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デフォルメぬいぐるみ


 今日は特に用事がない日曜日。なので朝かられんちゃんに会いに行く。新しいぬいぐるみを持って。いや、私の、というよりアリスからなんだけどね。

 ちょっと前にアリスにれんちゃんからの誕生日プレゼントをリアルで送ったんだけど、お返しがきたのだ。なんとアリスお手製のぬいぐるみ。レジェをデフォルメしたような子で、事実モデルはレジェだそうだ。早く送りたかったから、というわけで手乗りサイズの小さいもの。

 れんちゃんの誕生日には時間をかけてしっかり作りたい、らしいけど、何を作るんだろうね。

 というわけで、今日はデフォルメレジェぬいぐるみをお届けです。




「れんちゃあああん! 愛しのお姉ちゃんが会いに来たよ!」

「うるさい」

「すみませんでした」


 開幕三秒で怒られました。反省しよう。

 れんちゃんはぬいぐるみをだっこして私を見つめてる。だっこしてるぬいぐるみは、パンダ、かな? これはとてもアピールされてる気がする。というより間違い無くアピールしてる。早く会いたい、ということらしい。


「パンダさんに会いたい?」


 こくん、と頷くれんちゃん。いちいち仕草がかわいい。さすがれんちゃん、私の女神!


「おねえちゃん、どうしたの? 大丈夫?」

「それはどういう意味で聞いてるのかな?」

「え? えっと……。あはは……」

「まって!? どうして笑って流そうとするの!?」


 言葉にしなくても伝わるものってあると思います! 悪い意味で!

 まあ、うん。とりあえず落ち着こう。こほんと咳払い。


「パンダさんは、明日でもいいかな?」

「んー……。うん」


 どうやら納得してもらえたらしい。小さく安堵のため息。よかった。


「今日はれんちゃんにプレゼントがあります!」

「なあに?」


 期待に目を輝かせるれんちゃん。私はかばんから、デフォルメレジェぬいぐるみを取り出した。それを手に置いて、れんちゃんに見せてあげる。


「わあ!」


 れんちゃんの目がきらっきらに輝いてる。触りたそうにうずうずしてる! 遠慮せずに取ってくれていいのにね。

 はい、とれんちゃんの手のひらにぬいぐるみを載せてあげる。れんちゃんはまじまじとぬいぐるみを見つめて、首を傾げた。


「レジェに似てる……」

「だろうね。モデルはレジェだって」

「え?」


 びっくりしたみたいに目を丸くするれんちゃん。ふふふ、ネタバラシといきましょう。


「これはね、アリスからのプレゼントだよ。誕生日プレゼントのお返し、だって」

「お返し……? なんで……?」

「そこは流してあげてね」


 うん。よく考えなくても、不思議なお返しだね。誕生日プレゼントのお返しって。しかも誕生日プレゼントは別で用意するって言ってるし。

 でもアリスの気持ちは分からないでもない。多分、単純な理由だ。


「プレゼントをしたかった、ただそれだけだと思うよ」

「そうなの?」

「そうなの」


 私がよくれんちゃんにプレゼントするのと同じ理由だと思う。多分だけどね。

 れんちゃんは不思議そうにしながら、ぬいぐるみをつんつんつついてる。ふにゃ、とかわいい笑顔だ。つんつんつついた後は、鼻でちょん。かわいい。


「アリスにお礼言う? 電話になるけど」

「する!」


 れんちゃんならそう言うと思ったよ。




 というわけで、アリスに電話だ。スマホでささっとアリスに電話をかける。コール音の間にれんちゃんに渡してあげる。もちろん私にも聞こえるようにしておいた。


『はいはい。アリスだよ。どうしたのミレイちゃん』

「あ、アリスさん……?」

『ん? この声は、れんちゃんかな?』

「はい。えっと、その……。こ、こんにちは……」

『ふふ。はい。こんにちは』


 分かる。分かるよれんちゃん。普段は気兼ねなく話してても、初めて電話する時はちょっと緊張しちゃうよね。私もちょっとだけ緊張したし。


「あのね、ぬいぐるみ、ありがとう」

『あ、もう受け取ったのかな? いえいえ、どういたしまして。かわいいでしょ?』

「うん! すごくかわいい!」

『あははー。その声が聞けただけで、私にとっては十分な報酬だよ』


 よく分からないみたいでれんちゃんは首を傾げてるけど、私にも分かる。喜んで笑ってくれる、それだけで十分。もっと買ってあげたくなっちゃう。


『また作ってあげるから楽しみにしててね!』

「え? で、でも……」

『いいからいいから。趣味みたいなものだしね。ね?』

「う、うん……。ありがとう……」

『いえいえ。どういたしまして』

「えと、えっと……。そ、それじゃあ、おねえちゃんにかわります!」

『はーい』


 れんちゃんが私にスマホを渡してくる。ちょっと緊張の面持ち。その様子に小さく笑いながら、スマホを受け取った。


「もしもし」

『あ、ミレイちゃん。れんちゃんはやっぱりかわいいね』

「ちなみにスピーカーモードです」

『それ早く言ってくれないかな!?』

「ごめんごめん」


 言い訳をさせてもらえるなら、すぐに切ると思ったからだけど……。うん、まあいいか。


『ところで来週は問題なさそう?』

「うん。お父さんたちにも確認取ったよ。大丈夫だって」

『それはよかった』


 もちろん、運動会の話だ。来週は問題なく参加できそうだからね。プレイヤー主催の運動会、楽しみだ。


『それじゃ、またゲームで』

「うん。またね」


 電話を切って、れんちゃんを見る。こっちをちらちら見ながら、デフォルメレジェをもにもにしてた。


「よしれんちゃん。遊ぼっか」

「うん!」


 にぱっと笑うれんちゃんは今日も最高にかわいいです!


壁|w・)ゲームなしの日常回でした。いや日常回しかないけど。

ちなみに味を占めたアリスは次のデフォルメぬいぐるみを考え中……かもしれない。


次回は、今度こそパンダに会いに行きます。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

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ではでは!

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― 新着の感想 ―
[一言] ただでさえぬいぐるみでいっぱいの部屋に大量のぬいぐるみ(アリス謹製)が送られてくる未来を想像した。
[良い点] れんちゃんはかわいーなーもー(*´∀`*) [一言] アリス先生!れんちゃんのぬいぐるみを発注したい 原寸大で頼む( ・`ω・´) …え?もう造ってある?でも譲れない?why???
[一言] 頭に乗せられるラッキーぬいぐるみとかいいと思います…ます…
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