配信六十二回目：ハリネズミ化計画
「あ、ははは、ひぃははは……！」
「んー……？ なにかちがう……」
「はー……はー……。そ、そう……？」
『さんざんくすぐられてからの、何か違うｗ』
『ミレイお前はがんばった、よくやった、よく耐えた』
「いや、まあ、いいんだけどね……」
くすぐったかったけど、これはこれでいいものでした。うん。
首を傾げるれんちゃんを膝に載せる。ふう、落ち着く……。
『さらっとれんちゃんを捕獲するな』
『れんちゃん、きっと何か違うのはハリネズミ成分が足りないのさ』
『つまり？』
『ミレイがハリネズミになるんだよ！』
『無茶ぶりがすぎるｗｗｗ』
ハリネズミになれって、またよく分からないこと言われた気がする。どうしろって話だよね。もう一度ごろんとしてみる？
「そっか！」
「納得するの！？」
『草』
『それでいいのかれんちゃんｗ』
『こうしてミレイハリネズミ化計画が始まったのだ……』
『壮大に何か始まったけど壮大でも何でも無かった』
いや、本当にこれ、どうしたらいいんだろう？ 大きいハリネズミを探すってわけでもないだろうし。私はどうしたらいいの？
『これは私の出番だね』
『このタイミングで来たってことはアリスだな！』
『アリス来た！ これで勝てる！』
『何にだよｗ』
『任せてね。ミレイちゃんのハリネズミの着ぐるみ作ってくるね』
「まって」
私の！？ れんちゃんのじゃなくて、私の着ぐるみ！？ 私がハリネズミになるってそういうことなの！？
「私の着ぐるみとか誰得だよ！」
『自分で言うのかｗ』
『よく分かっていらっしゃるｗ』
『見た目だけは美少女だから大丈夫。見た目だけは』
『見た目！ だけは！』
「強調しなくていいよ！」
れんちゃんの着ぐるみなら私がいくらでも見たいけど、私の着ぐるみなんて誰が見たがるんだろう。そう思ってたんだけど、れんちゃんを見ると何故かとてもわくわくした様子で私を見てる。これは断れないやつだ。
『あのね、ミレイちゃん。ミレイちゃんがれんちゃんの着ぐるみを見たいように、その逆もまたしかり、だよ』
「へ、へえ……」
それは、なんだろう。嬉しいけど、何とも言えないこの気持ち。
「よし……。よし分かった。アリス、お願いします」
『任せて。かわいい着ぐるみを作ってあげる』
「それはやめてください……」
普通の着ぐるみにしてくださいお願いだから！
その後は、いつも通りのんびりだ。ハリネズミたちをこねこねするれんちゃんを膝に載せてなでなでしてる。幸せ空間です。
「ああ、そうだ。アリスとルル、いる？」
『なにかなミレイちゃん。私はミレイちゃんの着ぐるみ作るので忙しいんだけど』
「行動に移すのが早すぎないかな！？ 他にも依頼とかあるでしょ！？」
『依頼者のワイ、急用が入ったので遅れますと言われて納得してる』
『納得したのかｗ』
『急用（ミレイの着ぐるみ作成）』
『なるほど急用だ』
『お前らｗｗｗ』
そのうち依頼者さんから怒られるよ本当に！
「ルルは？」
『いるけど。何か用？』
『こいつ本当に、コメントの時性格違いすぎるだろ』
『正直本人かわからんぞこれ』
『アリスです。隣にいるので間違い無いです』
『斬新な本人確認だなあ』
無理矢理な確認だね。まあいいけども。
「明日、お昼から時間あるかな？ れんちゃんはログインするんだけど、私はちょっと勉強しないとだからお昼にれんちゃんと遊んであげてほしいの」
『ミレイちゃんがれんちゃんよりも勉強を優先してる！？』
『どうしたミレイ大丈夫か！？ 熱でもあるのか！？』
『天変地異の前触れや……明日は日本が沈没するぞ……』
「うるさいよ」
そこまで過剰に反応しなくてもいいと思う。いや、まあ自分でも珍しいのは分かってるけどさ。でも、期末テストぐらいはちゃんと真面目に勉強しておかないとね。
「夜は譲れないけどね。お昼ぐらいは勉強しようかなって。これでも花の女子高生なので」
『ラフレシアかな？』
『ハエトリグサかな？』
「二つ目は花じゃないよねそれ。怒るよ」
『ごめんなさい』
仕方ない。許してあげよう。今日の私が機嫌がいいのだ。れんちゃんがずっと膝の上にいてくれてるからね。いらいらなんて一瞬で浄化されてます。ふふん。
「で、どうかな？」
『もちろんいいよ！』
『断るわけがない』
うん。二人ならそう言ってくれると思ってたよ。それじゃあ、明日のお昼は二人に任せるとしよう。
「というわけで、明日はアリスとルルの二人と遊んでね」
「んー……」
お。れんちゃんがひっついてきた。寂しい、と思ってくれてるのかな。
れんちゃんを抱き寄せて、頭を撫でる。なでりなでり。
「夜はちゃんと会えるからね。夜はたっぷり遊ぼうね」
「うん……」
『あれ？ これ責任重大？』
『がんばれ、超がんばれ』
『配信も期待してます』
『ええ……』
二人なら大丈夫だとは思うけど、ね。とりあえずれんちゃんにも寂しい思いをさせてしまうんだから、明日はしっかり頑張ろう。
壁｜ｗ・）なお、ハリネズミ化計画のその後は書くか分かりません。
……多分書きます……。
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ではでは！
