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59.辿り着いた最上階

 エスクリマのテクニックでショートソードを弾き、部屋から通路へとドゥルシラを押し出してグレリスはバトルを繰り広げる。

 通路に押し出す事によって広くスペースを使えない様にすれば、ドゥルシラのショートソードによる脅威も少しは無くなる上にエスクリマのテクニックで彼の攻撃をグレリスは弾きやすくなる。

「はっ、ふっ!」

 上手い具合に攻撃を弾き、隙があればドゥルシラにパンチやキックを入れようとするもののドゥルシラもブロックが上手い。

 なかなか手ごわいとグレリスは認識しつつ、2人のバトルはだんだんとグレリスが追い詰められて行く形になる。

 自分がさっき上がって来た階段の方へと移動しているのである。

「ふるぁ!!」

「ぐぇ!!」

 ドゥルシラの強烈なミドルキックがグレリスの腹に入り、またデジャヴを感じながらグレリスは盛大に床を転がる。


 階段の前にある、そこそこ広いスペース……つまり階段室とでも言えば良いのだろうか。

 そのスペースがちょっと狭い長方形になっているので、通路よりもショートソードが大きく振るえる事になる。

「はっ!」

 ドゥルシラはショートソードを振り上げ、グレリスに振り被る。

 それをグレリスは左手でガードし、薙ぎ払いを後ろに下がりつつ上体を大きく反らして回避し、次の振り抜きのモーションが見えたと同時に勢いをつけてハンドスプリングでショートソードをギリギリ回避。

 一旦休憩とばかりに2人はお互いの様子を窺いながらグルグルと円を描く様に歩き、静かに睨み合う。

(このままだと埒が明かねぇぜ)

 一気に決着をつけるべくグレリスは構える。

 それを見たドゥルシラは思いっ切りショートソードを振り下ろしたが、グレリスはその腕を左手でブロックして抱え込み一気に引き寄せながら彼の腹に膝蹴り。

 更に間髪入れずドゥルシラの顔面に頭突きの後、ショートソードを持つ手をチョップして武器を叩き落とした。


「ぐふぅ……」

 膝蹴りと頭突きでドゥルシラに大きな隙が出来るので、チャンスとばかりにまずはドゥルシラに左のミドルキック。

挿絵(By みてみん)

 更にハンドスプリングの体勢から彼の頭目掛けて足の裏をぶつける。

「げあ!?」

 頭に衝撃を受けた事でふらつくドゥルシラに一気にラッシュをかけるべく、更に前蹴りで彼を階段の方へとぶっ飛ばす。

「ぐ……うううう……らぁぁあああっ!!」

 半ば自暴自棄になったドゥルシラは、続けてミドルキックを放って来たグレリスの足を横に逸れて回避しグレリスの下半身目掛けてタックル。


「死ねぇ~~~っ!!」

「ぐぅ、あ、うあ!?」

 ミドルキックを避けられて隙が出来ていたグレリスは、方向転換した瞬間にタックルされたのでそのまま背中から階段の手すり部分に向かって押されて行く。

 ここから落ちればただでは済まない。下のフロアまで吹き抜けだからだ。

 咄嗟の判断でグレリスはかかとを使ってキュッと身体を反転させ、手すりの方に向かってドゥルシラを押し出した。

「う、うおぁああ、あああああっ!?」

 勢いづいていたドゥルシラはそのまま止まる事が出来ずに手すりを越えて飛んで行き、空中で背中が下になる様に身体が反転してしまう。


 その先に待っていたのは落下防止用の幅広い階段の手すりだった。

 背骨が折れた「バキャッ」と言う生々しい音がグレリスの耳にまで届き、ドゥルシラの口から奇妙な声が漏れた。

「ぐごっ……」

 そのままがっくりと力が抜け、まるで干された洗濯物の様に手すりに身を任せながら絶命した。

「はっ……はっ……ああっ……あー……」

 自分が人を殺したのが分かったが、これは正当防衛だと心の中で強引に自分を納得させてグレリスは再び歩き出す。

 その先で待ち構えていたドゥルシラの部下が襲い掛かって来たが、もう自分は止められないとばかりの勢いでグレリスは彼の頭を掴んで壁に10回程叩きつけまくってノックアウトさせる。

 もうこれで自分を邪魔する物は何も無い。

 目指すは最上階だ。


 最上階のフロアはどうやら部屋が1つだけ。

 大きな窓から外が見える良い眺めだ。

 そこに辿り着いたグレリスが色々と部屋を調べてみると、部屋の奥にあるテーブルに何と……!!

(こ、これは!!)

 何とそこに自分のリボルバーやバッジ、更にスマートフォンと言った私物が全て置かれているのが目に入った。

 どうやらここまで持って来て、何かに使う予定だったのか。

 とにかくこれは好都合だとばかりに、そのテーブルに向かって急ぎ足になりかけたグレリスだったが……。

「うおっ!?」

 彼の足元目掛けて1本の矢が撃ち込まれる。


 更に間髪入れずに次の矢をつがえるシルエットが見えたので、咄嗟にグレリスは床を転がって放たれた矢を回避しながら立ち上がり、そばのテーブルの上のワインボトルをその人物に投げつける。

 しかしその人物はワインボトルを屈んで回避。

 グレリスはその間にその人物目掛けて、今度はテーブルの上の書類の束を投げつける。

 屈んで体勢を戻したその人物の顔面に書類がクリーンヒット。

 そのチャンスを逃さず一気にその人物に接近し、弓を持つ手をミドルキックで蹴りつけてその人物の武器を床に落とし、更に遠くに弓を蹴り飛ばした。

「……なかなかやるじゃない。その様子だとドゥルシラも駄目だったみたいね」

「ああ。俺は強くなったからなぁ、アニータ!!」

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