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配信六十一回目:アリスの誕生日


「おじゃまします」

「いらっしゃーい」

「いらっしゃーい!」


 六月三十日。今日はアリスの誕生日。れんちゃんとログインして、早速アリスに連絡した。れんちゃんのホームに来てほしいって。そうしたら、すぐに来てくれた。もしかしなくても待ってくれてたらしい。


「アリス、誕生日おめでとう!」

「おめでとー!」

「あ、ありがとう」


 照れたようにはにかむアリス。これは実に……。


「あざとい」

「ちょ」


 おっと失礼。本音が。

 冗談はさておいて。今日はアリスのための一日だ。


「いやあ、アリスへのプレゼントにはすごく悩んだよ。私がゲームで用意できるものって、ほとんどアリスでも手に入れられるからね」

「いや、そんな気にしなくていいんだけど……」


 今までアリスには本当にお世話になってるからね。月に一着とか言ってたのはどこへやら、着ぐるみとか含めるとすごい量の服をもらってる。だから、こういう時ぐらいしっかりとお返しがしたいわけですよ。


「というわけで、れんちゃん!」

「はーい」


 私たちがゲーム内で手に入れられるものは、アリスでも手に入る。プレイヤースキルとかの問題じゃなくて、アリスならぽんとお金を積んで買えてしまうのだ。トップ生産者とはそういうものらしい。すごい。

 ならば! 私たちならではのものを考えよう!


「はい、アリスさん!」

「あ、うん……」


 れんちゃんが渡したのは、白い封筒。アリスが視線で問いかけてきたので頷いてあげると、遠慮がちに封筒を開けた。


「わたしからは、おてがみ! あとね、おえかき!」


 いつもお世話になってるアリスへ、れんちゃんから心のこもったお手紙です。ホームのお家で、せっせと書いたもの。ちなみに内容は、私も知らない。れんちゃんがアリスのために書いたお手紙だ。のぞき見るような無粋な真似はしないよ。気になったけどね。

 あとは、絵。ゲーム内のクレヨンで楽しそうに描いてました。何故クレヨンかは私にも分からない。お絵かきとクレヨンはれんちゃんの中でセットになってる感じはする。

 アリスは手紙を読んで、絵を広げて眺めて、そして困ったような笑顔になった。


「どうしよう。すごく嬉しい。ありがとう、れんちゃん」

「うん!」


 手紙と絵を丁寧に折り畳んで、懐にしまう。どうでもいいけど、文字通りに懐にしまうのって初めて見たかもしれない。和服ならではだね。かっこいい。


「それじゃあ次は私だ!」

「れんちゃんの後だから、すごく期待してるね」

「ハードルが上がってる!?」

「ちなみに私はちょっと泣きそうになってるよ、ミレイちゃん」

「どこまで上げれば気が済むのかな!?」


 やめて、そんな大したものじゃないから! むしろどう考えてもれんちゃんのプレゼントがメインだったから! 私には後に残せるものでもないし、おまけだよおまけ!

 ともかく、場所移動です。


「レジェ! のせて!」


 れんちゃんがそう言うと、いつものように家の側で丸まっていたレジェは、のっそりと体を起こしてくれた。尻尾で器用にれんちゃんを背中にのせて、次に私、そしてアリスと続けてくれる。全員が背中にのったところで、レジェがゆっくりと飛び始めた。


「もふもふだあ……」


 ごろごろするアリスとれんちゃん。是非とも堪能してほしい。

 二人がごろごろしてる間に私は準備だ。インベントリからお弁当を取り出す。取り出す。取り出していく。これでもかというぐらいに。


「ちょ、ミレイちゃん、なにそれ!?」

「お料理ですが」

「お料理」

「もしくは人間のエサ」

「言い方」


 言ってみたかっただけで、さすがにそんなこと思ってないけど。

 というわけで、今日のためにこつこつ作った料理の数々。和洋折衷なんでもござれ、とりあえず思いつくものを全部作ってみた。というわけで、レジェの背中はちょっとしたパーティ会場です。もちろんケーキもあるよ!


「アリスのために作ってきました!」

「わあ、すごい……! ミレイちゃんって料理スキル高かったの?」

「いや、別に」

「え?」


 そんな不思議そうな顔しなくても。私のスキル構成は私でも思うほどに混沌としてる。何かに特化してるってわけでもない。だからこれが高い、というスキルってないんだよね。一応、テイムと片手剣が他より高い程度。

 いろんなことをれんちゃんと楽しみたいからこその構成だ。だからこれでいいのだ。

 というのをさくっと説明すると、アリスが不思議そうに首を傾げてた。


「じゃあ、どうして料理? 嬉しいけど」

「リアルの趣味だよ」

「そうなの?」

「うん。れんちゃんが美味しいって食べてくれるから」

「あ、うん。やっぱりれんちゃんなんだね」


 当たり前じゃないか。私の世界はれんちゃんが中心だ。れんちゃんが喜んでくれるなら何でもがんばるよ私は。

 まあ一応それなりには上達したと思ってる。れんちゃんにまずいものを食べさせるわけにはいかないからね。すごくがんばった。

 さて。そのれんちゃんだけど。私が料理を出してから、ずっと料理を見つめてる。すごく食べたそうだけど、でもアリスのためのものだから我慢してる、そんな感じ。すごく良い子。

 アリスもそれに気付いたみたいで、なんだか優しい笑顔になってる。すごく分かる。


「何も配信しないのもなんだから、これを配信したいと思うんだけど大丈夫?」

「私は気にしないよ。どうぞどうぞ」


 アリスに許可をもらったので、配信開始としましょう。とりあえず、先に食べていいよと言っておいた。


壁|w・)ミレイの料理スキル(リアル)はそれなりに高いです。

これで言動がまともなら……。


ちょっと前のですが。

Q.日数と配信回数ってリンクしてるの? 毎日配信してるってこと?

A.書いてないだけで毎日配信しています。なお、配信をわけていても、同じ日なら同じ配信扱いです。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

書く意欲に繋がりますので、是非是非お願いします。

ではでは!

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― 新着の感想 ―
[良い点] >れんちゃんにまずいものを食べさせるわけにはいかないからね。すごくがんばった。 いいお義姉さ(文章はここで途切れている)
[一言] 普通にアリスの手に入れられない素材が足元に(笑) システム的に倒すことのできないラスボスな始祖龍の素材は、どんなに金を積んでも手に入りませんから・・・ブラッシングした時に出た抜け毛だけでも、…
[一言] アリスのお誕生日配信。視聴者からもコメントがどんなのがくるのか楽しみ。 今かられんちゃんとミレイの誕生日配信がどうなるのかワクワク。
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