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67.もう1匹のドラゴン

 レナードとウォルシャンはラスラットを倒し、その一方でエイヴィリンはガレディを倒した。

 2人のリーダーを失った事で徐々に弱体化して行く約1500人の獣人軍。

 その寄せ集めの軍隊は、最終的にドラゴンとワイバーン軍団と地球人達と3か国の軍人4人に全て潰されてしまったのである。

「村長……」

 まさにピクリとも動かなくなっていた村長だが、まだどうやら息があったらしい。

「ゲホッ……ゴホッ……」

「そ、村長!?」

「う、ああ……御前達……か」

「喋んな! 誰か回復魔術を!」


 ウォルシャンのその一言で白いライオンにドラゴンが回復魔術を掛け、何とか息を吹き返した村長は謝罪の言葉を述べる。

「す、済まない……ガレディ達の暴走を止められなかった。ガレディから私も各国での御前達の行動について連絡を貰っていたが、その計画については私も知らなかった。私達獣人は長い間人間達に虐げられていたから、この穴の中に大きな力があると信じてその力を利用しようとしていたんだ……。あの若い奴はそれを聞きつけてガレディと接触し、そして焚き付けて……」

「……もう大丈夫だ。俺達がガレディもそれからあのラスラットとか言う奴等も倒したから」

「そう、か……感謝する……」


 半ば予想通りだったとも言えるガレディの計画。

 ラスラットはその計画に加担してはいたものの、バトルの前に自分で語っていた「魔術の力を試したかった」「欠片がどう言う事をもたらすのかを見てみたかった」「獣人の復権には興味が無い」と言う事からガレディは彼にとって、世界各地の遺跡の封印を自分の力で解く為の口実を作る相手として、結局は都合の良い相手だったのだろうと15人は予想出来た。

 そんな村長の回復を見届けて、後の介抱を4人のエンヴィルーク・アンフェレイア人達に任せて地球人達はパズルをまず完成させるべくその場所に向かう。


 パズルの欠片はどうやら全ての遺跡分集まっている様なのと、欠片とはまた別に1つ……アイクアル王国のフランコとの戦いでジェイヴァスが手に入れたあのバッジもあった。

「そう言えば、あの狼野郎が俺の部屋に良く来ていたけど……まさかその時に盗み出したのかな?」

 そうとしか考えられないが、とにかくそのバッジはこうしてまた自分の目の前にあるのでホッと胸をジェイヴァスは撫で下ろした。

 そのパズルの石版の上の方には、丁度バッジと同じ形の窪みもある。

 なのでまずは欠けている場所にそれぞれの欠片を慎重にはめ込み、最後にその窪みにバッジをはめ込むと……!!


 ゴゴゴ……といきなり地震が起こって大地が震え出す。

「えっ、えっ……何だ!?」

「うおっ、やばい!! 穴が広くなって深くなって行くぞ!」

「は、離れろ!!」

 うろたえるロシェルといち早く異常に気が付いたエヴェデス、そしてセバクターの声で次々に穴から離れる一行。

 大穴がどんどん一行の目の前で大きくなって行ったかと思うと、その暗い地中からまたもやゴゴゴ……と言う音と共に、何と大きな神殿がゆっくりと迫り上がって現れたでは無いか!!

 土煙を撒き散らして現われたその神殿を見上げ、唖然とする一同。


 ……いや、赤茶色のドラゴンだけは違った。

『ようやく戻って来られた……俺の住処に。さぁ、御前達も中に入れ。俺のパートナーに会わせてやろう』

 懐かしさを前面に押し出したその声を出すドラゴンに導かれ、一行は神殿の奥へと足を進ませる。

 見た目はパルテノン神殿をそのままもう少しコンパクトにした感じだが、それでもなかなか大きくてシンプルな構造だ。

 そしてその神殿の奥の広場には、この赤茶色のドラゴンと同じ位の大きさでエメラルドグリーンをもう少し明るくした様な表現に困る色のドラゴンが、ゆったりとした姿勢で小さく纏まって寝息を立てていた。


 そのドラゴンに赤茶色のドラゴンが近付き、何やら声を掛ける。

 するとそのドラゴンがゆっくりと起き上がり、のっしのっしと音を立てて地球人達の前に歩いて来た。

『貴方達が……私を起こしたの?』

「お、女のドラゴン?」

 困惑するウォルシャンの前で、そのドラゴンは信じられない自己紹介をした。

『ええ。私がアンフェレイアよ』

『俺がエンヴィルークだ』

「…………え?」

 その場の空気が固まるのが分かった。

 エンヴィルーク? アンフェレイア?

 その名前はまさか……と思いつつも誰も口を開けない状況で、最初に口を何とか開く事が出来たのはウォルシャンだった。


「……あんた等は神様なのか?」

『そう言われてみればそうだ。後、この姿じゃそっちの首が疲れるだろうから今から人間の姿になる』

 そう言ったエンヴィルークとその隣にいるアンフェレイアが、次の瞬間大きく身体を仰け反らせて、頭が思いっ切り天を向く位まで身体を斜めにしたかと思うと、突然眩しく光り輝き始める。

 その光に思わず人間達は顔を覆うものの、光が収まってみるとそこには自分達と同じサイズになった人間2人の姿があった。

 しかもその内の1人は……。

「え、あ……貴方は!?」

『これが俺の本当の姿だ、リオス』

 エンヴィルークが人間の姿になると、それは紛れも無くリオスが通行証を貰い受けたあのマスターだったのだ。

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