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7、最低ランクのクエストは危険?



街を出て、草原へ来ていた。

すぐ近くなので、街はそれなりに見える程度の距離。

ライシンは変身したまま。

今は2人きりだ。


「フレイお姉さん可愛いかったな〜……。」


『アランは、ああいう女子(おなご)が好みか?』


「あ、恋愛対象ではないよ。ただ、可愛いってだけ。ていうか、俺は10歳だから相手からも除外されてるよ。」


『ふぅん……さて、どうかな……?』


「どういう意味?」


『ふふ……何も無い。』


「そう……それより、ライシンはどうなの?」


『我は、肉付きが良い女子が好きだな。』


「それって……人間じゃなくて、ホワイタイガーの雌の話だよね?」


『そうに決まっているだろう……』



呆れた声が返ってきた。



「ごめん、ごめん。あ、採取って……これじゃない?」


『それで合っている。』


「カネンソウだっけ?」


『あぁ。』


「これって、火薬になる原料だったり?」


『半分当たり、半分不正解だ。』


「何で?」


『カネンソウともう1つ材料が必要だ。』


「へぇ……。ま、とりあえず10束採取か。」


沢山あるので、

とりあえず1束、手でもぎ取ろうとした。



『素手は────!!!』



ライシンが何かを言いかける前に俺は手を出していた。




ブチッ…




もぎ取った瞬間─────────。





ピカッ!!




「え?」





ドガァァァァァァァン!!!!!






大きな爆発が起こった。

勿論、俺は爆発に巻き込まれた。




シュゥゥゥゥゥ……




『アレン!!無事か!!』



「ゲホッ……ゲホッ……。何とか……無事……。」


俺どんだけ爆発に巻き込まれるんだろ……

ていうか、俺…生きてること自体が奇跡だよ…………。

煙が消えれば、俺の立っている周り以外は

土が表面に出ていた。

さっきまで緑の草原だったにもかかわらず。


「カネンソウだった所……全部が爆発してる……?」


カネンソウってもう1つの材料があって

爆発するんじゃなかったのか?

いや、今……俺が生きている事に感謝だな……。

そういえば…スキルに何とかの加護って

あったような……。

それのお陰か…。

それとも、俺の防御力が高かったか……。

防御力は俺には分からない。

表示がされていないからな。

どちらにせよ、助かっている……この事実は大きい。


『アレン、そう言えば…お前は知らなかったんだな。私の落ち度だ。聞いていたにもかかわら─────』



キュィィィィィィィン!



イノキシが現れた時と同じ音が頭に響く。

ただ、音の音量が尋常ではなかった。

そして、365°辺りを見回す。

魔物が俺達に向かっていた。

全速力で。


『数が多いな……。カネンソウの爆発音で呼び寄せてしまったのか。』


「ちょ……!冷静に分析するなよ?!」


ていうか、俺は採取しに来ただけだ!

何でこんな状況に……!?

落ち着け、今……俺達はピンチだ。

いや……待て…いけるかも?良く考えろ。


周りの敵を全員倒すとして、まずは速さが必要だ。

速度の早いものと言えば……

音、電波?光?……光だ!光ならいけるはず!

次は静止は使えるか?1秒あれば十分。

それと……透視……急所を正確に狙う。

これが出来れば……。


俺達は助かる─────!!!!!


そうと決まれば、やるしかない。

俺は小さな光の粒子をイメージし、人差し指を立てた。

そこへ光り輝く球体が現れた。

人差し指を横から見て斜めになるよう前に少し倒せば光の球体は俺の指先から前に出て浮かんでいる。

よし、次だ。

魔物と俺の距離は数メートルだった。

素早く殺る!!



透視!静止!



そう心の中で唱えれば、魔物の体内……心臓が見える。

静止!と唱えた瞬間、相手の動きが僅かに止まった。

ここだッ……!!!!!


シュン!!!


