ー6ー『面白いものってなんでしょう?』
これまで毎日投稿してましたが、今回は一日遅れました。
少しストーリーの進め方に難ありなのですが、がんばります…。
是非、お読み下さい。
『あったぞー!!!!!』
教会中に、イルサの喜びの声が響きます。
… … …
『じゃじゃーん、地下室の魔女の秘密〜。』
イルサが部屋の隅にあった箱を重ねただけの簡易テーブルに置いたのは、一冊の古い本と本と同じくらいの大きさの箱でした。
『『『『えぇ(はぁ)!?』 』』』
地下室の魔女という単語に皆が目を見開きます。
ですが何故かカイト君は気まずそうに目をそらし、ナイダ様は顔を真っ赤にして下を向いていました。
イルサは楽しそうに蓋を開けると、箱の中身を並べ始めました。
そしてカイト君がそれをやめさせようとしてイルサのポニーテールを綱引きのように引っ張ります。
私はどうしたものかと後ろを向いてギョッとしました。
ーそこには、座り込んで顔を隠すように丸くなっているナイダ様がいました。
『ナイダ様…?』
ナイダ様が困っているのなら放ってはおけません。
そう思って近づいて見ると。
『…るな…みるな…見るな見るな見るな…』
前言撤回します。
どうやら今は放って、、いや、そっとしておいてあげた方がいいでしょう。
未だカイト君はイルサの髪を引っ張っています。
髪が抜けるんじゃないか、と心配になるくらいに。
イルサは、やけに細かい物体を、もうテーブルに並べることを諦めたのか、床に丁寧に並べています。
『…カル。』
ユリィが私の肩に手を置きます。
見ると、ユリィや皆の顔に、はっきりと"何がどうしてこうなった"と書いてあるような気がしました。
『よしっ!うわ』
イルサがものを並べ終わると同時にカイト君のせいで頭から後ろに倒れます。
『えっとね、これはナイダの日記と…』
『うぉわあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
バコン、と音がして、カイト君がイルサの頭にもう一つたんこぶを作ります。
イルサの「いて、」という声はナイダ様の叫び声に見事にかき消されていました。
… … …
『それで、面白いものってなんでしょう?』
私が聞くと、イルサはにっこり笑って数枚のカードを取り出しました。
『世界一面白いゲームだ。ちなみにこの中では一番強い自信があるぞ!』
『ゲーム?』
『イルサはいつも大人気なく一人勝ちしてたっけ。』
『…俺はやらねーぞ。』
いかにも昔からの友人と思えるその会話に、自然と私の頬が緩みます。
…ちょっと待ってください。
『あの、大人気なく、ってイルサはお二人より、歳をとっていないのでは?』
初めて会った時から、私よりも少し歳下と感じていたくらいイルサは幼い容貌をしていたのです。
そこに細やかな疑問を感じて呟くと、ユリィも、『ああ、確かに。』と、手を打ちました。
私は、そんな重要なことを聞くつもりはありませんでした。それこそ、少々会話の中での間違いを正すくらいのつもりでいました。
しかし、
『『聞いてないの(か)?イルサはこう見えて、もう22歳だ。』』
『……』
『『『『え(は)?』』』』
全く見当違いの言葉を耳にして私たちの思考が停止します。
イルサは22歳?いやいや、流石にそれはないでしょう。
私は否定を求めてイルサの顔を見ました。
『違う!もうお前たちとは3年ほど会ってないからな、今は25だ!』
できるのなら、もう少し違う否定をして欲しかったと、改めて思います。
『おい、カル?どうした?おーい、かたまってるよ。』
ユリィの声が聞こえます。
私は、同様に私の顔を覗き込んでいるイルサを見続けました。
その口には、お馴染みの焼き菓子がくわえられていました。
どうやら私はショックに弱い人間かも知れません…。
ガタンっ
一歩後ろに下がると何かにつまずいた私の体が、次の瞬間、凄い音を立てて後ろに倒れこむのを感じました。
『あ、カル!』
… … …
『それではゲームの内容を説明する。これは昔私とカイトが作った遊びでだな…主にこの本を使って行う。ちなみにこの本の後ろ半分はナイダの日記という名の黒歴史だ。』
『…それは言うな。』
イルサの言葉にナイダが静かに反応しますが、イルサは気にせずに説明を続けます。
『カードにはこの四種類の模様があって…
えーと、これが月、これが花、これが雪、これが風だ。』
『ルールは簡単。3人で遊び、自分以外の二人が出したカードを組み合わせて、詩を作るんだ。』
『『詩?』』
イルサは、所々で区切りながらゲームの説明をします。今度は何枚かのカードを広げて皆に見せながら。
『そう、例えば、』
『例えば、二人のカードが花と月だったら、花と月をテーマに、雪と風だったら、雪と風をテーマに。それだったら吹雪かな。』
イルサの言葉を遮ってカイトが説明を付け加えました。
『カイト、お前は黙る。』
『ごめん。』
イルサは、カイトを軽く叩きます。
『勝つのは、一番美しい詩を作った人、追加ルールとして、一人目、または二人目が詩をよんでから30数え終わったらまだ考えていた人は敗けだ。』
『へー。』
『なんだか難しそうですね。』
説明を終えたイルサにルースとムーナは各々返事を返します。
それを聞いたイルサは、少し離れたところにいるユリィに声を投げかけます。
『ユリィ、カルはまだ復活しないのか?』
『うん、まだちょっと。』
ユリィは、気を失っているカルを隣でしゃがんで見守っていました。
そして、カルのことはナイダも密かに心配していました。
『そうか、それではまずカイトとルースとムーナでやってみよう。詩の審判は私がやる。』
『え、』
『よーし。』
『無理だー。』
イルサの言葉にルースとカイトとムーナがほぼ同時につぶやきます。
『練習だからな、本番は罰ゲームを用意するぞ!』
『『えー』』
『おい、やめろよ、俺の日記は読むなよ!』
『では、始め!』
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ー7ーも頑張ります。
ゲームの罰ゲームをお楽しみに…。