配信123回目:港町フォス
ファトスを経由して、転移石で新しい街に転移。転移先の選択肢にいつの間にかフォスが増えていた。それでいいのか運営さん。
そうして転移した先は、とってもファンタジーな港町だ。
煉瓦造りの建物がたくさん並ぶ街並みで、町中に水路がある。港町っていうよりは水の街って印象だ。そんな街の奥にかすかに見える港には、たくさんの船がとまっていた。
『どう見ても港町ではない件について』
『海の街というより湖に浮かぶ街だよな』
『こまけえことはいいんだよ!』
言いたいことは分かるけど、これはこれで綺麗な街並みだからいいと思うよ。
「わあ……。おねえちゃん、お船! お船!」
「お船だねえ」
「あれ乗りたい!」
「ん?」
れんちゃんが指で指し示したのは、港に見える大きな客船……じゃなくて。
街の水路を通る小さな船だった。渡し船とか、そんな感じの小さい船。NPCらしい人が船を動かしてるみたいだね。
「ルル。あれは乗れるの?」
「ん。もちろん乗れる。お金を払うと目的地まで案内してくれる」
「ちなみに、いくら?」
「ポーションより安い。その上、目的地がどこでも値段は同じ」
「ほう」
それは、かなり良心的だと思う。最初の街でチュートリアルを終わらせた人なら、特に問題なく用意できる金額だ。
というより。その辺でモンスターを五匹ほど狩れば十分ってぐらい。
「乗れる? 乗れるの?」
「乗れるみたいだよ。早速乗る?」
「乗る!」
というわけで、大きいお船の前に小さいお船だ。
小さい船は水路の側で手を上げるとすぐに来てくれるという仕組みらしい。れんちゃんがやりたがったのでもちろんれんちゃんに任せる。
「おふねのりたいです!」
れんちゃんがそう言って手を真っ直ぐ突き上げれば、すぐに小さい船が目の前にやってきた。
「わあ……!」
れんちゃんがちょっとはしゃいでる。かわいい。
「港町フォスへようこそ。どこまで乗りたいんだい?」
「おねえちゃん!」
「港って答えてね」
「みなと!」
れんちゃんが元気よく答えると、NPCのおじさんはどことなく優しげに笑って頷いた。
「港だね。何人乗るんだい?」
「よにん!」
「あいよ。じゃあ乗ってくれ」
というわけで、乗船だ。ちなみにさすがにテイムモンスは乗れないらしくて、れんちゃんの頭を定位置にしてるラッキー以外は送還しておいた。
「よかった……ちゃんと人数に含んでくれた……。嬉しい……」
『良かったな、ルル』
『正直ルルだけ置いていかれると思ってたw』
『おなじくw』
『馬鹿野郎、天使なれんちゃんがそんなことするわけないだろ!』
まったくだ。さすがに親しくなった人を置いていくようなことをれんちゃんはしないよ。
一人は寂しいっていうのを、よく分かってる子だから。良くも悪くも、ね。
私たちが小さい船に乗ると、早速船が進み始めた。
「おふね! ぷかぷかー!」
我らがれんちゃんは船の先頭に陣取って、ハイテンションではしゃいでる。れんちゃんが楽しそうで、私も嬉しいよ。
そんな楽しそうなれんちゃんを乗せてるせいか、水路の両横、つまり街にいる人からとても微笑ましそうに見守られていた。
中にはれんちゃんのことを知ってる人もいるみたいで、
「あ! れんちゃんだ!」
「ちっちゃくてかわいい!」
「おーい! れんちゃーん!」
そうしてたくさんの人が声をかけてくれていた。
「わーい!」
れんちゃんも嫌な顔一つせず、呼ばれたら律儀に手を振り返してる。それもまた楽しいみたい。
『めっちゃくちゃ羨ましいんだが?』
『れんちゃんに手を振ってほしいだけの人生だった……』
『お前の人生それでいいんかいw』
『は? 思い浮かべろよ。れんちゃんが手を振ってくれる光景を』
『最高では?』
私も最高だと思うよ。
のんびりまったりお船は進む。たったそれだけなのに、れんちゃんはずっと楽しそうだ。
「いやあ……。こうしてはしゃぐれんちゃんを見れるだけでも、役得だよね」
「ん。れんちゃんの笑い声を聞いてると元気になれる」
アリスとルルの会話に全面的に同意するよ。
「いい街だよね。魚もたくさん泳いでるし」
この水路には魚もしっかり泳いでいて、船からでも魚が泳いでるのが分かるほど。れんちゃんは気付いてなかったみたいで、ぐるんと私の方に振り向いた。ちょっとだけ怖いよれんちゃん。
「おさかな?」
「うん。泳いでるよ」
早速とばかりにれんちゃんは体を乗り出してのぞき込んでる。ちなみにシステム上、船から落ちないようになってるらしいからその点は安心だ。
「おお……おさかな……! ラッキー、かわいいね!」
「わふ!」
一人と一匹が楽しそうに川をのぞき込んでる。
『謎の作り込みだよな』
『ちなみに川の魚は釣れるし食べられます』
『マジかよw』
マジなの? ルルを見ると、しっかりと頷かれた。本当のことらしい。
それならいずれ、釣りをしてみるのも楽しいかも。れんちゃんと一緒にやりにこようかな?
そんなことを私が考えてる間に、船は港に近づいていた。
「おお……」
すごいね。大きい客船だけじゃなくて、ちゃんと漁船らしい船もある。本当にちゃんと港してる。
「お船いっぱい!」
れんちゃんのテンションもどんどん上がってる。やっぱり小さい船とはまた違うよね。どんな船なのか、楽しみだ。
壁|w・)水の街。のんびり散策。ふと川を見ると、とっても楽しそうにはしゃぐれんちゃんを乗せた船がのんびり進んでいきます。手を振ると、嬉しそうに振り返してくれました。
そんなイメージ。






