配信四十九回目:取材中だってば!
私がそう聞いてあげると、れんちゃんは少し考えて、私に笑いかけてきた。何だろう。
「えっとね。わたしも、ほいくしょ? がいい!」
「お? どうして?」
「おねえちゃんと一緒にいられるから!」
これは、どうしたらいいかな。私としてはとても、とっても嬉しいけど、そんな理由で仕事は選ぶものじゃないし、止めた方がいいと思うけど。
でも、やっぱり嬉しいという気持ちの方が強いから、今のところはまあいいか、ということで。
「そっか。私もれんちゃんと一緒だと楽しそう」
「うん!」
きゅっとしがみついてくるれんちゃんをなでなでしておく。本当に、れんちゃんと一緒に働けたら楽しいと思う。
『だめだれんちゃん! それだけはやめとけ!』
『襲われるから! ミレイに襲われるから!』
『は! まさかこれは、ミレイの策なのでは……!?』
「うるさいよ」
私が襲うなんてあるわけないでしょうに。失礼な人たちだよ本当に。でも、憎めないとも思うけど。
「次ですが……。ああ、いや、ええ……」
「ん? どうしたの?」
「いや、これはちょっと意味が分からないというか……」
『そんな質問をなんで持ってきたんだよw』
『聞くだけならタダなんだし、言ってしまえよ金ぴか!』
『すでに何個が地雷踏んでるんだし、大丈夫大丈夫!』
「大丈夫に聞こえないかな」
苦笑しつつ、金ぴかさんが質問を読み上げた。
「どうすればこの尊い世界は生まれるのでしょうか」
「うん……? いや、はい?」
『ミレイが素で困惑してるw』
『れんちゃんも意味が分からなかったのかきょとんとしてるなw』
『二人ともかわいい』
いやいや。いやいやいやいや。質問の意味が理解できないんだけど、どうしたらいいのかなこれ。尊い世界って何のこと?
「ちょっと意味が分からない……。ごろごろー」
「ん……ごろごろー」
答え方が分からないからとりあえずれんちゃんを撫で回す。ころんと転がして、お腹をわしゃわしゃ。きゃー、と笑いながられんちゃんが逃げようとするので捕獲して、膝に乗せて喉元をこちょこちょ。
「んぅ……」
「ここがいいの? ここがいいのかな?」
そんなことをしていたら、金ぴかさんがなんだか何かを言いたげな顔で私を見てた。なにさ。
「わざとやってます?」
「はい?」
「天然なのか……」
いや、わりと本当に意味が分からないのだけど。
『れんちゃんって意外と逃げないよな』
『構ってもらえて喜んでる子猫』
『子猫れんちゃん』
『着ぐるみはよ!』
『がんばる!』
猫の着ぐるみが増えそう。というより最近着ぐるみばかり増えてないかな? いや、いいんだけどね?
「それより金ぴかさん、次は? もうそろそろ時間だけど」
「あ、ああ。そうでした」
はっと我に返る金ぴかさん。さてさて、最後は何かな。
「れんちゃん。今後、どんなことをやってみたいですか?」
「んー……」
くてっとしてるれんちゃんを起こして、膝に乗せる。れんちゃんは少し考えてから、
「おともだち、もっと!」
『まだ増やしたいのかw』
『もうかなりの数だと思うけどな』
全てのモンスターと友達になると言われてももう驚かないよ私は。れんちゃんならいつか達成しそうだし、ね。
「ありがとうございました。では最後に、視聴者の皆様に向けて何かあれば、どうぞ。ミレイさんも是非」
定番のやつだね。ふむ……。何かあったっけ。
「はい!」
「はい、どうぞ。れんちゃん」
「いつも見てくれてありがとうございます! えっと……。これからも、よろしく、ね?」
れんちゃんはそう言って、はにかんだ。
『かわいい』
『萌え死ぬ。死んだ』
『あああああかわええんじゃあああ!』
『いかん錯乱してるぞ! 衛生兵! 衛生兵!』
『衛生兵はその錯乱したやつだ!』
『詰んだ』
楽しそうで何よりです。もう意味が分からないけど。
「ミレイさんは何かありますか?」
「んー……。では一言」
「どうぞ」
「れんちゃんかわいいやったー!」
『れんちゃんかわいいやったー!』
『れんちゃんかわいいやったー!』
『おまえらwww』
『少しは自重しろよw』
『どっちが?』
『全員だよ言わせんな恥ずかしい』
いやいや、これでも自重している方だよ。
「では、取材は以上です。本日はありがとうございました」
「ありがとうございました」
れんちゃんと一緒に頭を下げる。一段落、だね。
|w・)これにて取材そのもは終了です。ありがとうございました。
次回は、地上に帰ります。
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ではでは!