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第16話 ~軽い検証とNPCイベント

すみません、今年最後になってしまいました。


忙しかったし、Switchを入手して久々にテンションアゲアゲでした。


そんなダメな作者ですが、来年もヨロシク!



感想は暇があれば返します、すみません!

ーティルー


シアルの街を出た俺は、早速購入したスキルの簡易的な検証を開始した。危険がないよう草原の片隅? にて、〈光〉を取得したと同時に覚えていた…、


「ライトアロー!」


…という魔法を使ってみる。俺の手から放たれた光の矢が、目の前で跳ねるウサギの身体を貫く。光の矢にて貫かれたウサギは動かない、…倒すことが出来たようだ。


「ふむ、…なかなかの威力だな。」


ライトアロー二発でウサギを撃破か、強力…と言えるのか? 今までは投げナイフを数発か、殴る蹴るの暴行にて倒していたから強力ではあるんだろうな。消費するのは3MPだし、安上がりではある。投げナイフ数十本よりもマナポーション一本の方が安い、自分で作れるっていうのがあるけどな。他のPCには燃費が悪いか? 買うと高いからな、マナポーションという物は。


続いて〈闇〉を取得したと同時に覚えていた闇魔法、〈光〉と同じく…、


「ダークアロー!」


…ライトアローと同系統の魔法を放つ。闇の矢が新たに現れたウサギを一撃で撃破、聞いていた通り…光魔法よりも闇魔法の方が強力だな。闇は状態異常に特化と聞いていたが、初期魔法はただの属性魔法。状態異常系は買うしかないのか? …何処に売っているのかは分からんけど。魔法屋ってあるんか? 思い付く中で有力なのが魔法ギルドだが…。総合ギルドの魔法ギルドエリアにて買えるんか? その内見に行ってみよう、…覚えていたらの話だが。


ライトアローにダークアロー、放ってみて分かったが魔法は強力だな。俺でこの威力なんだ、最初からの魔法スキル所持者はどれ程の強さか。所謂魔法使いキャラ、…考えるだけでも強力であると想像出来るわ。スキルLVを上げれば修得出来る魔法もあるらしいが、それ以外で修得は出来ないのか? 買う以外で考えるならイベント報酬とかだよなぁ、その場合はレア魔法というモノが修得出来るかもしれん。…そう考えると楽しみだな、うん。


因みに初期魔法は人それぞれ、みんな同じ魔法ではないようだ。軽く掲示板とやらを覗いてみたのだが、初期魔法が数種類も挙がっていた。仮定としてだがSTRが高いとソード系、dが高いとシールド系、INTが高いとボール系、AGLが高いとショット系、DEXが高いとアロー系、MEDが高いとヒール系、LUKが高いとブースター系…とのこと。言い切れないこと故に仮定としているようだが、当てはまる者が多いようで信憑性は高い。俺のステータスで一番高いのはDEXでアロー系、この仮定に当てはまっているもの。…調べ上げた奴って凄い、PC侮りがたし。







さて、魔法はこれくらいでいいだろう。細かく検証するのもいいが、他にも試したいモノがあるからな。…試したいモノとはこれだよ、ウサギセット改の爪。アーム部分に隠していたこの狼爪、これを試さないわけにはいかない。草原狼との戦闘時、その威力をこの身で体験した俺。果たしてこの爪は、俺が武器として使用しても強力なのか? …いざ。


そういうわけで暗器のように隠していたこの爪を、アームの小手部位に装着する。うむ…、見た感じ物騒であり気分は暗殺者。俺の容姿と合わせて、凶悪な犯罪者にしか見えないことは確実。…くはははは、…自分で言って悲しくなってきた。そんなくだらないことを考えていると、魔物の団体が何処からともなく湧いてくる。ウサギ三匹にバッタが二匹、なかなかに良い編成。さぁ…見せて貰おうか、この爪の威力というものを!







俺は先手必勝と言わんばかりに、素早く地を蹴って飛び出す。俺の動きに戸惑い、動きを止めて固まる魔物の団体。…隙だらけだな! と言わんばかりに、目の前のウサギへ爪を突き出す。


ザシュッ!!


