配信十回目:投げ銭開始
『徹底してるなあw』
『ほほう。つまり、れんちゃんのための募金目的で投げ銭するのもあり?』
「ありです。その時は言ってくれれば、その金額先に募金します。そしてとても助かります。その、れんちゃんにはあまり言えないけど、結構お金かかるからね……」
『だろうな』
『れんちゃんのための医療費になるなら、投げ銭してもいいかなって思える』
『待て。待ってくれ。れんちゃんって何か重い病気なんか?』
おっと、そう言えばどうせ調べるだろうと思って言ってなかったね。ついでに説明するのもありかな……。んー……。
「なんだったかな。原因不明、過敏症、のセットで検索したらまとめが出てくると思うから、そっち見てほしい」
『まとめあるってことは、マジで重い病気?』
『命の心配はないけど重い病気ではある』
『調べてお前も投げ銭するんだよお!』
「無理強いだめ、絶対。れんちゃんが知ったら怒るからね」
『あ、はい。気をつけます』
十分に気をつけてほしい。……いや、何様だよとか言われそうだけどさ。れんちゃんが悲しそうにするからね。
「あの子は、自分のために誰かが無茶をするっていうのを、すごく嫌がるから。私たちは気にしないのにね……」
『ミレイ……』
「もっとれんちゃんのために働いてれんちゃんにほめてもらいたい。なでなでしてほしい。是非に」
『ミレイwww』
『お前はほんとにさあ!』
『イイハナシダナー』
いや、まあ冗談だけどね。さすがにね。
ともかく、これで説明は以上だ。というわけで、
「投げ銭解禁だー!」
ぽちっとな!
…………。いや、馬鹿なのかこいつら。
「とりあえずいきなり三万円ぶちこんだ人の頭がちょっと狂ってるのは理解した」
『辛辣ぅ!』
『ひでえwww』
『まあまあ、数人ぐらいはそういう人もいるよ』
「ちなみになんか五十万コインになりました」
『多すぎぃ!』
『うんごめん。ミレイに同意するわ。馬鹿かお前ら』
『うっせ。そう言うお前も投げたんだろ? 言ってみ?』
『は? 上限三万に決まってんだろ』
『お前が一番馬鹿じゃねーか!』
いやさ。ほんとにさ。私はどうすればいいのかな。え、いや、ほんとに。なにこれ。五十万って、え。どういうことなの。
「な、なにこれ。私どうしたらいいの? え、脱ぐ?」
『落ち着いてミレイちゃん! そういうのじゃないから!』
『お前らがいきなりアホなことしたせいでミレイが壊れたぞ!』
『え? 最初から壊れてね?』
『確かに』
ひどい。
いや、でも、なにこれ。まだ増えるんだけど。ええ……。
『慌てなくても、初回ブーストだと思えばいい。俺もさすがに毎日投げ銭できるわけじゃなし』
『そうそう。余ったコインは募金だろ? 是非とも医療費に回してくれ』
「うん……。いや、でも。ごめん。ちょっと。本当にありがとうございます」
ただの同情。そうかもしれない。でも、それでも、実際にお金を出してくれる。それがどれだけ有り難いことか、安っぽい言葉よりも、よほど価値がある。
ん……。ちょっと限界。
「れんちゃんれんちゃん」
今日はお話があるからとディアたちと遊んでもらっていたれんちゃんを探す。うん。もふもふに囲まれて幸せそう。和む。
「おねえちゃん? どうしたの?」
「ちょっと……。ぎゅー」
「わわ……! お、おねえちゃん?」
ん……。すごいよね、このゲーム。ちゃんと、れんちゃんの温もりを感じる。うん。あったかい。
「おねえちゃん……?」
「………。ぐす」
「ん……。よしよし」
撫でてくれるれんちゃんの手が心地良い。本当に、うん。うん。みんな、あったかい。
『これはてえてえ』
『なんか、うん。良かれと思ってやっただけなんだけど……』
『ミレイにとっては大切な妹が当事者だもんな……』
「お見苦しいものをおみせしました」
とりあえず落ち着いたので土下座である! いやあ、ちょっぴり恥ずかしい! これは長くからかわれるやつだね! 自業自得だけどさ!
『ええんやで』
『おれらは何も見てない』
『よくあることよくあること』
「う、うん。なんか。優しくされると、ちょっと困る……。いや、ありがと」
からかわれると思ったらなかったことにしてくれた。いい人たちで私はとても嬉しいです。いや、本当に、ね。
「それはともかく! コインが手に入りました!」
「コイン?」
「そうだよれんちゃんコインだよ! あー……。たくさん!」
「たくさん!」
とりあえず誤魔化す! 察せられないように!
「つまり! これで色々するよ!」
「いろいろ?」
「そう! まずはこれだ!」
テイマー必須の定額課金アイテム! 月千コインでできるマイホーム自動拡張システムだ!
『それを買うとどうなる?』
『名付けをしてないテイムモンスターも無制限でここに呼べるようになる上に、呼べば呼ぶほどホームが広くなる』
「そう! つまりは! もふもふパラダイスが作れる!」
「もふもふぱらだいす!」
壁|w・)実はちょっぴり涙もろいお姉ちゃんでした。
もふもふぱらだいす!
誤字脱字の報告、感想などいただければ嬉しいです。
ではでは。






