配信五十六回目:れんちゃん密着配信、そのじゅう!
その後もトランプを続けたり、ボードゲームをしたり絵本を読んだり。たっぷり遊んで、気付いたら八時になってました。
八時。いつもなられんちゃんがゲームを終わる時間。そして、お風呂の時間だ。
病室の隣にあるれんちゃん専用の浴室は、毎日八時にお湯が入るようにセットされてる。だからいつでも入れるわけです。
「れんちゃん、お風呂入ろっか」
「はーい」
『お風呂、だと……?』
『ガタッ!』
『ガタッ!』
『お前らwww』
「当たり前だけど、スマホは置いていくから見れないし、聞こえもしないから」
『ですよね!』
『知ってた』
『せめて、せめて声だけでも……!』
変態どもに聞かせる声なんてないよ。
急なお泊まりに備えて、私の寝具一式は実は常備されています。一泊分しかないから、一度使ったら持って帰って洗濯しないといけないけど。病室の一つ前、準備のための部屋に置いてあるのだ。
れんちゃんに待ってもらって、病室を出る。扉をしっかり閉めてから、明かりをつけて、備え付けの棚から私の着替えやタオルを取り出す。もう一度電気を消してから、病室に戻る。
「ただいま……、れんちゃん何やってるの?」
「え? ちょっとだけでもってお願いされたから……」
れんちゃんがスマホを洗面台に置いてた。洗面台の隣が浴室、つまりは音が聞こえてしまう。
むう……。むう……。れんちゃんがいいなら、いい、かな……?
「お前ら変な想像したら追放してアク禁して二度と見れないようにするからね」
『ヒェッ』
『ガチトーンで笑えない』
『了解しました。マジで了解しました。信じてください』
まあ、うん。いっか。
「それでは。音声だけで。れんちゃん入るよー」
「はーい」
「おゆあったか!」
「あったかだねえ。はい、お湯ざばー」
「わぷ!」
「はい、体洗って。わしゃわしゃー」
「わしゃわしゃー」
「はいざばー」
「ざばー!」
「頭からいくよー。ざばー」
「んむぅ……」
「髪洗うよー」
「んー」
「わしゃわしゃ、と……。れんちゃんの髪はさらさらだね」
「んー……。おねえちゃんもさらさら」
「あははー。一応それなりに気を遣ってるからね。それなりに」
「んー」
「お湯かけるよー。ざばー」
「んー」
「はいおっけい。お風呂いいよ」
「おねえちゃんも洗ってあげる!」
「あ、そう? じゃあお願いしようかな」
「ざばー!」
「ぶ。せ、せめて一言……」
「わしわしわし」
「お、気持ちいい……。そこそこ……」
「ざばー!」
「ん……。ありがと。じゃあ入ろっか」
「はーい」
「…………」
「…………」
「ふへえ……」
『映像が欲しい』
『声だけで簡単に想像できるぞこれ』
『でもこれ、浴室も真っ暗なんだよな……』
『思い出させるなよ……』
「あったかいねえ……」
「んー……。おねえちゃん」
「ん?」
「ぎゅー、して?」
「いいよー。ぎゅー」
「んぅ……。えへへ……」
「れんちゃんはかわいいなあ」
「んー。おねえちゃんもかわいいよ?」
「あははー」
『てえてえ』
『なんだ、この……。この、なんだ……。もう、だめだ……』
『衛生兵! 衛生兵! コメントさんが一人死んだぞ!』
『任せろ! 死因は尊死。見てみろよ、幸せそうな顔だろ……?』
『いや救命してやれよw』
壁|w・)(遅い)注意! ほとんど会話文です!
というわけで、お風呂回でした。
詳細は想像してください。なお、想像したらどこかの過保護な姉にアク禁されます。
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ではでは!