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57.ガレディへの不信感

 再び大会議室に集められた地球人達とアンリとガレディ。

 ガチャっと会議室のドアが開いて、そこから2人の男が姿を現した。

 その瞬間、最も表情が変わったのはガラダイン王国軍人のアイベルクだった。

「ろ、ロシェル!?」

「大佐!?」

 お互いビックリした声と表情で呼び合うのを見て、周りに居る人間はこの2人が知り合いであると即座に判断出来た。

「……何だ、お前の知り合いか?」

 ロシェルと一緒にここまで着いて来た黒髪の男が、事情は何となく察しているもののロシェル本人の口から直接実態を聞きたいのでそう質問してみる。

「ええ……所属している部隊は違うんですけど、俺とこの人は同じ軍の所属なんですよ。ところでこの他の方達は……?」

 そう言いながら、アイベルク以外にも大勢人間が居る事に対してようやくロシェルが疑問の声を上げた。


 と言う訳で最後にやって来たのはガラダイン王国海軍所属の戦時昇進将校であるロシェル・バルトダインと、ルリスウェン公国の公国騎士団長クリスピン・オムスだった。

 その2人はルリスウェン公国で事件を解決した後、最初は馬で移動していたのだがその途中で人間の言葉を喋る赤茶色のドラゴンに出会って、エスヴァリーク帝国まで行く様に言われたらしい。

 出会ったのは公国を飛び出して北へ向かい、リーフォセリアとの国境を越えてすぐの時。

 それならば……と一旦リーフォセリアからもう1度ルリスウェン国内に戻り、手近な町でワイバーンを借りて一気に西側からエスヴァリークまで飛んで来たのだとか。

 そして帝都ユディソスの中をウロウロしている時に、帝国騎士団員に話し掛けられここまで来たのだと言う。


「その赤茶色のドラゴンは他に何か言って無かったか?」

 人間の言葉を喋る赤茶色のドラゴンならば、自分がソルイール帝国で出会ったあのドラゴンと同じ可能性が高いと踏んだリオスがそう聞いてみるものの、ロシェルは横に首を振った。

「いえ、俺達が言われたのは『魔力を持たない人間に会いたいならエスヴァリーク帝国に行ってみるが良い』ってだけでしたね」

「そう、か……」

「だったら俺達、そのドラゴンに上手く集められたって事か?」

 グレリスがそう考えてみるものの、アイヴォスとエヴェデスとアルジェントからは否定の意見が出る。

「私はそんなドラゴンとは会った事も無いな」

「俺もだよ。俺は自分の意志でこのエスヴァリークまで来たんだ。あの騎士団から逃げ出してな」

「俺もこの2人と全く同じ。ドラゴンに会った事も無かったし、その魔力を持っていない人間が以前ここに現れたって言うから、それが気になってここまでワイバーンで送って来て貰ったんだよ」


 だとすれば、本当に偶然に偶然が重なり合ってここまでこの地球人達が集まって来た様である。

 それを横で聞いていたジェイヴァスが、ふと疑問に思った事に対して口を開いた。

「あれ? そう言えばあの狼頭の奴は何処行った?」

「そう言えば居ないですね……」

 レナードも同じ事に気が付いた様だが、次の瞬間クリスピンから驚愕のセリフが!!

「あの獣人ならまた何処かで通話でもしているんじゃ無いのか?」

「へっ? 通話?」

 キョトンとするウォルシャンにクリスピンが頷く。

「ああ。黒っぽい灰色の狼獣人の話だろう? ここに来る前に城下町であの獣人の姿を見かけたぞ。小型の通信機を使って道端で通話をしていたが……」


 そのクリスピンの話に対して、彼と一緒に行動していた4人の空気が変わる。

「通話って……あいつ、俺達と居た時もそんな事してたっけ?」

「いや……そんな素振りは見せなかったな。俺達の見える範囲では」

「でもあいつ、何処かに連絡取るみたいな事言ってたっか?」

「全然そんな話は聞いてないぞ」

 一気にガレディへの不信感がアップする4人を見て、そう言えば……とニーヴァス、シーディト、カヴィルド、アンリから目撃情報が次々に出て来る。

「城の片隅で耳に手を当てて誰かと通話していたな。あれは間違いなく小型の通信機だ」

「最初は耳が痛いのかなって思ってたが、ずっと耳から手を離さないからあれは誰かと通話してたに違いない。同じく城の片隅で見たんだけど、他に見た奴居るか?」

「城下町で見たぞ。人ごみの片隅で通話しているのをな」

「同じく城下町で見た。これだけの目撃情報があると言うのは怪しいな……」


 段々ガレディへの不信感が大きくなって行く中で、帝国騎士団長のセバクターが口を開く。

「ここに連れて来て尋問するか? 今は確かまだ城の中でワイバーンの世話をしていた筈だ。ワイバーンの世話は自分がやっていたから自分がやりたい、と言って聞かなかったので俺達も彼に任せてあるのだが、世話をしながらでも通話出来るチャンスは幾らでもありそうだしな」

 だが、それにストップを掛けたのはエイヴィリンだった。

「いや……もう少し泳がせてみよう。確かに怪しいけどまだ何をしているか分かったもんじゃ無いからな」

「それもそうか……。それじゃ、これからの行動を後は帝国側で決めるから御前達は城に戻って……」

 そう言ってセバクターが会議の終了を宣言している途中に、いきなり「それ」はやって来た。

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