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日記の中の思い出  作者: 甘夏
第一章 日記の中の思い出
3/6

ー3ー

時間が遅くなりました。

でも、1日1話目指してるので投稿します!

思ったより長くなって、ー3ーで書く予定だったところの前までの話になってしまいました。

時系列がほんの少しだけずれています。

順番を考えながら、お読みください。

 よく晴れた空を大きな鳥が横切ります。

 私たちの村のように自然豊かではないけれど、何度瞬きしてもやっぱり、素敵な街です。


『ここが…央都かぁ。』

『ええ、私、初めて来たわ。』

 

 ユリィも私も感嘆の声をもらします。


『ほらほらお二人さん、こんなとこで立ち止まってはいけませんよ。』

『そうそう、あんたたち、わざわざ私に付き合わせておいてぼーっとしてんじゃないよ。』


 背中に暖かい感触を感じて振り返ると、ルースさんが私とユリィの背中に手を添えて歩行を促し、ムーナもそれに続きます。


『分かったわ、行きましょ、ユリィ。』

『ああ、綺麗だな…』

『ふふ、ユリィったら。』


 声をかけても今だ目を輝かせているユリィに思わず口元が緩みます。


『あれ?イルサは?』

『…ん、本当だ。いないわね。』

『あ、そこにいるわよ。またなんか買ってるんじゃないかしら。』


 そう言って私が指をさしたのは屋台の向こうで美味しそうに焼き菓子を頬張る長い白髪の少女、イルサです。


『あ!全くもう、何か食べてないと死んじゃうのかしらねー、あの子は。』

『ムーナさん、すっかり保護者みたいですね。』

『ええ、本当に。』


 苛立つムーナにユリィとルースが笑って答えます。


 私も、皆の様子をみて楽しくて微笑みました。


 … … …数日前


『わっ、白い髪。』


 白く輝く地下室に、ユリィの声が響きます。

 踏み出したユリィにつられ、地下室に足を踏み入れると、まるで氷で囲まれているかのような、半透明な壁と天井に息をのみます。


 床は以前本で見た、大理石という石によく似ていました。


 そして何より驚いたのは、


『本当、真っ白…』

『っっっ!!』


 部屋の奥にいた少女にー正確にはその髪の色にー目を奪われ、そう呟きました。


 そして同時にムーナも部屋に入り、表情を固めます。


 ゆっくりと回転椅子を回してこちらに振り向くと、その少女は口を開きました。


『あんたら、誰だ』


 そして、その手には食べかけの焼き菓子を握っていました。


 … …

『休みぃ?』


 村長さんの家の部屋にて、私たちはルースさんほか3名の、村の学舎で働いていた大人たちと向かい合っていました。


『そう、今日はほんっとうに休みだったの。ごめんなさいね、言ってなくて。いつも来る訳じゃないし、いなければ帰ると思って…本当にごめんなさい、まさか探しまわっているなんて思わなくて、ほんと、ごめんなさい。』


 ルースさんはほとんど一息にそう言うと、本当に申し訳なさそうな顔で私を見つめました。


「今、"本当"と"ごめんなさい"四回も言いましたよ。」なんてことは言いません。

 代わりに私はそっと微笑んでルースさんの手を取りました。


『良いですよ、おかげで面白いところを見つけましたし。』

『面白いところ?』

『はい、…奥の部屋と地下室です。』

『地下室…?』

『はい。』


 ほんの少し迷ってから本当のことを口にします。

 ルースさんは地下室という単語に反応して聞き返してきたので肯定すると下を向いて何かを考えているようでした。


 ユリィも後ろにいるのですが、先程からし切りに外の様子を気にしています。


 そりゃそうです。外にはイルサとムーナがいますから。


 イルサ、というのは、地下室で出会った白髪の少女の名前です。本名はイルサリシャンといいます。


 名前を名乗ってから、イルサに地下室について聞いてみると、

「めんどくさいから嫌だ」という答えが返ってきました。

 しかし、ユリィがたまたま持っていた焼き菓子を差し出して

「家に行けばもっとあるから地上に出ないか」と問うてみると、快く頷き、焼き菓子を受け取って名前まで名乗ってくれました。


 こうして連れてくると白髪は目立つもので、目立つ場所にはいかないようにしようと、この場にも参加せず、ムーナに付き添わせて外で聞き耳を立てているというわけです。


『ねえ…地下室の魔女って知ってます?』

『…、はい。』


 ルースさんが恐る恐る、といった感じで再び疑問を投げかけます。


 そういえばルースさんも、あの場所を管理している人の1人でしたね。


『それは、実際にいたのかしら。』

『いませんよ。いたのは可愛い女の子だけです。』

『おばさんじゃないですよ!』


 私が即答すると、急にユリィが割り込んできます。


『ユリィ、そんなことは…』

『カル!間違われたらどうするんだよ。』

『あんなに可愛いのに間違えるのはどうかと思うわ。』

『そうです、可愛いですから、ルースさん!』

『…やけに、興奮してるのね、ユリィ君。』


 何を心配しているのか、ユリィがルースさんに諭すようにイルサの可愛さを訴えます。


『そう、それは是非、会ってみたいわね。』

『…そうですね、後日、是非。』


 曖昧な笑顔でルースさんが言った言葉にほかの大人たちもかわるがわる頷きます。


 興味を持つのは、大人でも同じ様です。


 普通はこういう反応をするのですよ、と振り返ってムーナを見ると、ムーナは驚いて肩をビクッと震わせました。


 … … …


『『『面白いこと?』』』


 ユリィの家にて、イルサの発言にほか三名が口を揃えて聞き返します。


『そう、面白いことがあるんだ、央都に行けば分かる。というわけで、行こう!央都に!』


 イルサはというと、焼き菓子を頬張りながら、もう一度同じことを繰り返しました。


『行き方分かるの?』


 ムーナが聞くと、イルサは少し戸惑ってから首を横に振ります。


『要するに、連れて行って欲しいのね…。』

『そう!連れて行ってくれ!お願いします!』


 私が、ほかの人に聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いたにもかかわらず、イルサは全力で頭を下げてきました。


『良いんじゃない?』


 最初に賛成したのはユリィでした。

 そして、


『そうね、私も行ってみたいわ。』

 ・・・

『分かった!分かったよ、私が連れて行く、ただし付き合うのはこれが最後!』


 ーーーーーーーーー

『と、いうわけなんですがルースさん、どうですか?一緒に。』

『え!地下室の女の子と央都に?行きます、行きます行きます!』


 … … …央都にて


『ほら!早く案内してちょうだい、面白いことって何なのよ。』


 ムーナが焼き菓子の店からイルサを引っ張ってきながらそう叫びます。

  大きな声で。


『わ、わひゃりまひた(わかりました)、、たた、おわっ』


『大丈夫?』


 焼き菓子を口にたくさん詰め込んで地面に倒れるイルサに手を差し出すと、

 遠慮気に手を伸ばして起き上がります。


『ありがとう!』


そして年相応の笑顔でにっこり笑いました。


読んでいただき、ありがとうございます。

次回ー4ーです。

明日投稿できるよう頑張ります!

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