何の抵抗もなく、根元までウサギの身体へと突き刺さる。これが殴る蹴るであれば、与えた衝撃をこの身で感じたであろう。だが…それがない、まるで空に拳を突き出したが如くだ。これ程にまで鋭利なのか、…草原狼の爪というモノは! 俺はそのことに興奮し、ウサギをそのまま頭上へと掲げる。そこで初めて感じる重み、…この感触。くははははは! 素晴らしいじゃないか、この爪は!!


仲間の死、俺の姿。魔物達は驚き怯えたのか、俺を圧倒的強者と見て恐慌状態となったようだ。連携することもなくそれぞれ動き出す、それ故互いにぶつかり合って動きを止める。妙にリアルだなと関心しつつも、俺はそれを見逃す程甘くない。素早く動いてその命を狩り取っていった。


魔物が現れる度、俺は同じように動き魔物達を狩る。爪の威力を、爪の感触を確かめるように何度も何度も……。気付けば俺を中心に、円を描くように魔物達が屍を晒している。それに気付いてやっと動きを止める、高ぶった気持ちは治まり、


「…自分がやったこととはいえ、…凄惨な光景だな。」


自身が作ったこの光景に頭を抱えた。







冷静になった俺は、素早く魔物の死体に剥ぎ取りナイフを突き刺し素材を回収する。このままにしていたら、草原狼のような奴が出てくるかもしれないからだ。ユニークはもう出ないが、レアは出る。ユニークと同じ出現条件かもしれない、故にこの状況を何とかしなければ…と。レアがどのような奴か分からんから、慎重になっているというわけ。出来る限り死に戻りたくはない、…本音は戦いたいんだけどな。


とにかく今回は検証目的、強敵と戦う為に出張ってきたわけではない。それはまた今度でいい、…後半は暴走してしまいこの状況を作ってしまったわけだが。気を付けねばならない、北の草原だったから良かったけれど他の場所であれば…。下手したら死に戻りだよな、…くわばらくわばら。


自分の行動に反省しながら素材を回収し、新たな武器である爪のことを考える。ユニークである草原狼の爪、コイツの威力は凄まじい。難なく魔物を切り裂くその威力、現時点でPC最強の武器なんじゃないか? そう本気で思ってしまう。ノーシュ山の素材をこの目で見たことがないけれど、山の素材より強力だろうな。流石はユニーク素材、運良く討伐し入手出来て本当に良かった。…故にこの爪を大事に使っていかねばならない、たった一つの唯一品なのだから。







何とか素材を回収し終え、後は戻って盾作りか…と思っていたら、


ガサリ…


と背後から草を踏みつける音が。草を掻き分ける音ではないから魔物ではない、…ならばNPC? …そういえば、北の草原にてNPCの行動が解放されたという知らせがきたな。…ということは、やはりNPCが現れたということでいいのか? 多少の警戒心を持ちながら、振り向いてみると…、


「「「あ…。」」」


見知った二人の顔があった。向こうも同じように思ったらしく、俺を見て驚いている。…現れたのはNPCではあるが知っている顔、シアルの街を守る兵士であるヒックスとウエンツであったのだ。どうしてこの場所に?







北の草原にて顔見知りのNPC、ヒックスとウエンツに会った俺。今すぐ話を聞きたいと思うが、この場で話すのは危険。魔物がいつ現れるか分からないからな、故に…、


「…久しぶりだな、…で話し込みたいがここではな。…安全な所にでも行かないか?」


そう二人に提案すれば、


「…偶然とはいえ、この場所でティルに会うとはな。…いいぜ、北門に戻って話をしよう。」


「…だな。この際だから聞きたいこと、ついでに頼みたいことがあるし。」


ヒックスとウエンツは了承し、北門で話そうと言ってくる。俺は頷き、二人と共に北門へ。道中会話をせずに、速やかに北門へと向かった。


────────────────────


北門へと着いた俺達は、内には入らずに外で話をすることにした。通行の邪魔にならぬよう門脇で、北門を守る兵士に声を掛けてから話し出す。ヒックスとウエンツがいるにしても、不審者と思われたら事だからな。


「いや、あんな所でティルと会うとは思わなかった!」


ウエンツが俺を見て笑いながらそんなことを言う。それは俺のセリフなんだがな、…そう思いながら、


「俺は冒険者なんだぞ、いて当たり前だろ。」


と言い返せば、ヒックスが、


「そりゃそうだが、俺達の見立てでお前は出来る男。噂で客人達はノーシュ山に手こずっていると聞く、ぶっちゃけティルもそっちに行っていると思ったんだがな。」


…俺が出来る男か、自分で言うのもあれだがあながち間違ってはいない。ノーシュ山に手こずっているということも知っているとは、… NPCの情報網侮りがたし。…そこから、俺達は話し込んだ。


