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配信五十五回目:おて!

 そんな感じで時々騒ぎながら、かっぽかっぽと歩いて行く。鼻歌を歌うれんちゃんがとってもかわいい。


「とうちゃく!」


 れんちゃんの目的地は森の中の広場だったらしい。ディアとか白虎とか大勢いる。心なしか馬が怯えて……、ないね。ポニーもファラも私の馬も、みんな堂々としてる。

 でも馬好きさんの馬はちょっと震えてる、かな……? この子たちはみんなれんちゃんのお友達だけど、馬好きさんの馬たちにとっては見知らぬ他人だからね。仕方ないのかも。

 れんちゃんはポニーから下りると、ファラたちを連れてディアのもとへ向かった。


「おともだち!」


 れんちゃんがそう言うと、ディアが顔を突き出してくる。ファラとポニーの鼻に、自分の鼻をちょんと触れさせる。挨拶か何かかな?


『かわいい』

『もふもふともふもふがもふもふしてる』

『いいよね。鼻ちょん、いいよね』


 かわいいもふもふの挨拶っていいよね。見てて和む。

 その後はれんちゃんを交えてのじゃれ合いタイムだ。たくさんのウルフが挨拶ともふもふされに来てる。ポニーとファラを側に置いて、れんちゃんはみんなをもふもふしてる。

 幸せそうなれんちゃんがかわいいです。


「やっぱり私の妹は世界一かわいい」

「うん……。本当に、かわいい……」

「だよね……」


 うん……? あれ?


「アリス? 馬好きさんを観察するんじゃ……?」

「しまった! れんちゃんがかわいくてつい!」

「なら仕方ないね!」


 れんちゃんを見てたらすごく和んじゃうからね!

 それはともかく、アリスは改めて馬好きさんと話してくるそうで。れんちゃんたちを眺める馬好きさんに話を聞きに行った。


「さて。私はどうしようかな」


『もっと近くで見よう』

『ファラちゃんをもっと見たい』

『むしろれんちゃんをですね……』


「はいはい」


 私ももう少し近くにいたいと思ってたところだし、そうしようかな。

 集まってきてるウルフたちの間を通って、れんちゃんの元へ。ウルフたちは私のためにすぐに通り道を作ってくれる。さすが、いい子たちだね。

 通りながら、一匹ずつ撫でていく。尻尾をぶんぶんさせているのが、ウルフと分かってても可愛らしい。やっぱり犬だ。


『すでに見慣れた光景だけど、すごい光景だなあ』

『わんわん王国!』

『わんわん(狼)』


 美味しく食べられちゃいそう。

 れんちゃんの元に到着。れんちゃんはその場に座ってて、隣に座るポニーを撫でてる。ファラはころんと寝転がって、れんちゃんにぴっとりくっついてる。癒やし空間だ。


「れんちゃん。お馬さん、みんなに見せてあげてもいいかな?」

「うん!」


 元気なお返事。お馬さんを自慢したいらしい。

 というわけで、まずはお昼寝中のファラです。


『改めて見るとほんとにちっちゃいな』

『馬って立ったまま寝るのでは?』

『馬好きから聞いた話だけど、ポニーとか小さい馬は寝転がって寝る場合もあるらしいぞ』

『へえ』


 そうなんだ。それは知らなかった。ファラはいつも寝転がって寝てるけど。

 そっとファラの体を撫でてみる。長くはないけどふわふわの毛に覆われてて、なかなかの撫で心地。そのまま喉元を撫でると、ファラが薄く目を開けた。

 起こしちゃったかな、と思ったら、私の手に顔をすりすりしてきた。


「なにこれかわいい」


『いいなあいいなあ!』

『ミレイそこかわれ!』

『人懐っこいなあ……』


 本当に。思わずにやにやしちゃう。わしゃわしゃしよう。わしゃわしゃ。

 満足したところで、次はポニーだ。こちらもいつの間にか寝転がってた。頭はれんちゃんに触れていて、満足そう。それでいいのか。いいんだろうね。

 ポニーも真正面から映してみる。ファラよりも大きいからか、ファラよりも馬と分かりやすい。ファラは馬なんだけど、馬っぽくないというか……。いや、かわいいのは間違いないけど。

 うん。満足だ。最後にファラを一撫でして立ち上がる。幸せそうになでなでしてるれんちゃんの邪魔をしないように離れて……。


「帰り道なくなってるんだけど」


『草』

『いつの間にか狼に囲まれてるw』

『狼の群れに囲まれた被捕食者』

『群れ(二百匹)』

『群れとは』


 群れ、でも間違いはないだろうけど、規模がおかしい。面白いのは、みんながみんな、尻尾を振ってこっちを見てるってことかな。みんな行儀正しくお座りして、尻尾をぶんぶん振っててすごくかわいい。


「れんちゃんれんちゃん」

「んぅ?」

「ほらほら。かわいいよ」


 ファラとポニーを撫でてるれんちゃんに声を掛けると、れんちゃんが顔を上げて周囲を見た。尻尾をぶんぶん振ってるウルフたちを見て、れんちゃんも顔を輝かせた。


「わあ……!」


 れんちゃんがすごく楽しそう。れんちゃんがちょいちょいと手招きすると、一匹ずつ歩み寄ってきた。


「おて!」


 いや、れんちゃん、それはさすがにかわいそう……。


「わふ」

「やるの!?」


『お手w』

『完全に野生がどっかいってるw』

『狼ってなんだっけ……?』


 これもれんちゃんの人徳だね。間違い無い。

 ウルフはぽすんとれんちゃんの手に足をのせると、ぺろりとれんちゃんを舐めて離れてしまった。そして次のウルフが歩いてくる。また同じようにお手をして、ぺろり。それの繰り返しだ。


「握手会みたい……」


『間違ってはないなw』

『ウルフは俺たちだった……?』


「男はみんな野獣って……。野獣……?」


『大人しい野獣だなあw』


 ただの飼い犬だねどう見ても。


壁|w・)野生は全力で投げ捨てるもの。



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― 新着の感想 ―
[一言] 野生は、心の棚の上にしまってある。 (れんちゃんを泣かせたら野生×200を体感できるぞ) こうですか
[一言] テイム(お友達)状態の懐きMaxに野生を求められても…。
[一言] 投げ捨てないでwwwせめて一欠片だけでも保ってwwwwww(野生
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