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配信四十六回目:スライムに顔をつけますか?


 スライムがたくさんいる森。私としては嫌になるほど見たそれらを、れんちゃんは目を輝かせて見つめていた。

 スライム。ほとんどのファンタジーゲームに登場するそれは、作品ごとで強さがまったく違う。日本を代表するゲームのスライムは、看板であると同時に最弱モンスターだし、それとは逆に物理を一切受け付けない尖った強さになってるゲームもある。

 このゲームのスライムは、どっちもいる、だ。


 ファトスの側に出てくるこのスライムたちは、物理半減の能力はあるけど、体力も他の周辺モンスターの半分だったりする。だから意味はない、どころか、魔法耐性はないから魔法使いにとってはカモになる。

 そんな不遇なモンスターだけど、ストーリー後半とかに出てくるスライムだと物理完全無効、魔法半減、体力は他のモンスターと大差ない上に素早くて攻撃が当てにくく、その上仲間に補助魔法をかけてしまうという強敵になる。


 救済処置なのかは知らないけど、出てくる時は他のスライムはいなくて、魔法の効果も弱いから、真っ先に倒せばそんなに怖い敵じゃない、けど、知らなかったらいつの間にか敵モンスがあり得ないほどに硬くなる。ある種の初見殺しモンスターだ。クソゲーかな?

 でも、今は関係ないことだね。ここにいるスライムは、一番弱いスライムだから。


「まんまる」

「まんまるだね」


 スライムの形状だけど、半透明のまん丸。ぷるぷる震えてはいるけど、それ以上の変化はなし。ちなみに攻撃方法は体当たりのみ。


「つんつん」


 れんちゃんは半透明のスライムに近づくと、つんつんとし始めた。ぷるぷる震えるスライムと、不思議そうにつつき続けるれんちゃん。なんだこれ。

 まあ、とりあえず。配信開始、と。


「ども。宣言通りスライムに会いに来ました」


『早すぎぃ!』

『なかなか始まらないなと思ったら、移動時間を省略してくれたのかw』

『なるほど』


「いや、開始するのを忘れてただけ」


『おい』

『ミレイらしいと言えばミレイらしいけど』


「どういう意味かな?」


 そんなに忘れっぽいかな、私。


「おねえちゃん」

「ん? どうしたのれんちゃん。もうテイムしちゃった?」

「んー……」


 れんちゃんは微妙な表情。あまり見ない顔だね。どうしたのかな。


「スライムさんってお顔ないの?」

「あー……」


 れんちゃんがつつくスライムを見る。ぷるぷる震えるスライムは、その体の向こう側が見える程度には透明度がある。目とかは、ない。言われてみると、ちょっと気になる。愛嬌があるだけに余計に、ね。


「あれ? でも、私が見たことあるテイムされたスライムって、顔があったような……」


『そうなん?』

『スライムを連れてる人ってあまり見かけないからなあ……』

『そもそも見かけても、そこまで気にしないし』


「うん、まあ普通はそうだろうね」


 珍しい、もしくはかわいいモンスターを連れていたら結構視線を感じるけど、スライムだと誰も見ないと思う。私だって見ないし。


『テイムしてみたら、分かる』


「ふうん?」


 先輩テイマーさんかな? 何も分からないままだし、とりあえず従っておこう。


「れんちゃん、とりあえずテイムしてみたら?」

「うん」


 かわいくないから止めた、とは言わないみたい。さすがだよれんちゃん。

 れんちゃんはいつものエサを取り出すと、少し迷ってから地面に置いた。どこが口か分からなかったらしい。当然だけど私も分からない。でも、とりあえず間違ってはいないみたいで、すぐに近づいて食べ始めた。

 そして。


「おねえちゃん、おともだちになったよ」

「まだ一個目なのに!?」


『さすがやでれんちゃんw』

『テイムの難易度はそう高くないモンスターだけど、一発成功はびっくりだw』


 私もびっくりだけど、まあれんちゃんだしな、と思えるようになってきた。慣れって怖いね。


「おねえちゃん、何か出てきたよ」

「ん? 見せてもらっていい?」

「うん」


 れんちゃんにメニューを可視化してもらって、確認してみる。えっと、なになに……。


「顔をつけますか……?」


『ド直球w』

『なんだその選択w』

『とりあえず、そういうこと。かわいいのが好みなら顔はつけた方がいいと思う』


 なるほど、と頷いて、れんちゃんにはいを押してもらう。少しだけ迷ったれんちゃんだったけど、結局ちゃんと押したみたいだ。やっぱりかわいい方がいいよね。

 で、スライムだけど。


「おめめがついた!」

「う、うん……」


 なんだか、くりくりなお目々と、どこかのネズミを思わせるキュートな口がついた。ぷるぷると震えながら、つぶらな瞳で見つめてくる。

 んー……。まあ、悪くはないと思う。むしろかわいいかも。


「わあ……」


 れんちゃんも気に入ったのかな? スライムと見つめ合ってる。


「おいで。おいで」


 れんちゃんが手招きすると、スライムがぴょんと飛び跳ねてれんちゃんの腕の中に。優しく受け止めたれんちゃんは、スライムをぎゅっと抱きしめた。


「えへへ……ぷにぷに……」


壁|w・)つんつんれんちゃん。

スライムの顔はご想像にお任せしますです。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

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ではでは!


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― 新着の感想 ―
[一言] す、スラリンが仲間に
[良い点] スライムをテイムする場面、感想欄と見比べて、 ともだちになれた という表現に変えたのかと察しました。 テイムできた って表現にもちゃんと理由がはっきりしてるようなので問題ないとは思いました…
[良い点] つんつんするれんちゃんかわいい(*´ω`*) [一言] れんちゃん不思議生物もイケるのか 作品によってはグロ生物たけどかわいくデザインされてて良かった 飼っているシーンがあんまり想像できな…
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