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第5話 ~初めての戦い

加筆ってなかなか難しいもんだね。

ーティルー


シアルの街から出て再び目にする広大な草原、予想通り…PCは疎らでチラホラと。ここにいた大勢のPC達は、王都に続く街道、或いは王都に続くとされる山の方へと向かったのだろう。軍隊アリが如くの群がり具合に軽く引いたが、そのPC達は先へと進んでいる。必然的に瞬殺されていた魔物達は生き長らえて存在し、出遅れたのか…それとも俺と同じ考えで草原に来たのかは分からんが、そんな魔物達を狩るは少数のPC達。


改めて周囲を見回し思う、あの軍隊アリ…PC集団がいないとこうも広く感じるものなのかと。あの集団が、妹も属していると思われる前線組という奴等なのだろう。じっくり楽しむよりも未知なる先へと向かう、…俺にはむかない集団だ。俺はのんびり自分のペースで進むタイプだからな、じっくり楽しまなきゃならん。前線組にいるであろう妹の活躍を祈りつつ、俺は草原を彷徨く。チラッとしか見られなかったからな、魔物の姿。じっくり見る前に狩られていたわけだし、…早くこの目で見てみたいものだ。


魔物と戦う為に草原を徘徊するが、なかなか出てこない。狩られまくったせいで出現率が低いのか? それとも街の近くだからだろうか? …うーむ、どちらもあり得ることだな。見付けたと思っても、他のPCが戦闘に入ってしまう。…人気の少ない場所を探した方がいいのかもしれない、そうした方が出現率も高いだろうし、他のPCに獲物を奪われることもないだろうし。…そうだな、そうしよう!







…で、人気の少ない場所へ来た矢先にいましたよ。近付いてみると、ゲームでよく見る有名なアイツがいた。よし、とりあえずは〈鑑定〉だな。


【スライム】LV1

北の草原に生息するゲル状のモンスター。最弱である。


説明短っ! それだけしか情報を得られないのか? …このスライムが弱すぎて、情報を開示する意味がないとかだったりして。…それだったら何か泣ける、…強く生きるといい、やや半透明無色のスライム君よ。まぁ初めての魔物故に、見逃さずに殺らせて貰うが。


何はともあれ初めての戦闘だ、最弱でも相手は魔物…、決して油断はしない。そう自分に言い聞かせていると、此方に気付いたスライムが飛び掛かってきた。最初から見ていたその姿、故に慌てることなくそれを回避する。とりあえず投げナイフ、こいつの威力を試してみようか! 素早くアイテムボックスから投げナイフを取り出し、スライムへと投げてみた。見事に命中するもスライムは怯むことなく、再度…俺に飛び掛かってくる。


俺は油断なくそれを回避、投げナイフを再度投げるもスライムは怯まない。…投げナイフが弱い、最弱のスライムですら倒せんのかい! …スライムの体当たりを回避、投げナイフを投げる。それを最初から数えて三回繰り返すことにより、やっとこスライムが沈黙した。


…あ、地面にスライムが溶けるように拡がる。俺は警戒しつつ近付き、足でつついてみるが動かない。どうやらスライムを倒せたようだ、…倒せたのなら次にすべきことは一つ。アイテムボックスから剥ぎ取りナイフを取り出し、倒したスライムに刺してみる。するとスライムはスーッと消えて、その場に球体だけが残った。これがスライム素材か? どんな物か鑑定してみますかね。


〔スライムの核〕:スライムの心臓ともいえる球体。かなりの弾力がある。


スライムの心臓ということは、倒せばほぼ確実に入手することが出来る素材だな。この他にもスライム一匹から、違う素材は入手出来るのだろうか? 倒し続ければ分かることだが気になる。


そんなことを考えていると、何処からかスライムが涌いてきた。先程倒したスライムと同様の動きで瞬殺、そして使用した投げナイフは計六本。スライム二体に投げナイフ六本…、この調子だとすぐに無くなるな。そう考えると〈投擲〉というスキル、世間一般的に言うとゴミスキルの類いになるのだろうか? …まぁたとえそうだとしても、俺の目指す武器、戦闘スタイルには〈投擲〉が必要だと思っている。故に諦めずに鍛えればきっと…、何かしらの工夫もしないといけないかも。







そう考えていると、次に現れたのはやや大きめなウサギ。スライムよりも強そうだ、…戦う前に〈鑑定〉っと。


【ホーンラビット】LV2

額の角が特徴的なウサギ型モンスター。額の角を主軸にした頭突きが主な攻撃で、油断をすると手痛い目に遭う。そしてその肉は食用であり、グラン王国の主食となっている。


ホーンラビットという魔物か、LV2…スライムよりは当然強い魔物であるのは確実。さて…その実力、見せて貰おうか!


