表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

146/336

配信五十五回目:脱走?


 馬に乗る。街中やダンジョンでは禁止されてるその行為だけど、実は例外がある。いや、例外というか、意外と気付きにくい場所というか……。

 まあ、つまりは、ホームだね。


 ということで、今日はホームでの乗馬体験だ。れんちゃんと一緒にのんびり散歩する予定。まあそれも、もう少し後でだけど。

 今は、馬をもふもふするのに忙しいからね。


 ころん、と横になった小さい馬を、れんちゃんがブラッシング。お腹のあたりも丁寧に。大人しい性格みたいで、嫌がる素振りはない。

 ちなみに小さい馬、ファラベラはファラと名付けられました。そのまますぎる。ペットということで、名付けの制限には引っかからないみたいだ。いや、勝手にそう呼んでるだけで名前で登録してないだけ、という扱いかもしれないけど。


 ファラをころんと転がして、ゆっくり丁寧に撫でていく。ファラは小さいけど、毛は多いみたいで、結構もふもふだ。

 ファラも気持ち良さそうにれんちゃんにすり寄ってる。そのれんちゃんの後ろには、ポニー。遊んでほしいのか、れんちゃんの背中を鼻でつついてる。


「ちょっと待ってね。あとで撫でてあげるからね」


 ああ、遊んでほしいわけじゃなくて、撫でてほしいのか。二匹とも、人懐っこい馬だ。

 ちなみに私の馬は、のんびり草を食んでます。この子はすごくマイペースな子で、撫でてあげるとすり寄ってくるけど、特に自分から撫でられに来ることもない。勝手にのんびりほのぼのしてる。

 そんな雰囲気が気に入ってるのか、その子の背中にはクロが陣取ってる。馬の上で日向ぼっこだ。平和だねえ……。


 ファラはれんちゃんの足に顔をのせて、幸せそうに撫でられてる。ポニーも寝転がっていて、いつの間にかれんちゃんに撫でられてる。あれだね、両手に花ってやつだね!

 そんなのんびりした時間を過ごしていたら、いつの間にか約束の時間になっていた。馬好きさんから連絡が来てる。ではホームに招待しましょう。


「れんちゃん、馬好きさんを呼ぶよ」

「うん」


 というわけで、招待します。すぐに馬好きさんがホームに入ってきた。初めて見た時に乗っていた黒い馬も一緒だ。


「いらっしゃい」


 馬好きさんに言うと、彼はうむと頷いて、


「お招き感謝する」


 うん。ロールプレイするんだね。ロールプレイにこだわる人って身近にいないから、ちょっと新鮮だ。

 そう思って馬好きさんを観察してたんだけど、なんだかちょっぴり警戒してる気がする。警戒、というより、自分の馬を気にしてるような……。

 あ、もしかして。


「馬好きさん馬好きさん」

「なんだ?」

「さすがに他の人の子がいる時にがおーはしないよ」

「あ、ああ。そうか。……よかった……」


 やっぱりか。初めて訪れた人にはいつもれんちゃんががおーをしてるからね。それを警戒してたみたいだ。今回は、馬好きさんの馬も来るということで、れんちゃんもやらないって言ってたのだ。

 やっても大きな問題にはならないとは思うけど、人のテイムモンスやペットがどんな反応をするか、いまいち分からないからね。一応、念のため。

 そんな話をしていたら、続いての申請。アリスだ。いつものことなので許可すると、すぐにアリスもホームに入ってきた。


「おじゃまするね、ミレイちゃん。お、馬好きさんもこんにちは」

「うむ」


 鷹揚に頷く馬好きさん。アリスはちょっと面白そうに馬好きさんを眺めてたけど、何も言わずに私に向き直った。なんだったのかな?


「ミレイちゃん、今日は馬に乗ってのんびりお散歩だよね?」

「うん。その予定だけど……」

「じゃあ、ちょっとシロかディアに乗せてもらえるかな。イメージをしっかりさせるのに、馬に乗ってる馬好きさんを観察したいから」

「それはまあ、別にいいけど……。シロでいい?」

「もちろん」


 というわけで、アリスはシロに乗ってついてくることになった。一応、シロに聞いてみる。嫌がらないとは思うけど、念のため。シロは少しだけ面倒そうにしながらも、引き受けてくれるみたいだった。雰囲気でしか分からないから、多分だけど。


「さてさて。れんちゃん、もうすぐ出発するよ」

「はーい」


 れんちゃんを呼ぶと、すぐにこっちに来てくれた。もちろんファラとポニーも連れて。いつの間にか、れんちゃんの頭の上にラッキーもいる。どうやら今日はれんちゃんの頭を無事に死守できたらしい。

 ともかく、出発だ。れんちゃんにはポニーに乗ってもらう。さすがにファラは小さすぎるから。


「よいしょ……」


 ポニーに乗るれんちゃん。鞍とかはないから安定しなさそうだけど、そこはさすがにゲームと言うべきか、騎乗スキルさえあれば問題ないらしい。

 れんちゃんはポニーにまたがると、くるりと周囲を見回した。


「わあ……」


 楽しそうな声だ。自分の背よりも高いところからの景色なんてれんちゃんは見慣れてると思うけど、馬は馬でまた違うのかもしれない。


「それじゃあ、配信始めるからね。れんちゃん、もう少しじっとしててね」

「はーい」


 うーん……。分かってるのかな……? ポニーに乗ったまま、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。ちゃんと戻ってくるとは思うけど。


「アリスと馬好きさんは大丈夫?」

「うん、もちろん」

「無論」


 アリスはシロをもふもふしてた。シロもなんだか気持ち良さそうで……。あれ? 私の時より気持ち良さそう? いやいや、まさか、あはは……。

 馬好きさんは馬に乗ってきりっとした表情。絵になるかっこよさだね。せめてもう少し、渋みがあればと思うけど。でも俳優さんだと言われても驚かないかな。

 二人とも大丈夫なので、配信開始。ぽちっとな。


「あれ? ……あ、ミレイちゃん、れんちゃんが遠くに!?」

「え。ちょ、れんちゃあああん!?」


 気付いたらポニーが走って行ってしまってる! いやいやちょっと、うええ!?


『はじまた』

『と思ったらいきなりなんか事件っぽいw』

『どしたよ?』


「れんちゃんがポニーで逃げちゃった!」


『どういうこと……?』

『まるで意味がわからんぞ』


 大丈夫だ、私も分からない!


壁|w・)無駄に張り切るポニーさん。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

書く意欲に繋がりますので、是非是非お願いします。

ではでは!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 乗せて走るのはぽにの使命って、張り切って走りました(笑) あさっての方向に(笑) 見渡す限りの草原は気持ちいいだろうな
[一言] 盗んだ馬で走り出す〜(自分のです。
[良い点] れんちゃんは自由なのだ( ・`ω・´) [気になる点] (VRの中くらい自由でいいのさ) [一言] しかし早速馬2頭たらし込むのは流石 れんちゃんかわいいからね、仕方ないね あ、ミレイ、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