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49、故郷へ帰還




「重くない?」


『軽すぎるな。』


「流石、ライシン。」


そう、今俺達はライシンの背に乗りラッセルの村へと

向かっていた。


「ライシンがあの……ホワイタイガーやったなんてな…… 」


「ラッセル知ってるんだ。」


「図鑑や!魔物の!オレの家にもあるさかい。」


「おぉ!一緒!」


俺達、二人以外のお兄ちゃんズ達は

仕事と思っているのかして、無表情に近い。

あ。口元は布で隠してるよ。


「ていうか、もう着きそうやで……早い……」


「やったね。早い方が全然いい。」


そして、ライシンが走り続けて15分経った頃。


「あれが、オレの村や。」


ラッセルが指を指す方向に、紫の霧に包まれた場所があった。

霧が濃いせいで、町があるのかどうかさえ分からない。


「町があるのか、分からないな。」


「まぁな、でもあるんやで。」


「ん。とりあえず、頼むね。」


「任せとき!!」


「あ。私の名前はアヤでよろしく。」


「あや?聞いたことない名前やなぁ。何が由来?」


まさか、前世の名前の上だけ取ってアヤにしたとは言えないしなー。


「適当に考えただけ。」


お兄ちゃんズ達にも、ちゃんと聞こえていた。

振り返って見たら頷かれた。


「じゃあ……ここら辺で降りよう。」


「分かった。」


「計画通りに侵入するよ。」


「ん。」


行く前に、全員に俺の魔法で保護魔法を付与しておいた。

それから、歩いて町に行くことに。

ライシンはラッセルの肩に乗っている。

そう、ラッセルとはあくまで他人。知らない人。

そして、俺は女……。

ラッセルが演技をしてきた。


「オレ、君の名前聞いてなかったな。」


「あ。そうだった……ごめんなさい。私の名前はアヤです。兄共々宜しく御願いしますね。」


「勿論や。まぁ、大したもてなし出来んけどすまんな。」


「いえ……行き倒れていた私達に手を差し伸べって下さっただけで感謝しています。お気になさらずに。」


「おおきに。」


そんな、嘘の会話をしつつ村へと入っていく。

紫色の霧だ。

何だか体に何かが入り込んでくるような感覚がする。

だけど、俺がかけた魔法のおかげか侵入には至っていない。


「紫色の霧??」


「ここ1ヶ月……霧が凄くてな。」


「そうなのですか……。」


「あ、俺の家はこっち。」


「あ、はい。」


そう言ってラッセルは、家へと案内してくれる。

家に着くまでに村の様子を観察したが、

誰一人この村にいないんじゃないかってくらい

不気味な程に静かで、作物だって枯れ

荒れ果てているように見えた。

まぁ、霧のせいでうっすらだけど。


「ここが、俺の家。」


「立派なお家ですね。」


「おおきに。」


そう言いつつラッセルはドアを開け中に入る。


「中、入ってー。」


「あ、はい!お邪魔致します。」


お兄ちゃんズ達も、入ってくるが。

気配を消しているような気がする。いや、見てるから

いるのは分かってるんだけど。

いるようでいない人みたいな…言葉で伝えるの難しいな……。

部屋の中には入ってみたものの……静かだった。


「オレが出ていった時と変わらん……。生活したような跡がない……」


そんなことを呟きながらラッセルはどこかへと行った。

俺は俺で、人はいるのだろうか……と考えていた時。


「おかん?!おとん?!」


遠くの方でラッセルの焦った声が聞こえた。

その声を聞いてすぐ、その場へ駆けつけた。

ラッセルの御両親はベットに寝たきりになっていた。


「アレン……おかん……と……おとん……起きひん……。息してるのに……起きてくれやん!!何でや?!オレが遅いせいで!!」


ばっ!名前でてる!!仕方ないけど。


「ラッセルさん落ち着いて下さい。私に考えがありますから。」


「……!!アヤ……何とか出来る……?」


思い出したようだ。ここでの設定を。


「はい。お任せ下さい。」


そして、御両親に近づく。紫の霧が纏っている訳では無いので、あらかた術にでもかけられて目覚めないようになってるんじゃないかと思う。ここで、ゲームの知識が生かされるとは思わなかったけど。やってみよう。

2人に手をかざす。



睡眠……解除!!



唱えたが。2人は起きなかった。


「アヤ……起きやん……で?」


絶望的な声が聞こえる。


「大丈夫です。何とかなります。」


1回失敗しただけだが、俺は焦っていた。

もし、このまま助けられなかったらって。

俺の能力はよく分からない。だけど、何とか今まで

助ける事が出来たり、敵を倒したり出来てた。

自分の未知の力を過信してる訳では無いけど………

そんなマイナスな事を考えていたら、

スランが声をかけてきた。


「アヤ、なんて唱えたんだ?」


「睡眠解除。」


「この人達はただ、眠らされているだけなのか?」


「ただ、眠らされているだけ……?」


いや、待て……。それに、この家に入った時、ラッセルは自分が出て行ってから、何も変わってないって言っていたのと生活した跡がないと言っていた。


という事は、ラッセルが出て行ってからずっと眠っている

と考えるのが普通。3日経った訳だが……御両親は

やせ細っているように見える。


これこそ、ありえない。こんな直ぐに人間は痩せるか?

時間はだいぶかかるはずだ。

なら……術……いや、呪いが掛けられているに違いない。


「スランお兄様、ありがとう。」


「あぁ……」


照れんな馬鹿!お兄様と言われたのが照れたらしい。

鳥肌立つわ!そんなことは置いといて。

もう一度、試そう。



呪詛!解除……!!



緑の光が2人を包み込み、その光は消える。




そして─────






「……ここ……は……」


「あなた……は……?」


「おかん!おとん!!」



ラッセルは泣きながら親の名前を呼んだ。

俺はその声に安堵する。術だけど、ただの術じゃなくて

呪い……ね。

そうして、ラッセルの御両親2人は目を覚ましたのだった。



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