投げナイフを構えていざ勝負! …と思っていたのだが、茂みから三匹のスライムが飛び出してきた。生意気にも乱入、そして奇襲とはやりおる。…が、そんな体当たりなど当たりはしない。俺は軽くバックステップでそれを避け、手に持つ投げナイフをウサギに投げる。最弱のスライムは後回し、先にウサギを倒すのが吉だろう。そう考え、スライムの動きに注意しながらウサギを攻撃する。スライムの攻撃よりもウサギの角が恐いからな、早めに倒してスライムを蹴散らさなければ。


だがそんな時、タイミングを合わせてきたウサギの頭突きをまともに食らってしまった。


「……っ!?」


俺は身体を少し仰け反らせ、体勢を立て直しつつ腹を押さえた。なかなかの衝撃と多少の痛みを感じる、…成人指定の説明にあった通りだ。これは燃える、このリアリティーに俄然やる気が出てくるぜ。…俺は直ぐ様初心者用ポーションを飲み、ウサギから距離を取る。しかしウサギとスライム達は間を空けることなく、距離を縮めて襲い掛かってくる。…第2ラウンド開始ってわけだな!


俺はスライムの体当たりを避けることはせず、正面からそのまま殴り飛ばす。殴り飛ばされたスライムはウサギにぶつかる、…ラッキーだな! 幸先がいい。その勢いのまま滑るように走り二匹のスライムを蹴り飛ばして、向かってきたウサギの頭突きをタイミングを合わせて避けると、横から力任せにその腹を蹴りあげる。モロに食らったウサギは転がり、その隙を逃すことなく追撃して蹴る。…蹴る、蹴る、蹴る、蹴る!


俺のラッシュにより動きの鈍ったウサギへ、至近距離から投げナイフを投げつけた。それは運良くウサギの眉間へと突き刺さり、沈黙…即死させることが出来た。その間、健気に体当たりを続けていたスライム達を殴る蹴るの暴行の末、最後は投げナイフで刺し殺した。


……ボロボロになった俺は、初心者用ポーションを飲んでおく。そしてウサギとスライムに剥ぎ取りナイフを突き刺し、素材を忘れずに回収。なかなかに熱い戦い、…だが足りない。まだ戦い足りんのだよ俺は、体力的にまだやれる。故に再び魔物を探そうと思ったが、その前にステータスを確認しておこう。LVが上がっているかもしれないからな、うん。







どれどれ、どんなものかね…っと。…………ふむ、LVとステータスはきちんと上がっているな。普通の上昇率がどんなものかは分からないけれど、俺的に良い上がり方をしていると思う。スキルLVも上がっている、…それに新しいスキルも取得していますな。スキル取得ってイベントだけではなく、ましてや買うだけでもないんだなぁ~と思いつつ、取得した新スキルを確認してみる。


〈喧嘩殺法〉:思うがままに戦う無法の戦闘術。〈拳撃〉〈蹴撃〉等のスキルを併せ持つ。


…何だこの強力なスキルは、…複合スキルというモノか? 〈拳撃〉〈蹴撃〉等ってことは、この二つ以外の何かしらも含まれているってことなのか? もしそうだとしたら、これはかなりの幸運ではなかろうか。…何故取得出来たのかは分からない、可能性があるとしたら固有の〈俺流〉だな。それ以外では考えられない、【成長率+補正(特殊)】だし。そう考えると、これから先も何かしらのスキルを取得出来る、その可能性が高いということ。………楽しみですな!


