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13.古代文明の遺跡と手掛かり

 そもそも今、自分が居るこの家の場所がこの地図上で言う所の何処なのかすらまだ不鮮明な状態である。

 それを聞いてみた所、アーシアからは再度説明が入った。

「色々聞きすぎて忘れちゃったみたいね。ここは王都、イレイデンの郊外にある林の中よ」

「と言う事は敵の陣営真っただ中って言う事だな」

 カシュラーゼの息が掛かっていない場所の説明を先程された訳だが、ここは息がダイレクトに掛かっている場所なのだ。

 この家から少し離れた林の中にアイヴォスは倒れており、それを見つけて何とかアーシアが1人でベッドまで運んだらしい。


 だがその時、ふとアイヴォスは彼女との会話の中で思い出した事があった。

「そうだ、私の刀!!」

「えっ? 刀?」

「ああ。先程君は私の刀の事について少し話をした気がするのだが?」

「刀……ああ、あの変わった形の剣の事? 見た感じで2本セットみたいだったけど、黒光りしてる鞘の……」

「そう、それだ。何処にある!?」

 その剣の話になった途端、さっきまでの落ち着いた無口な性格がまるで人が変わったかの様にアーシアに食いつくアイヴォスに、食いつかれた本人のアーシアは若干引き気味になる。

「ちょ、いきなりどうしたのよ……」

「聞いているのは、私が大事にしているあの刀があるのか無いのかだ。答えろ!」


 その余りの剣幕に押され、アーシアは「ちょっと待っててね」とだけ言い残して部屋を出て行く。

 そして5秒後、隣の部屋から大小の刀を持って来た。

「これの事よね? 倒れていた貴方の隣に落ちていたから一緒に持って来たんだけど……」

「それだ、それ!!」

 半ば奪い取る様にして、アイヴォスは自分の大切な物を再びその手の中に収める事に成功した。

 アーシアはそれを見て呆れた様な、はたまたキョトンとした様な顔つきで問い掛ける。

「その変わった剣がそんなに大事なの?」

「ああ。私の宝物だ」

「そう……手荷物がそれしか無かったみたいだし、変だなーって思ってたけどその変な光に包まれてあの場所に倒れてたって言うのなら納得ね」


 だが次の瞬間、アーシアはある事を思い出した。

「あっ、そうだ思い出した!!」

「ん?」

 いきなり大声を上げるアーシアだが、冷静な性格のアイヴォスは僅かに眉をひそめただけで特に動揺の色は見られない。

 一体何を思い出したのかが気になるのだが、その内容をペラペラとアーシアがやや興奮気味に話し出す。

「古代文明についての話よ! あのね、ヴァーンイレスでも少し見つかっているんだけどその古代文明時代の遺跡があるのよ!」

「古代文明の遺跡……」


 そう言えばそんな話も少しされたなーとアイヴォスが記憶を手繰り寄せる目の前で、その話をした本人のアーシアはまだ話を続ける。

「その遺跡なんだけど、調査の手を入れようにも入り口に強力な魔力のロックが掛かっていて解除出来ないらしいのよ。見つかってから10年位経っているんだけど、今だに調査がそこでストップしているんだって」

 そこでアイヴォスにはピンと来るものがあった。

「もしかすると、そこのロックを解除する事が出来れば、私が地球に帰る事が出来る手掛かりが見つかる可能性があるかも知れない……と言う話か?」

「そうね。あくまで推測の域にしか過ぎないけど、古代文明を解明すればそっちの世界に繋がる可能性もあるかもね」


 しかし、この話は「~かも知れない」の連続でしか無い。

 つまり仮定の話でしか無いので無駄足に終わってしまう可能性も十分に考えられる。

「……そうだな。それも選択肢として考えておこう。しかし今の私に必要なのはもっとこの世界の情報を仕入れる事だ。そこで頼みなのだが、この家の掃除とかの手入れをするから少しの間ここに泊めてくれないか?」

 いきなりの申し出でアーシアがどう動くかと言うのは分からなかったが、一種の賭けでアイヴォスはそう頼んでみる。

 その申し出にアーシアの返答は……。

「まぁ、別に構わないけど……そうよね、そう考えてみれば貴方はこの世界の人間じゃないもんね……」

 だったらお金も無いし行く当ても無いし……ちゃんと手入れしてくれるなら良いわよ」

「助かる」


 これで拠点の確保は出来たが、次の問題は金と食べ物だ。

 旅をするにあたって、この世界でも金が必要なのは今のアーシアのセリフから予想がつく。

 先立つ物が無ければ地球への帰り道を探す事も出来ないので、如何にかして金を稼ぐ手段は必要だろう。

「参ったな……金が無い」

「あ、お金……貴方の世界のお金は無いのかしら?」

「んん……今持っているのはこれ位しか……」

 財布がかさばるのを嫌って普段から余り現金を持ち歩かず、支払いは余程の事が無い限りはクレジットカードで支払っているアイヴォス。

 しかし、こんな時に限って軍服に財布が入っていない。

「あれ……私の財布が無いな……」

 一体何処で落としたのだろうか?

 その記憶を辿ってみると、別に財布は落とした訳では無い事を思い出した。

「あ……しまった、外出用のコートのポケットに入れっ放しだった……」

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