配信123回目:いざ乗船!
港にたどり着いたから小さい船から降りて、おじさんにお金を支払った。そのまま向かう先は、新大陸に行くための船……じゃなくて。
「おふねいっぱいだー!」
はしゃぐれんちゃんの後を追いかけないとね。
「れんちゃんちょっと待ってー!?」
港を走り回るれんちゃんを追いかける。うーん、テンションがすごく上がってるね! それはいいけどもうちょっと落ち着いてほしいかなあ……!
れんちゃんを捕獲できたのはたっぷり五分ほど走ってから。れんちゃんが立ち止まったから捕獲できた、だけど。
「わあ……」
れんちゃんが見てるのは、豪華客船って言えばいいのかな? なんだか近代的で大きい船だ。映画とかに出てきそう。れんちゃんも目をきらきらさせて見つめてる。
確かにこの船はいいかもしれない。乗ってみたいのもとても分かる。でも、私はその前に言いたいことがあるんだ。
「世界観どこいった!」
『なにを今更w』
『運営の方が世界観を無視していろいろ遊ぶのはいつものこと』
『これはちょっととびっきりかもしれないけどw』
普通に現代日本でもありそうな船だからね! 剣と魔法のファンタジーはどこいっちゃったのかなあ!? いや、楽しければいいんだけど!
ちなみに、一応世界観を大事にしてる船もちゃんとある。時代を感じる大きい帆船。れんちゃんが見てる船よりも一回り小さいけど、しっかりした木製の船だ。こういうのもいいよね。
まあれんちゃんの興味は豪華客船にいってるわけですが。気持ちは分かる。
「おねえちゃん、これ乗りたい……。だめ?」
「だめじゃないよ。ちょっと待ってね」
れんちゃんが望むのならもちろんお姉ちゃんはがんばりますとも。
というわけで。
「ルル、どれに乗ればいいかなっていうかこれに乗れるかな」
質問は経験者のルルへ。ルルならきっと答えてくれる……!
「ん。大丈夫。費用も大差ない」
「マジかよ」
「マジだよ」
じゃあ誰が好き好んで木製の方に乗るのかな、と言いたいけど……。れんちゃんがいなかったら私は乗ったかもしれない。いや、せっかくのゲームだからね。むしろ一回ずつ両方乗ったかも。
ともかく。問題なく乗れるなら安心だ。れんちゃんのご希望通り、この大きいお船に乗ろう。
乗船券は、船に乗る時に船員さんから買うことになるみたい。気にせず乗りに行けばいいのだとか。
というわけで、れんちゃんと一緒に船に乗る。船の入り口と桟橋からは小さい橋があって、そこを渡っていくみたい。そうして渡ると、入り口に船員さんが立っていた。
「ようこそ。何名様でしょうか?」
「よにん!」
「かしこまりました。ではこちらをお買い求めください」
「んぅ……」
れんちゃんが困ったような顔で振り向いてきた。多分購入関係のウィンドウが出たのかな。れんちゃんと交代して、私が購入。四人分だ。
「なんでアリスとルルの分まで私が買ってるの……?」
「れんちゃんが四人分って言っちゃったから……。あとでちゃんと払うよ」
そんな小声での会話。れんちゃんには聞こえないようにね。
船に乗って、少し歩く。エレベーターで上に移動したその先は、なんだかとても豪華な部屋だった。
部屋の中央にはシャンデリアがあって、大きな階段が部屋の中央にあって奥にのびてる。この最初の部屋は吹き抜けになっていて、ここを一階とすると四階までがここから見えるようになっていた。
客室はそれぞれの階層にあるみたいだけど、遊ぶ場所もたくさんだ。これはなかなか楽しそう。
「んー……。れんちゃん、どうする? どこかで遊ぶ? お部屋見てみる? それとも、甲板かな?」
カモメさんと遊ぶなら、当たり前だけど甲板だ。この船に乗った意味はなくなりそうだけど。
れんちゃんは少し考えてから、答えてくれた。
「お部屋! カモメさん!」
「お部屋を見てから甲板だね。了解」
この船で遊べるところは気になるけど、やっぱりれんちゃんとしてはカモメさんが優先みたいだね。れんちゃんらしい。
とりあえず、客室を見に行く。案内表示に従って三階の通路の奥に行くと、私たちの部屋があった。のぞいて見ると、これもやっぱり豪華な造りだ。
中央に大きなソファがあって、ゆったりと休めるようになってる。棚とかの小物入れとかもなんだか装飾がたくさんある豪華なもの。専用のお風呂やトイレも完備で、さらにはこの部屋専用のバルコニーもあるみたい。別室にはベッドもある。
「なんだか無駄に豪華だね」
『実際にほとんどが無駄だぞ』
『棚はインベントリがあるから使わないし、トイレも当然ながら使わない。ベッドで寝たらログアウト。バルコニーはカモメが寄ってくるわけでもないから、まあ海の景色が楽しめるだけ』
『雰囲気用だな!』
「ええ……」
いや、まあ、そうなんだろうけど。ちょっと豪華客船を体験できる、みたいな感じだろうし。そもそも新大陸につくまでそんなに時間もかからないみたいだしね。
でもれんちゃんとしては満足みたい。さっきから部屋を走り回ってる。
「おねえちゃん! ベッド! ふかふか!」
「ふかふかなんだ」
「ソファもふかふか!」
「うんうん」
「おふろきれー!」
「そっかー」
れんちゃんが楽しそうなら全てよし、だね!
「ルル。新大陸にはどれぐらいでつくの?」
「十分」
「え」
「でもその後はいつ下りても大丈夫」
「ああ、そういう……」
さすがにすぐに下りろとは言われないらしい。なんなら、ここでずっと過ごしたりもできるそうだ。たっぷり遊んでから行く人もいそうだね。
「ちなみに甲板に出ると常に海を進んでるらしいよ」
「ええ……」
それはそれで、不思議状態だ。
そんなこととアリスとルルと話していたら、れんちゃんが戻ってきた。もう満足したみたい。
「おねえちゃん」
「うん。満足した? カモメさんに会いに行く?」
「行く!」
よし。それじゃあ、カモメさんに会いに行こう。甲板へ出発だ。
壁|w・)豪華客船! なお私は乗ったことがない!
運営「世界観? それ日本語ですか? 辞書にはありませんが」
来週はちょっとお休みする、かも、です。






