配信124回目:お馬さんでの移動
近くのお馬さんに駆け寄るれんちゃん。お馬さんはそんなれんちゃんを見ると、興味深そうに寄っていって鼻を近づけてる。すんすんと匂いを嗅いでるように見えるね。
そんなお馬さんの首を撫でて、れんちゃんはご満悦だ。もふもふはしてないけど、わりと小さい馬だから結構かわいいのかも。
「あの馬に乗れば、新大陸を順番に巡ることができる。一通り見て回るのに最適」
「いいね。それでキャンプ地から近いのかな」
「そうだと思う」
それはすごく便利だ。れんちゃんもお馬さんを気に入ったみたいだし、是非乗ってみよう。
「というわけで、れんちゃん。お馬さんに乗ろうか」
「いいの?」
「いいよー」
れんちゃんは少し考えて、側の小さめのお馬さんを選んだ。れんちゃんのホームにいるファラベラほど小さくはないけど、でもれんちゃんが乗るにはちょうどいい大きさだ。
「わあ……。かわいい!」
れんちゃんがお馬さんをぎゅっと抱いて、お馬さんもどこか誇らしげ。なんだこのかわいい生き物。好き。
『あああああお馬さんにすりすりするれんちゃんかわいいよおおくんかくんかしたいよおおお!』
『まずいぞ錯乱兵だ! 衛生兵! 衛生兵!』
『あああれんちゃんかわいいよおおお!』
『衛生兵!?』
衛生兵さんは犠牲になったのだ……もふもふの犠牲にな……。
そんなアホな話は置いておいて。私たちも馬に乗る。するとそれを待っていたみたいに、馬が走り始めた。ぱかぱかと最初はゆっくり、そしてだんだんと早く。
「おー……。結構早いね。そして風が強い! 落ちそう!」
「大丈夫だよミレイちゃん、手を離してふざけてもシステム上落ちないから」
「それはそうだけど!」
「ん……。体は揺られるから、シュールな光景にはなる」
「やらないからね!?」
『なんで?』
『大丈夫だミレイ、お前の奇行は今に始まったことじゃない』
『だから誰もどん引きなんてしないからな! だっていつもどん引きしてるから!』
「うるさいよ!」
やらないって言ってるでしょうがしつこいやつらだなあ!
結構早いけど落ちる心配はない。そう思うとわりと余裕も出てくるわけで、周りの景色にも視線を向けることができた。
なんだろう。雰囲気的にはサバンナっぽいかもしれない。たくさんの動物がいるのも見える。魔物とかそういうのじゃなくて、本当にただの動物だ。
「おねえちゃん!」
「ん?」
「イタチさん!」
れんちゃんが指さす方を見ると、小さい動物が岩の上でこっちを見ていた。とてもかわいい、小さなもふもふ。れんちゃんの興味もそっちにいってる。
なるほど、イタチ。確かにイタチに見える。是非とも見にいきたいけど、残念ながら馬は止まってくれないみたいだ。
「れんちゃん。また後でね」
「うん!」
あとでちゃんとこっちに戻ってこないとね。
さらにしばらく走って、馬が止まってくれた。マップを開いて場所を確認してみる。ふむ……。
「あのキャンプ地からまっすぐ北上してきたんだね。もうちょっとマップがはっきりと分かればな……」
新大陸、という設定だからか、ここに入るとマップはちょっと特殊な仕様になる。今までの場所だとダンジョン内部とかでもない限り、マップは結構詳細に見れたんだけど、ここだと行ったことがないと記載されない仕組みになってる。
一部のRPGゲームに見られる仕様だ。こういうのも楽しいとは思うんだけど、もふもふに会いにきてる私たちからすると、ちょっと不便。
一応、出会った動物たちも書かれているんだけどね。さっきのイタチの生息域も書かれてるぐらいだし。ただやっぱり、全体像が分からないと不便だ。
「アリス。ルル。ここってどんな形の大陸?」
「ん。大きな丸い大陸、と思っていい。ベースキャンプは南端にあって、さっきの馬でとりあえず北の中心地点まで向かえる」
「へえ……」
マップを拡大してみると、それぞれの地点の場所も書かれてあった。船でたどり着いたあの場所が、拠点となるベースキャンプ。その周辺にぽつぽつと馬の絵が描かれていて、ホースベースとあった。
「運営のネーミングセンス……」
『言ってやるなよw』
『分かりやすい名前じゃないと忘れちゃうからな』
「それはまあ、そうだけど」
でもホースベースって。そのうちイタチベースとか出てきそう。
「ホースベースの東西南北に動物の生息域がある感じなんだね。とりあえず、イタチ、行く?」
「行く!」
それじゃあ、早速イタチに会いに行こう。
ホースベースの馬たちを軽く撫でて別れを告げて、南へ少し歩く。すぐに会えるといいな、とは思っていたけど……。
「イタチさん!」
イタチたちがいっぱい出迎えてくれた。
岩の上や木の側にイタチたちがたくさんいる。みんなこっちを見て、警戒、してるのかな?
見た目はフェレットとか、そういうのに近い。細長い体に長い尻尾、くりくりとした目……。うん。とてもかわいいと思う。
「ちなみに、イタチは要注意だよ」
「え? どういうことアリス」
「リアルのイタチはわりと凶暴なの。しかも保護しないといけないから、家に入られると大変だったりする。縄張り意識も強いらしくて、イタチがたくさんいる場所の人からすればかなり迷惑な動物かな」
「へえ……」
さすがアリス。物知りだ。
ふむ。警戒心が強くて凶暴で縄張り意識も強い。なるほど。
「あれが?」
「あれが」
私たちの目の前には、れんちゃんに集まってまとわりつくイタチたちの姿があった。
『イタチの姿か? これが』
『れんちゃんはもふもふを魅了するフェロモンを常時発してるから……』
『なるほど』
「なるほどじゃないが?」
いや、でも最近はそれが本当にあったとしても驚かないと思う。れんちゃんはいつも通りもてもてだから。イタチと遊ぶれんちゃんはとってもかわいいです。
壁|w・)イタチさん!
なおなぜイタチなのかは私には分からない!






