配信123回目:カモメさん
船室を出て、エレベーターに乗って甲板に出られる階層に向かって。そうして短い廊下を歩くと、甲板に出ることができた。
「おー……」
豪華客船の甲板なんて私は当然知らないけど、これはなかなかすごいと思う。とんでもなく広いスペースに、中央には何故かプール。その周囲には白いテーブルや椅子が並んでる。プールで遊んでる人もいるけど、今日の目的とは違うからね。
「カモメさんどこ?」
れんちゃんも今回ばかりはプールに興味なさそうだし。まずはカモメさん探しだ。
「ルル、任せた」
「ん。この場所だとカモメは来ない。階段を上って一番上に向かう」
「へえ」
ルルが指さした方には、確かに階段があってさらに上に行くことができるようになっていた。ルルの先導で階段を上って、さらに上へ。
そこも船室程度の広さになっていて、テーブルと椅子があった。でも他は特に何もない。何もない、けど、すでにカモメは飛んでいた。
すでにそこにいた人が手に持っている何かを持ち上げる。するとその何かをカモメが食べてすっと飛んでいく。エサをあげてるのかな。なかなか楽しそう。
『あれ俺もやったけど、謎の楽しさがあるよ』
『カモメが近くまで寄ってきてくれるのがなかなかいい』
『ちなみにリアルでもできたりする』
へえ。どこかでそういうのをやってるのかな。リアルっていうことは完全に野生だろうし、なかなかすごいことだと思う。
「わあ……! あれやりたい!」
やっぱりれんちゃんも興味を示した。エサは、何か特別なものがいるのかな。
「エサはどこかで買わないといけなかったりする?」
『うにゃ、エサならなんでもいいぞ』
『ただしそこのカモメも好き嫌いがあるみたいでな』
『まずいエサは寄ってこない』
「無駄に贅沢なカモメだね……」
いや、適当なエサをあげようとは思ってないけど、さすがにわがまますぎない? でもとりあえず、エサならなんでもいいみたいだし、れんちゃんの手持ちのエサなら大丈夫そう。
「れんちゃん。エサならなんでもいいみたいだよ。試してみよう」
「うん!」
インベントリからエサを取り出して、れんちゃんが手を上げる。少し待つと、カモメがすっと飛んできて、ぱくりとれんちゃんのエサを食べて飛び去っていった。あっという間だ。
あっという間だったけど、れんちゃんは大満足みたい。
「わあ! 食べた! 食べたよおねえちゃん!」
「食べたね。一瞬だったねえ」
「かわいい!」
「おまかわ」
「おまかわ」
『おまかわ』
いつもの心が一つになった感じです。
れんちゃんがまたエサを持ち上げると、カモメが寄ってきて食べていく。ただそれだけなのに、れんちゃんはすごく気に入ったみたい。何度も何度も同じことを繰り返してる。
ふむ……。私もやってみよう。
エサを出して、持ち上げて。さあこい!
「…………。来ないんだけど」
「ミレイちゃんの顔が怖いんだと思う。れんちゃん見てにやにやしてるから」
「待ってそこ見られてるの!?」
さすがにそれはまさかすぎるんだけど! 私はほら、怖くない、怖くないよ!
うん。何故か寄ってこない。嫌がらせかな?
『ばっかお前、近くにれんちゃんがいるんだぞ?』
『かわいいれんちゃんとにちゃっとしてるミレイ、どっちのエサを食べたいと思う?』
「なるほどれんちゃんだね納得した」
『いつものことだけど納得すんなw』
私がカモメなら間違いなくれんちゃんのエサをもらいに行く。絶対にだ。私みたいなやつのエサなんか後回しに決まってるからね!
そう力説するとアリスとルルから生暖かい目で見られた。ちょっとその視線はやめてほしい。
「ところで、カモメはテイムできるの? やっぱり難しい?」
「一応テイムの報告はあるけど、数は少ない。多分確率がすごく低い……」
「おねえちゃん、おともだちになったー!」
「知ってた」
ルルが遠い目をしてる。多分まだテイムできてないんだろうなあ。
それはともかく、れんちゃんの肩にカモメがとまっていた。れんちゃんの頭の上にいるラッキーと見つめ合ってる。じっと。じいっと。
しばらく見つめ合ってたけど、お互いに顔をすりすりし始めた。これはなかなか、かわいいと思う。
「うん。かわいいね、これ」
「え? え? なに?」
「あ、そっか……」
ラッキーとカモメの触れ合いはれんちゃんからは見えないのか。ちょっとおろおろしちゃってる。あとで見せてあげよう。
カモメはふわりと浮かび上がると、れんちゃんの前でふわふわと待機してる。何かを求めるみたいにれんちゃんを見つめてるけど、何をしたいんだろう。
「んぅ……。こう?」
れんちゃんが右腕を前に出すと、その腕にカモメがとまった。
「わあ……」
改めてカモメをまじまじと見つめるれんちゃん。れんちゃんがカモメを撫でると、カモメはどことなく気持ちよさそうに目を細めた。
「カモメさんかわいい……!」
れんちゃんがカモメさんを撫でてにこにこしてる。ちゃんとカモメさんの負担にならないように、優しく撫でてる。ふにゃふにゃれんちゃんだ。
「うえへ」
『ああああれんちゃんかわいいよくんかくんかしたいよおおお!』
『錯乱兵がミレイのうへりをかき消しただと……!?』
『これが新たなうへりキャンセル……!』
『錯乱兵によるうへキャン!』
『お前らは何を言ってるんだw』
本当にね。なんだこいつら。いや別にいいんだけど。
ともかく、れんちゃんがカモメさんとお友達になれた。ここでのことはこれで十分。だから、そろそろ、新大陸に行こう! 新しいお友達も待ってるから!
「ねえ、ミレイちゃん。なんかすごいことになってるんだけど」
「ん……。たくさんのカモメがれんちゃんに集まってる」
「あーあー! 何もきこえなーい!」
そんなのはいつものことだからね! 写真を撮りまくればいいと思います!
なお、結局新大陸にはたどり着けず、大量のカモメたちと遊んで終わることになりました。
いつものことだね。知ってた。
「わぷ……むー!」
「れんちゃーん!?」
カモメさんに溺れてるけど……。れんちゃんが楽しそうなのでそれでよし、だね。
壁|w・)カモメはかわいい。
新作の準備のため、また少しお休みします。
お休みします、なんて言いながら投稿するかもしれません。
投稿がなければお休みです……。
つまり、いつも通りってことさ!






