ころころれんちゃん
授業を終えての放課後。八月ももう終わりだっていうのに、まだまだ暑い。そんな暑い中、私はれんちゃんがいる病院へと向かって歩いてる。
アイスでも買おうかな。たくさん入った箱のアイスを買って、れんちゃんの病室に置いていくのもいいかも。れんちゃんが自由に食べられるように。
我ながらいいアイディアだと思うんだけど、あまりこうして買いすぎるとお母さんに怒られてしまう。ぬいぐるみとかはあまり怒られないんだけど、食べ物はちょっとね。れんちゃんが太ってしまったらどうするんだって。
私としてはちょっとぽっちゃりしたれんちゃんも見てみたくはある。むしろ是非見たい。絶対かわいい。今すぐ見たい。
でも体にいいわけじゃないっていうのは分かってるから、さすがに口が裂けても言えないけど。私としても、れんちゃんの体調が悪くなっちゃったら嫌だから。
それを考えると……。やっぱりあれかな。小さいチョコアイスがたくさん入ったもの。あれなら、数を決めておけばれんちゃんなら守ってくれるだろうから。
というわけで、コンビニで購入。もう一個、自分用に棒つきのアイスを買って、食べながら歩く。暑い時に食べるアイスはやっぱり美味しい。
うだるような暑さの中、えっちらおっちら歩いて……。ところでうだるって何? あとで調べよう。
れんちゃんの病室に到着。荷物を置いて、アイスを持って病室に入ると。
れんちゃんがベッドの上でころころしてました。ベッドの上であっちへころころ、こっちへころころ。かわいい。
とりあえずアイスを冷凍庫に入れて、と。
「捕獲!」
「きゃー!」
ころころ転がってるれんちゃんを抱き上げて、膝の上に乗せる。れんちゃんは楽しそうに笑いながら逃げようとしてる。でも逃がさないのだ!
「うえへへへ……れんちゃんはかわいいなあ……」
「…………」
「あ、まって、そんないきなり冷静にならないで」
すん、とした顔はやめてほしい。無表情で見つめないでほしい。ちょっと怖いから。
「アイス食べる?」
「たべる!」
さっき入れたアイスを取り出して、箱の中から小袋を取り出す。手の平サイズの丸いアイスで、バニラアイスをチョコで包んでるよくあるタイプ。
れんちゃんに渡してあげると、早速ぱくりと口に入れた。
「つめたーい」
「冷たいねえ」
「あまい!」
「うんうん。甘いね」
もごもご口を動かしてるれんちゃんはとてもかわいい。ころころ口の中で転がしてるみたい。
「おねえちゃん、今日の夜はどこに行くの?」
「あー……」
もちろんゲームの話だ。ゲームの話、なんだけど……。
「今日のゲームはお休みかな……」
「んぅ? どうして?」
「メンテだからさ……」
なんとびっくり、丸一日の長時間メンテだ。メンテ時間は朝六時から夜九時まで。運営さんは本当に大変だ。
「めんて?」
「そう。メンテナンス」
「めんてー!」
「メンテー!」
よく分からないけど、れんちゃんが楽しそうならそれで良し、です。
メンテの意味はよく分かってないみたいだけど、今日はゲームできないことは理解してくれたみたい。ちょっとだけしょんぼりしてしまった。こればっかりはどうしようもないからね……。
「というわけで、今日はちょっと長めにここにいるからね。遊ぼう」
「遊ぶ!」
「うんうん」
れんちゃんが早速ぬいぐるみを取りに棚に向かった。たくさんのぬいぐるみを抱えて、ベッドに戻ってくる。ベッドの上にぬいぐるみを並べ始めた。
「れんちゃん、配信してもいい?」
「うん」
というわけで、配信を開始。いつものようにスマホで始めて、小さい棚に置いておく。
「はいどうも。今日はメンテなのでリアル配信です」
『リアル配信だー!』
『さすがに今日は配信ないと思ってたからめっちゃ嬉しい』
『れんちゃんは! れんちゃんはどこですか!?』
「れんちゃんの代わりに私を見てもいいんだよ?」
『は?』
『ちょっと何言ってるか分かりませんね』
『お前がれんちゃんの代わりになれるわけないだろうがいい加減にしろ!』
「そうだね!」
『全力で認めるなw』
れんちゃんが百点だとしたら私は一点ぐらいのミジンコだからね。れんちゃんかわいいよれんちゃん。うえへへへ。
『ついにこいつ、何も見ずにうへり始めたぞ』
『多分れんちゃんを妄想したんだろうなあ』
『お前一人ずるいだろうがはやくれんちゃんを見せろ!』
それもそうだね。では、れんちゃんのお披露目です。
スマホをれんちゃんに向ける。れんちゃんはベッドの上にぬいぐるみを並べ終わったみたいで、むふーと満足そうだ。
壁|w・)今回と次回は病室でのれんちゃんです。