新スキル〈喧嘩殺法〉を取得したのなら、その効果を早速試すのもいいだろう。スライムに対して殴る蹴るの暴行をし、その結果…取得したと思われるこのスキル。先程の戦闘で取得したのならまだ未発動、取得を確認し〈調合〉を控えに、そして〈喧嘩殺法〉をセットした今なら発動している筈。その効果…恩恵を実感させて貰おうか、ようは喧嘩だろ? リアルと同じようにやればいいのだから、慣れている分戦いやすそうだぜ。







その直後に現れたスライム二匹、突然飛び掛かってきたが喧嘩キックで一匹を蹴り飛ばし、もう一匹を掴んで地面に叩きつける。ここから追撃に入るんだが…、それは必要なく沈黙する。殴る蹴るでも数発は叩き込まないと倒せなかったのに、スキルをセットした途端に一撃か。それに何だか動きが良くなったような? モーションっていうの? 何か滑らかに身体が動いた。あるのと無いのとでは、こうも違いが出るのか…スキルってスゲー。


滑らかに動く身体にテンションが上がり、魔物が現れると、


「…はっはぁ~!!」


喜び勇んで此方から飛び掛かってしまう。そんな俺に対し魔物の方がビビってしまう現実、もっと気合いを入れろよ魔物達! と思わなくもないけど、最弱に属する魔物達だから仕方なしか? まぁ何はともあれ片っ端から〈喧嘩殺法〉…、暴行によって現れる魔物達を蹂躙する。たまに投げナイフにてとどめを刺し、間が空けば剥ぎ取りナイフにて素材を入手。始めてばかりの『F.E.O』ではあるが、…既に充実しております。めっちゃ楽しいぜ、この野郎!







巨大なバッタが上空から襲い掛かってくるが、俺によって耳を掴まれ暴れているウサギをそのバッタに投げつける。それにより絡まって落ちてくる二匹に対して、渾身のハイキックを食らわせる。吹っ飛ばされる二匹を追いかけ、地面でもがく二匹を暴行の末に殺害。


………自身の高ぶりが収まって冷静になると、俺の戦闘スタイルって悪役のそれじゃない? と思ってみたり。そう思いながらも素材を回収し、自身の状態を確認する。……LVもステータスも上がっている、スキルLVも上がり…新しいスキルも取得しているな。何だか色々と凄い、スキルってこんなに取得しやすいものなのか? と思ってしまう程。しかしながら悪いことをしているわけではなく、運営? から頂いたスキルの効果であるからズルではない。故に俺は気にするけど気にしない、とりあえず楽しんでしまえばいいと割りきる。…それでいいよな?







初心者用ポーションを使いきった、回復手段がないわけで…、


「…無理は禁物、今日はこれまでにしよう。」


戦闘はこれで終えて、街に戻ろう。素材も大量に入手したし、LVもステータスもスキルLVも上がった、上々どころか大満足の成果である。


俺は上機嫌で街に戻る、PC・NPCがビビって道を開けるのも気にならない程。そんな俺の上機嫌、ボロボロ姿で戻ってきたことに対し、シグルゥが驚いたことは言うまでもあるまい。

ステータス


名前:ティル

種族:人間

性別:男

LV5(+4)


HP:38/110(+30)

MP:40/50(+10)

STR:18(+10)/19〔+1〕

DEF:14(+6)/17〔+3〕

INT:11(+3)

AGL:15(+7)

DEX:25(+10)

MED:14(+6)

LUK:21(+10)


【SP】:20


【スキル】

〈投擲〉LV5(+4)〈喧嘩殺法〉LV5(+4)〈鑑定〉LV3(+2)〈採取〉LV3(+2)〈鍛冶〉LV1


【控えスキル】

〈調合〉LV1〈話術〉LV1 NEW!〈威圧〉LV1 NEW!


【固有スキル】

〈俺流〉LV6(+5)


【称号】

繋がる絆 NEW!


【装備】

初心者用投げナイフ×35〔STR+1〕

初心者用村人セット〔DEF+3〕


【アイテムボックス】

剥ぎ取りナイフ×1・etc



LVUP時に上がるステータスの数値は、LVUP前の行動によって変動します。その変動値はLVUP後、リセットされます。〈俺流〉の恩恵です。

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