いから、あまり使うことのないレンジなんだけど。
お弁当を温めている間に、病室に折りたたみのテーブルを出す。あとは椅子を出して、温め終わったお弁当を並べて、改めてご飯だ。
「おねえちゃんもハンバーグ?」
「そうだよ。おそろいだね」
「おそろい!」
嬉しそうに笑うれんちゃんは天使です。
私たちがそんな話をしていたら、菫が鞄から紙皿を取り出していた。使い捨てのお皿だね。それにナポリタンを載せてる。
「響」
「うん」
響ちゃんはドリアをすくって、それもお皿に。そうして、れんちゃんのテーブルに置いた。
「はい。味見どうぞ」
「え。いいの?」
「もちろん」
「わあ! ありがとう!」
早速とばかりにナポリタンを食べるれんちゃん。にこにこ笑顔です。
それにしても。
「しまった……その手があったか……!」
れんちゃんにおかずをわけるなんて! くそ、私も唐揚げとかにしておけばよかった!
「れ、れんちゃん、私のハンバーグも……」
「はんばーぐ、食べてるから大丈夫!」
「くう……」
そうだよね、すでに食べてるよね……! でもれんちゃん、病院食のハンバーグと違って、こっちのハンバーグは味付けが濃いんだよ……濃いんだよ……。
「ほら」
菫が紙皿を渡してくれた。
「あなたが神か」
「そうよ。崇めなさい」
「かみぃ!」
「バカにされた気がするわね」
どうしろと。いや、調子に乗ったのは事実だけど。
紙皿にハンバーグを半分載せる。私は半分あればご飯を食べきれるからね。それをれんちゃんに渡すと、不思議そうに首を傾げられた。
「ハンバーグ、あるよ?」
「こっちも美味しいから!」
「んー……。じゃあ、もらう!」
ぱくりと私のハンバーグを食べるれんちゃん。すると顔を輝かせて、もう一口。
「美味しい!」
「うんうん。たくさん食べるんだよ」
れんちゃんはわりと食べる方だからね。これぐらいなら食べきれるはず。
もっきゅもっきゅ美味しそうに食べるれんちゃんを眺めながら、ちょっとお話。内容は、菫たちの旅行について。
「奈良ね。大仏目当て?」
「それが違うのよ。マスコットを買いにね」
「マスコット……。あのなんとかくん……?」
「そっちじゃなくて、鹿の方ね」
ああ、れんちゃんがもらったぬいぐるみの方か。あっちはすごくかわいいよね。
「この子、すごくかわいい!」
れんちゃんが鹿のマスコットをもふもふしながら笑顔で言う。抱くのにちょうどいいサイズみたいで、抱き心地も良さそうだ。
多分響ちゃんが選んでくれたんだろうね。すごく嬉しそうに笑ってる。いやあ、友達っていいものだよね。うん。
「ちなみに私にはないの?」
「あるわけないじゃない」
「ですよね」
なんて言いながら鹿のフンをくれた菫のことが大好きです。いや、うん。字面はちょっとあれだけど。鹿のフンをもらったって、なんかすごい。
「響ちゃん、鹿さんは見たの?」
「うん。いっぱいいたよ。鹿せんべいをあげるとね、たくさん寄ってくるんだよ!」
「へえ……!」
あ、れんちゃんの瞳が輝いてる。すごく羨ましそうにしてる。うん。よし。この流れはいつものやつだ。
「おねえちゃん、鹿さん、あっちにもいるかな?」
「ちょっと待ってね……」
れんちゃんに光が当たらないように気をつけて、スマホを使う。鹿、聞いたことがないけど、でもいないとは思わないんだよね。あの運営が鹿を使わないはずがない。
調べてみると……。あった。ファトスの側にいるみたいだね。一応魔物扱いみたいだけど、なんとお煎餅を食べてくれるらしい。奈良みたいに鹿せんべい限定ってわけでもないみたいだ。
うん。これなら、れんちゃんも喜びそう。
「鹿さんいるよ。会いに行く?」
「行く!」
うん。決定だね。でもとりあえずは。
「響ちゃん、わたしも鹿さんに会いにいくね!」
「うん! 見てるね!」
とりあえずお友達と仲良く、だね。
「しかさーん!」
「しかさーん!」
「でもあれは何してるの……?」
「さあ……?」
二人で鹿さんのぬいぐるみを掲げる様子を見ながら、私と菫は首を傾げた。でもかわいいからいいのです。うえへへへ……。
壁|w・)鹿さんに会いに行きます。
…………。鹿はまだだったよね……?