シグルゥの所で別れた後のこと、互いの近況を報告し合ってから、


「…まさかティルがユニークを倒した客人だったとは、…世間は意外に狭いってーのは本当だな!」


目を丸くしてそんなことを言うウエンツ、続いてヒックスが…、


「本当にビックリだぜ! ユニークを討伐した客人を知っているかと聞いてみれば、『あ…、俺が倒した。』とかってさ! 誇ることもなく普通に言うとは思わなかった、そして初めて見たぜクリスタルカード!!」


俺のギルドカードを手に持ち興奮している。ユニークを討伐したPC…客人のみが持つことを許されるクリスタル製のギルドカード、NPCは入手することが出来ないレアな物。そんなギルドカードを手に持ちはしゃぐヒックス、…子供か! とツッコミたいがウエンツの奴も目をキラキラさせとる。…それほどの物なのか、このギルドカードは。…今度、師匠達にも見せてみよう。…どんな反応をするのかね?


俺のギルドカードを存分に堪能した二人は、俺にギルドカードを返しつつ…、


「ティルのお陰で王都への道は安全になった、そこはありがとうと思っている。しかしながら、他にも脅威があるんだ。」


ヒックスが礼と共に、ユニーク以外の脅威があると言ってくる。…ユニーク以外の脅威? レアのことを言っているのだろうか? そう思っているとウエンツが、


「ユニークの次にヤバイ奴、レアモンスターの姿が確認された。ユニークと違ってレアは俺達でも討伐出来る奴だが、その強さは本物でそう簡単には討伐出来ない。それでも討伐せねばならない、王都へと続く街道の安全を守る為にな!」


ユニークの次にヤバイ奴、…やはりレアのことか。ユニークと違ってNPCでも討伐出来る奴だが強敵、だが討伐せねば街道の安全は守れない。…ということは、


「「ユニークを討伐したというならば話が早い、…ティル! レア討伐に力を貸してくれ!!」」


…そうなるよね。二人に協力してレア討伐か、…世話になった二人に頼まれてはな。


「俺で良ければ協力するが、まずは色々と聞きたい。」


協力はするけれど、情報があるならば聞いておきたい。そう思って返答すれば…、


「「おぉ! 感謝する!!」」


ヒックスとウエンツはテンション高く喜んだ。







その後色々と話を聞いてみれば、レアモンスターのことを知ることが出来た。レアモンスターには二つの種類がある、襲撃型と特定型の二つ。当たり前ではあるが初めて聞いた、レアに種類なんかあったのか。


襲撃型とはその名の通り、PCとNPCを問わずに条件を満たせば襲い掛かってくるタイプである。北の草原のユニークモンスターである草原狼、コイツは襲撃型になるみたい。襲撃型はPC個人に対して、それぞれの条件を満たさない限り決して襲うことはない。しかしNPCに対してはそれぞれの条件が緩いらしく、PCと比べて襲われる可能性が高いようだ。特に、大勢で行動をする商人クランは襲われやすいとのこと。…NPCに対しての条件の一つって、集団行動なのでは? …と思ったのは間違いではないと思う。


特定型とは、PCとNPCを積極的に襲うことが少ないタイプである。特定的な範囲内でしか行動せず、刺激さえしなければ襲ってこないのだ。それ以上に出現条件も複数あり、そう滅多に出てこないらしい。故にNPCは襲われる可能性が極めて低く、PCの方が襲われやすいとのこと。例外として、NPC冒険者は襲われやすいんだって。…まぁ冒険者だし、当然と言っちゃあ当然だな。この情報が正確かどうかは、検証せねば証明出来んけど。NPC…ヒックスとウエンツからの情報だから、たぶん間違いはないと思うが…。


…で今回の討伐対象は襲撃型のレア、その名を屍狼というらしい。常に二体一組、草原狼より少しだけ小さいという大型の狼。ユニークが討伐されて安心していた所に出現、商人クランが襲われて数人の商人が犠牲となったらしい。冒険者ギルドに依頼を出すことになっているのだがそれは後日、その間に更なる被害があるかもしれないとのことでこの二人が出張ってきたようだ。…正義感が強いみたいだな、こういう兵士に守られているシアルの街の住人は幸せ者だ。







