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配信六十二回目:れんつむり


 それは、運命の出会いでした。ケージの中で、ぱたぱた走り回る小さなかわいい子。立ち止まって、つぶらな瞳で私を見つめてくる。とても、とっても、可愛らしいハリネズミだ。

 なのでハリネズミの小さいぬいぐるみを買った。満足した。




「入るよー」


 れんちゃんの病室に入る。いつもみたいにベッドにいるのかなと思ってそちらを見ると、ベッドの上に丸いものがあった。丸みのあるシルエット。お布団、かな?

 シーツにくるまったれんちゃんだ。かたつむりモード。特に意味はない、はず。

 近づいてみる。反応なし。つついてみる。ぴくぴく動いた。


「れんちゃん?」

「…………」


 反応なし。ふむふむ。

 来る時に買った小さなチョコレートを取り出す。一粒三十円のチョコレート。それをそっと、側に置いてみた。


「消えた……!?」


 いや、うん。単純にれんちゃんが素早く取ってしまっただけだけど。もぞもぞと動いていたかと思うと、そろっとれんちゃんの手が出てきて、チョコレートの包み紙を置いて戻ってしまった。

 ふむ。なんだろう。かわいい。

 それじゃ、次は本命だ。鞄からハリネズミの小さいぬいぐるみを取り出して、そっと置いてみる。またすぐにれんちゃんが素早く取っていった。

 もぞもぞ。もぞもぞ。


「かわいい!」


 れんちゃんが出てきた。さすがハリネズミ。


「わあ……わあ……。かわいい! すごくかわいい!」


 どうやらハリネズミのぬいぐるみはれんちゃんのお気に召したらしい。私から見てもかわいいぬいぐるみだしね。手乗りサイズのぬいぐるみで、ふわふわだ。いい買い物をしたと思う。

 ハリネズミのぬいぐるみを抱きしめて、れんちゃんはとても機嫌がよさそうだ。


「気に入ってくれた?」

「うん!」


 れんちゃんが嬉しそうに頷いて、そしてすぐにはっとして私を見て、またシーツの中に隠れてしまった。

 うん。あれ? なんでだろう? もしかして怒らせるようなことしちゃったかな? すごく不安になってくるんだけど。


「れ、れんちゃん? どうしたの? 怒ってるの?」


 ちょっと慌てて聞いてみると、れんちゃんがぴょこりと顔を出した。じっと私を見つめてくる。顔だけ出して、じっと、見つめてくる。


「えっと……?」

「かたつむり」

「ああ……。かたつむりのまねだったんだね」


 思わず安堵のため息。結構どきどきしてしまった。


「かたつむりなれんちゃんは、何をしたいのかな?」

「れんつむり!」

「れんつむりとは」


 しゅばっとシーツの中に戻ってしまった。ふむ……。かたつむりなれんちゃんでれんつむり、でいいのかな? いいよね?

 それにしても、出てこない。シーツをつんつんつついても出てこない。身じろぎはするけど。

 どうしたものかと悩んでいると、れんちゃんがまた顔を出してくれた。


「…………」

「…………」


 じっと見つめ合うれんちゃんと私。んー……。

 鞄からお菓子を取り出す。細長いグミのお菓子だ。その先端をつまんで、れんちゃんの目の前に垂らしてみる。おお、れんちゃんの視線がグミに釘付けだ。


「ゆーらゆーら」


 れんちゃんの前でゆらゆら揺らす。すると、れんちゃんの目の前にきたタイミングでぱくっとくわえた。れんちゃんがつれたよ。

 もぐもぐ食べるれんちゃん。グミを引っ張ってみると、そのままれんちゃんもついてきた。なにこれかわいい。

 そのまま待ってみる。れんちゃんは食べ続けていて、やがて私の手元まで。美味しそうに食べていたれんちゃんは、私の手に気が付いて、私の顔を見て、そして手元を見て。


「わっ!」


 あ、はなしちゃった。そのまままたシーツに戻るかなと思ったんだけど、ベッドから下りて棚からウサギのぬいぐるみを取ってきて、そうしてからシーツにくるまった。

 そしてまた顔を出して……ウサギだ。


「れんつむりしかいないみたいだし、もう帰ろうかな?」


 ぴくりと、動いた。私が立ち上がって、わざと足音を立たせて少し下がると、


「だめ!」


 れんちゃんが飛び出してきて私の腕にしがみついた。ぎゅっと、しがみついてる。


「だめ!」

「あ、うん。大丈夫冗談だから……」

「だーめー!」

「大丈夫だから落ち着いて!?」


 れんちゃんが腕を引っ張ってくる! 振り解くわけにもいかないから、軽く抵抗して動かないようにしてたら、今度は腕を上ろうとしてきた。

 まったくもう……。


「よいしょ、と」

「わわ……」


 仕方ないのでだっこだ。仕方なくだよ仕方なく。役得だとか嬉しいとか思ってないからね。


「どうしたのかな?」

「ぎゅー」

「はいぎゅー」


 れんちゃんの背中を優しく撫でる。気持ち良さそうに目を細めるれんちゃん。かわいい。

 満足したところで、れんちゃんをベッドに下ろした。


「それで? どうしたのれんちゃん」

「おねえちゃん、すきー」

「私も好きだよ!」


 膝に載せて後ろからぎゅー。はっきり言ってもらえるとすごく嬉しい。好きだって。うえへへへ。

 れんちゃんは落ち着いてきたのか、ハリネズミをもふもふし始めた。手乗りサイズのハリネズミを両手でもにもにしてる。にへっと笑うところが最高にかわいいです。


壁|w・)れんつむり。


Q.アリスは離島とかに住んでるの?

A.ミレイと会えないのは単純に距離の問題です。

 新幹線か飛行機を使わないと時間がかかりすぎるので、お金の問題とも言えます。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

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ではでは!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 導入のただただかわいいだけの回好き
[良い点] れんつむりもふわー コメントさんに見せられないのが残念じゃあ>^_^< [一言] 更新お疲れさまです アリス様つぎはこたつむりんな着ぐるみおねげえしますです!
[良い点] れんつむり…てえてえ(//∇//) [一言] なにこれれんつむりかわいい なにこれハリネズミのぬいぐるみかわいい れんつむりかわいい…ハリネズミかわいい…れんつむり…ハリネズミ…れんつむり…
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