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配信四十四回目:しゃきーん!

 ディアや白虎と遊んでいたれんちゃんが振り返った。なんだか立ち上がってる小さなモンスたちに首を傾げる。ディアと白虎を撫でてから、その集まりへ。


「んー……」


 少し考えて、れんちゃんはキツネを抱き上げた。ふむ。


「今日はキツネの勝利です」


『アピール勝負なのこれ!?』

『ゆるい……』

『平和だなあ……』


 平和って、いいよね。

 れんちゃんはその場に座って、キツネをもふもふしてる。お腹をわしゃわしゃ、背中をわしゃわしゃ、尻尾をなでなで。

 たっぷり撫でた後、れんちゃんは満足したみたいで最後にキツネを抱きしめた。そして。


「しゃきーん!」


 れんちゃんが取り出したのはいつものブラシ。キツネを優しく丁寧にブラッシング。気持ちいんだろうね、あっという間にキツネは寝てしまった。

 そして第二ラウンド。ラッキーたちはずっと羨ましそうに見てたけど、再び立ってアピールし始めた。


「とまあ、これが終わりまで続きます」


『あ、結局全部もふるのかw』

『てことはこれって、順番決めなだけか』


「それもあるけど、この後、家の前に戻るまでは一匹目がれんちゃんの頭にいることになるよ」


 多分、れんちゃんは何かを意識して選んでるわけじゃないとは思うけど。

 れんちゃんは寝てしまったキツネを頭にのせる。ちょっとご満悦な顔がかわいい。そして次の子、今回はフクロウを膝に載せると、もふもふし始めた。




 そんな平和なもふもふと散歩を終えて家に戻る。ここから先はれんちゃんのくつろぎタイムだ。アリスとはここでお別れ。いや、お別れというか、羊の毛刈りの許可をれんちゃんから取ってたから、しばらくはホームにいるんだろうけど。


 れんちゃんの家は、最初に山下さんが用意したままであまり変わってない。あまり、というか全然だね。家の模様替えよりも動物たちとの時間の方が大事なんだと思う。

 もしかしたら、山下さんはそれを見越して家をある程度整えてくれていたのかな。いや、さすがに考えすぎかな?


「さてさてれんちゃん。何が食べたい?」

「はんばーぐ!」

「あいあいさー」


 まあ作るのは私じゃないけどね!


『これから何が始まるんです?』

『知らないのかお前。遅れてるな。俺もわからん』

『いやお前も知らないのかよw』

『お食事タイム?』


 そういうことだね。お散歩の後はご飯を食べるのが恒例だ。

 家にキッチンを増設すれば自分で作ることもできるけど、れんちゃんの家にそれはない。ある程度の家具は用意してもらってるけど、それでも必要最低限だ。テーブルや椅子に本棚とかぐらい。……いや本棚って必要なの?

 ともかく。これはれんちゃんに限った話じゃなくて、料理スキルがない人はほとんどがそんなものだと思う。


 ならばどうするか、と言えば話は簡単。出前があります。

 どんな街にもいくつか食堂があるんだけど、そういったところには注文票が置いてある。提供してるメニューがずらっと書かれている小さな紙。その紙に食べたいものをチェックして、テーブルに置く。すると注文票はふっと消えて、十秒後には。


「お、きたね」


 扉を叩く音。すぐに開けてあげると、配達員さんが部屋に入ってきた。


『まって。俺このシステム知らない』

『さてはお前、マニュアルを読まない人だな?』

『ゲーム内で説明はされないけど、ちゃんと公式サイトとかには書いてるからな』

『まじかよ』

『俺は知ってても利用したことなかった。知ってたら利用してもふるのに!』

『配達員(犬)』

『かわいいw』


 料理を持ってきてくれるのは、動物たちだ。れんちゃんだけのサービスじゃなくて、みんな一緒らしい。背中に木製の箱を背負った犬が二匹入ってくる。そしてテーブルの前でお座りして、待つ。ひたすらに待つ。


「いらっしゃい!」


 れんちゃんは早速犬たちをもふもふし始めた。いつものことなので、私は料理を取り出すとする。ゆっくりと、時間をかけて。料理を取りだしたら犬は帰っちゃうからね。

 犬たちも嫌がる素振りはなくて、どことなく気持ち良さそうだ。大人の犬たちだけど、これはこれでやっぱりかわいい。


『柴犬、かな? 他にもいるの?』

『確認できてるものでは、ゴールデンレトリバーとかブルドッグとか、チワワとか』

『まって。ブルドッグも大概だけど最後のはどうやって!?』

『自分よりも大きな箱を何の苦も無くチワワが運んで来るからな。すごく、シュール』

『やばい見たい。ちょっとあとで料理頼んでくる』


 チワワね。ここにも一度来たことあるけど、あれはちょっと面白かった。かわいそうだと思いそうなところだけど、本当に苦も無く、軽やかに運んで来るからね。あれこそ動画に残したかったものだ。

 料理を出し終えたら犬たちが立ち上がる。れんちゃんがそんな犬たちに、チップの代わりなのかエサを一つずつ上げる。犬たちは嬉しそうに食べると、ぺこりと一礼して帰っていった。


『礼儀正しい犬だな』

『少なくとも俺らよりも礼儀正しいな!』

『否定したいのに否定できない……』


 そこは頑張って否定しようよ。

 テーブルに並ぶのはれんちゃんが頼んだハンバーグセット。大きなハンバーグにコーンスープ、ライスのセットだ。私は鮭の切り身が入った鮭茶漬け。


『ミレイはそれで足りるの?』

『いや足りるも何も、満腹感までは感じないからな?』

『でも味気ないのでは?』


「ふにゃふにゃれんちゃんを見ながら食べるから問題ないよ」


『え』

『おまわりさんこの人です!』

『お医者さんこの姉です!』

『お前ほんといい加減にしろよ!?』


「いや待って!? 今回はそんな意味じゃないから!」


 本当に、本当に違うから!


壁|w・)れんちゃんを見ながら食べるだけで満足できる頭がぶっ飛んだ姉がいるらしい。

次こそ三日後……かなー?



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ではでは!


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― 新着の感想 ―
[一言] 動物でこうやって恋の季節にアピールしているやつ結構居ますねw
[良い点] もふもふれんちゃんかわいい(*´ω`*) [一言] あー、おまいら、ミレイを責めるのはおかしいぞ? おれらもれんちゃんでご飯3杯いけるやろ? ミレイはシスコンとロリコンが振り切っているだ…
[良い点] 出前が凄い速さで届くのはm○therのピザ屋思い出させるw あとミレイは反省しよ?
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