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51.タイマンバトル

 青髪の男がまずは向かって来たので、それをグレリスはキックの連打で応戦。

 一目見ただけで自分がこの男に勝っていると分かるのは体格の大きさと足の長さ位なので、その利点を活かした攻撃方法で戦うしか無い。

 ショートソードが振るえない程に重くて、それでいて速いキックを繰り出しとにかく右足と左足で男に向かって自分の足で蹴り続ける。

「はっ、はっ、ふっはっ、おら、うら、おらぁ!!」

 青髪の男はショートソードを振るチャンスを与えられないまま、グレリスにキックの連打を許してしまいだんだん劣勢に追い込まれそうになる。

(くっ……なめんなよ!!)

 心の中で叫びつつ、一瞬の隙を突いてショートソードをグレリスに向かって突き出す青髪の男。


 だがグレリスはその青髪の男の手首エスクリマのテクニックで弾き、その弾いた勢いで一気に身体の向きを変えて右足で回し蹴り。

 その回し蹴りを青髪の男の左側頭部にクリーンヒットさせた。

「ぐっへぁ……っ!?」

 地面に倒れこんだ男は素早く起き上がるものの、それでも頭へのその衝撃でふらつく。

 そんな青髪の男に対して、グレリスは更に男の腹に前蹴りを食らわせて男をぶっ飛ばす。

「ぐああっ!!」


(こいつを倒せば、俺はここから逃げ出せるぜ!!)

 だけどそんな事を考えている余裕は無い。

 青髪の男のショートソードが再び襲い掛かって来るので、それを状態を反らすスウェーでグレリスは回避しつつローキックを繰り出す。

 でもそれを男に足を上げて回避されたので、グレリスはそのローキックを振りぬいた勢いでハイキックに繋げる……が、これもグレリスと同じくスウェーで避けられる。

 グレリスは更に無言のままもう1発ハイキックを1回転しながら振り抜くが、今度はそれを青髪の男に腕全体で止められてしまう。


「はっ!!」

 お返しとばかりにショートソードの回転斬りが来たので、グレリスも一瞬の判断で後ろに大きくバックステップ。

 ショートソードを振り抜いた事で隙が出来た青髪の男に一気に接近し、胸にまず1発右のストレート、次にみぞおち目掛けて左、右と2発ボディブロー、それから顔面目掛けてそれぞれ1発ずつまた同じく左、右とパンチ。流石にこのパンチの雨には青髪の男も呻き声を上げてよろめく。

「がは、うぐぅ!! あがぁっ!!」

 体勢を立て直しながらも青髪の男は再びショートソードを振り上げるが、自分よりも少しだけ……ほんの少しだけ小柄な青髪の男をグレリスはその懐に飛び込んで一気に持ち上げる。

 武器を持っているものの、グレリスにとっては持ち上げられない重さでは無い。


「おりゃああああっ!!」

 青髪の男を持ち上げたグレリスは、絶叫しながら地面に青髪の男を背中から叩きつける。

「ぐぅえ……っ!!」

 青髪の男はそのまま叩きつけられた衝撃でKOされ、何とか起き上がろうとするものの身体に力が入らず地面へと倒れ込んでしまった。

「はぁ、はぁ……よ、よっしゃ、これで俺の勝ちだぜ。さぁ、道を開けて貰おうか!!」

 勝利を確信して、グレリスはさっさとここから帰らせて貰おうと黒髪の男目がけて力強い足取りで近づいて行く。

 しかし、その黒髪の男はいきなりグレリスの腹目がけて不意打ちの形でミドルキックを繰り出した。

 完全に油断していたグレリスは、そのミドルキックをまともに食らって倒れこんでしまい青髪の男と同じ様に地面に倒れる。


「がはっ!?」

 まさかの展開に理解が追い付かないグレリスに対して、KOから復活した青髪の男が素早く異世界の若きバウンティハンターの腕を後ろ手にロープで縛り上げる。

「っんだよ!? 俺は勝っただろ!? 約束しただろ!!」

 地面に押さえつけられながらも必死に自分の勝ちを主張するグレリスに対して、青髪の男のいやらしい声が上から降って来た。

「ああ、俺が勝てば放さないとは言ったけど……解放するとは言ったかなぁ?」

「てっ……てんめええええええええええっ!!」

 完全にはめられた。

 最初からこの集団は、自分を解放するつもり等無かったのだとようやくグレリスは気が付いたが今更遅い。

「まぁ、俺は嘘はついていねえからなぁ? 勝手に勘違いしたお前が悪いんだぜぇ? お・馬・鹿・さん?」


 にやにやとした笑みを浮かべつつ男がそんなセリフを言い放った時、自分が連れ込まれたこの部屋のドアが大きな音を立てて開かれた。

「フンッ、遅かったな」

 次の瞬間、グレリスは自分の耳を疑う事になる。

「その様子だと、どうやら利用価値は無かったみたいね」

「全くだぜ。でもこいつなかなか戦えるから、俺等の仲間にでも入れてやるか?」

「冗談は止めて。それに、別の利用価値を見つけて来たんだから」

 そのセリフに顔を上げたグレリスの瞳に映った、その姿。

「残念だけど、貴方はこれから実験台として送られる事になるのよ。良かったわね……まだ貴方には利用価値があるんだから」

(えっ!? こ、この声は……)

 それは紛れも無く、この異世界エンヴィルーク・アンフェレイアでの自分の命の恩人である筈のアニータだった。

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