とりあえずレアのことは分かった、そして相手が屍狼という名の魔物ということも。それはいいのだけれど気になることがある。


「…なぁ、ヒックスにウエンツ。レア討伐の件は協力する、しかし俺達はレアの出現条件を満たしているのか? 或いは出現条件を知っていたりするのか?」


これ、肝心なこと。討伐と声高らかに言っても、現れなきゃ意味がない。そこんとこどうなのさ、そういった目で二人を見れば、


「…レアの出現条件は満たしていない、商人クランじゃねぇし。」


「…クランという出現条件を満たしていない、それ以外の出現条件は勿論…知らないぜ?」


…NPCが襲われる条件は、クランとかいう集団であることか。…これはPCにも適応されたりするんかね? と考えつつも、


「…知らないってさ、協力云々の前にお手上げじゃないか。」


…それで討伐の協力って、アホなのか? この二人は。


呆れた目で二人を見る俺、それに対して、


「知らないからこそユニーク討伐者を探していたんだぜ? 同じ狼だし、出現条件が同じという可能性に目を付けてさ。」


とウエンツが言う。…確かにそれあるな、…ユニークと同じ条件か。もし同じであるならば、さほど苦労もせずに条件を満たせる。俺もその可能性を危惧して、先程倒した魔物を素早く回収したわけだし。


「…ふーん、なら試してみるか。レアの出現条件が、ユニークと同じかどうかってことを。」


そう言って俺は歩き出す。そんな俺の後に続き、ヒックスとウエンツも歩き出す。


「「お前が頼りだ、ティル! よろしく頼むぜ!!」」


なんという他力本願、こころざしは良くてもこれじゃあダメじゃん。そう思いながら俺は、人気の少ない場所を二人と共に探すのであった。







人気の少ない場所、俺が検証をしていた場所にて魔物を狩る。ヒックスとウエンツもいるからか、次々と周囲に死体が増えていく。


「倒した魔物を処理せずに放置か、…ロクでもないもんだな。」


「いい光景とは言えないよな、…でもこれでレアが出るかもしれないわけだし。」


何か嫌そうにしている二人、たとえ魔物でもこの光景は確かにいいものではない。だがこれでユニークが出現したわけで、出現条件が分からない現状では最善の行為…だと信じたい。


魔物を狩りながら疑問に思うことがある。レアが現れて俺達が討伐したところで、別の個体がNPCを襲うのでは? …と。もしそうであるのなら討伐損じゃん、俺にとってはありがたいことだけど。そんな疑問を手が空いた時に二人へと問えば…、


「何か文献では、レア討伐時に出る宝珠があるんだと。それさえあれば、一ヶ月は襲われないっていう話だぜ? まぁ見たことがないから、本当に出るかどうかは分からんけど。」


出たよ不思議アイテム情報。レア出現を抑える宝珠ね、…NPCに限りだよな?


「通常討伐時には決して入手することが出来ず、神からの神託かそれに準ずる依頼の討伐時に限る。…ってことだから、入手出来れば効果は確実にあるだろうな! 神は偉大なりってね。」


神からの神託っていうのはクエストのことだろうか? 突然発生するし。それに準ずる依頼っていうのは、ギルドからの依頼…ってことだよな? たぶん。…で通常っていうのは、それらを受けずにってことでいいんだな?


……そう考えると、今の状態で討伐しても意味がないんじゃあ…。何て思っていると、


ガサガサ…ッ!!


タイミング良く揺れる背丈の高い草の陰から…、


『『グルルルルルゥ…!!』』


「「…出たぁ~っ!!?」」


草原狼に酷似した狼が二匹、…コイツらが屍狼? そして……、


【クエスト】屍狼を討伐せよ!

NPCへの襲撃を抑える為に屍狼を討伐しつつ、文献に記されている宝珠の有無を確認せよ!

【報酬】???

このクエストを受けますか? YES/NO


…ここでクエスト発生か。受ける受けないどちらかと問われれば、受けるを選択するだろ普通。しかも今回のクエストは、NPCであるヒックスとウエンツを伴ってのもの。二人を殺されぬよう戦わなければならない、…厳しい戦いになるだろうが完遂してみせる!

皆さん、良いお年を!

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