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5.エスヴァリークの騎士団長

「それが……すまんが、私はそれ以上は分からない。その男のその後の足取りについては全く不明らしい。君の言う通り騎士団員に捕まったのかも知れんし、はたまた上手く逃げ切ったのかも知れんし……」

「そう……ですか」

「ただ、エスヴァリークって言う国の騎士団長がその2つの国に現れた異世界人と接触した事があるらしい」

 そこまで聞いて、ふとロシェルは考える。

「もしかしたら、その3人を殺したって言う人物と、その前の別の国の異世界人の男は関係があるのかも?」

「……かもな」


 それぞれが国の存続に関わる位の活躍をしていて、そして自分と同じく身体から魔力を感じ取る事が出来なかった異世界人と目されている人間ならば、その可能性だって充分に考えられる事だ。

「エスヴァリーク……でしたっけ、そこの騎士団長はどっちの異世界人とも関わっていたかも知れないって話でしたし、人体実験の……ええと」

「ソルイールだ」

「そうそう、ソルイール帝国の事についても異世界人の男の行方が不可解なままなんでしょう? だったら、俺はエスヴァリーク帝国を目指します!!」

 そのロシェルの宣言に、男はロシェルのやろうとしている事を予想した。

「……まさか、エスヴァリークの騎士団長の所に向かうつもりか?」

「はい! 異世界でももしかしたら地球とはまた違う別の異世界かもしれませんが、それでも異世界人と言う事は一緒です。だったら、俺が地球に帰る事が出来る方法が何か分かるかも知れません!」


 元気良く目を輝かせてそう言うロシェルに、男はポツリと本音を漏らした。

「若いってのは良いもんだ。迷いが無いな。だったらその若さと元気さと勢いで、地球と言う世界に帰れる様に頑張ってみるが良い」

 世代の違いとはこういう事か……と男が思っていると、ふとロシェルが何かを考え込む素振りを見せる。

「……ん?」

「どうした?」

 そんなロシェルの様子を見た男が問いかけると、ゆっくりと顔を上げたロシェルが男に問いかけ返した。


「そう言えば、まだ貴方の身分どころか名前も聞いてませんでしたね。考えてみればさっきから俺の話ばっかりだったし、助けて頂いた礼もまだでしたし。貴方はどう言ったお方なのですか?」

 ストレートにそう聞いた若き海軍将校に、男はああ……と思い出して名を名乗る。

「私はコラード。このエンヴィルーク・アンフェレイアの世界中を旅して回っている傭兵だ」

 それを聞いたロシェルの顔に僅かな安堵の表情が浮かぶ。

「傭兵……成る程、それなら納得しました。やけに他の国の事情に詳しいと思ったら……」

「色々な国に行くからな、私は。だからこそ他の国の情報も自然と手に入る様になるし、むしろ知っておかなければならない情報だって沢山ある身分なんだ」

「ですね」

 このコラードと名乗った男の話が本当だとすれば、世界各地の情報に詳しくても何ら違和感は無い。


 そんな傭兵のコラードから、今度はロシェルに質問が。

「ただし、エスヴァリークの騎士団長の所に向かうのは良いとしても……この国からは非常に遠いぞ?」

「それは分かっています。さっき地図を見せて頂きましたからね。でも、俺は地球に帰る為なら何でもやりますよ。俺はこの世界の事を知りませんから、まずはこの国で情報収集です」

「そして金を稼いで……か?」

「そうです。幸いここはルリスウェン公国の都の郊外なんでしょう? だとすれば国で最も情報や人や物が集まるでしょうからね」

 情報収集には持って来いの場所ですね、と意気込むロシェルだが、男の表情は非常に複雑なものであった。

「……あー、その……話の腰を折る様で悪いのだがな。確かにこの家があるのはこのルリスウェンの都だ。でも、ここから南に向かって1ヶ月程歩いた場所にある町の方が人も多いし物だって沢山売っている」

「えっ……」

 まさかの男からの情報にロシェルは表情が固まった。

 首都よりも大きい町があるのは地球ではレアなケースだ。

(何てこった……北京と上海、シドニーとキャンベラ、ニューヨークとワシントン等と同じなのかよ!!)

 代表的なそう言う地球の都市の例を心の中で列挙し、ロシェルは出鼻を挫かれた事に気持ちが沈みかける。


 そんなロシェルの様子を見て、コラードがフォローする様に若干慌てた口ぶりで言葉を続ける。

「ま、まぁそこまで沈む事も無い。ここは名前の通り都だからな。その町の規模には確かに劣るとは言えども、政治の中心地だし人も沢山集まる。私の様にな」

「そうか……そうですよね!!」

 さっき自分でも言っていた様な記憶があるが、自分はこの世界についての知識がまだ無いのだから今ここであーだこーだ言っても仕方が無い。

「それじゃあまずはこの都で情報を集めて、それからその南の町に向かって行こうと思います。わざわざ俺を助けていただいて本当に感謝しています。ありがとうございます!」

「いやいや。私は別に大した事はしておらんよ。まぁ……異世界人だからと言って、別に身構える事も無いだろう。君は確か軍人だったか?」

「そうです」

「だったらこの国では騎士団が兵器の開発もしているから、何か君の興味を惹くものがあるかも知れぬな」

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