人差し指を円を描くように回す。



バタバタバタバタバタバタバタ……



悲鳴をあげる前に魔物は倒れていく。

それを数十回以上繰り返した……と思う。

集中していたので、覚えていない。



「お、終わった……」



ヘナヘナと座り込む。

俺の365°周りに魔物の死体が転がっている。

山盛りのように。

そして、その魔物は血が1滴も出ていない。

血なまぐさい匂いは全くしないが絶命している。

何故なら透視のお陰で正確に心臓を潰せたからだ。

一撃で倒せたのと光の速さで体内に侵入させているので

小さな傷口が入った時と出た時で2箇所だけ。


『アレン……お前は……凄いとだけでは言い表せないくらいの能力を持ち合わせているな……。』


「そう?でも、今回は本当にヤバかったと思うよ?一か八かだったんだから。」


『よくやり切った。偉い。』


「ありがとう。ってこれ…何体いるんだ……。」


『300……いや、500……を超えるんじゃないか?』


「そんなに?!カネンソウ取りに来ただけなのに……ていうか、これが最低ランクって嘘でしょ?!これ。ギルドに報告した方がいい絶対。」


『いや、難易度は全く高くない。カネンソウの取り扱いはこの世界中が知っている。』


「はぁ?!」


『カネンソウは素手で触ったり、踏んだりしても大丈夫だ。しかし、採取する時だけが重要なのだ。人間の体温は高い。高い体温がカネンソウに触れている時、カネンソウは体温から伝わる熱によって爆発物へと変化する。もぎ取った瞬間、それは合図になる。』


「爆発する合図か。」


『そうだ。だから、採取の際は皮膚が触れないようにカネンソウを布で巻いて引き抜くなり、もぎ取るなりするんだ。専用の手袋もある。』


「でも、その後の保存方法は?温度をあげたらダメなんだろ?」


『日光で熱くなろうが気温で熱くなろうが爆発はしない。だが、人の体温だけがダメなのだ。この原因はまだ解明されていない。』


「へぇ…識別する力を持ってるわけか……凄い。」


とりあえず、この魔物達は確保だな。



収納!



いつも通り、一瞬にして消える。

ボタンをタップして持ち物を見てみれば

ちゃんと表示されていたので持ち物には入ったみたいだ。

次からは確認しなくてもいいな。

それじゃ、次。



修繕!



俺がカネンソウに、触る前の緑豊かな光景に戻る。



「うーん……手でも触れるように持って帰りたいな……。」


『何をする気だ?』


「あ、いい事…思いついた。」


手をカネンソウに向けて、



冷結晶!柔軟!



俺の手のひらから、白い何かが出る。

そう、冷気。

カネンソウは、凍った。

だが、カネンソウは風になびいたりしている。

柔軟って、唱えたのが良かったのかもしれない。

見分け方としては、キラキラと光って見えるか見えないか。

俺が魔法をかけたカネンソウはキラキラしているように見える。

結晶化したからだろう。


俺の中のイメージとしては、

その物質の周りに薄い膜が張り付いていて

中に人間の体温を通さないようになればと考えていたんだがどうやら、成功したみたいだ。



パキッ!



なぜなら、素手で採取が出来ているから。



「ひんやりしてる……。」



なんか不思議な感覚……。


『心配は無用なようだな。どうやって素手で……。さっき何か細工をしていたな。それでか。』


「そういう事。あ、でも…これ解除出来るようにしておいた方がいいよね。そうだな…言葉で解除できる方がいいか…。」



言霊解除付与!



よし、これでいけるだろう。

解除と口に出せば結晶化が無効になるはず。

確認のために1束残しておくか。

少し多めに採取して、収納し1束だけ目の前に置く。


「解除。」


一瞬にしてキラキラと輝いていたはずのカネンソウは草原に生えているカネンソウと何ら変わりない。

第2段階目の確認だな。



無音結界!



カネンソウを囲めるだけの結界を作った。

防音機能付きの結界。

この中で爆発が起こっても被害はこの中だけだし

音も外に漏れないから魔物がおびき寄せられることもないだろう。多分……。


人差し指に、小さな蝋燭につく程度の炎を灯す。

フッとカネンソウに向けて炎を息で吹きかければ

音はなく爆発した。

どうやら成功したようだ。


『アレン……お前は…神か?』


「は?何言ってんの……俺はただの一般人だから。しかも、子供だよ?」



中身は25歳の根暗な大人だけど。



『……そうだが……お前の正体がとても気になるな。』


「正体って言われても、俺…分からないからね?」


『あぁ。正体は、おいおい分かるかもしれん。それまでの楽しみにしておこう。』


「そ、そう……。目的も達成したし、街に戻ろっか。」


『そうだな。』




そうして、俺達は街へ戻ることに。

戻る最中、自分のステータスを確認したが

相変わらず変化はなかった。

謎の解明はまだまだのようだった。




魔物の倒した数を、増やしました。

度々の修正すみません。

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