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60(最終話).使える物は何でも使う!!

「がぁ!?」

 女が妙な声を上げてたたらを踏むが、お構い無しに2度3度とジェイヴァスはその武器をぶつける。

 この通路に入る前にジェイヴァスが作ったお手軽で攻撃力が高く、そしてあの変な現象も出ない武器……ブラックジャックである。

 ビニール袋に缶ジュース等の金属製の硬い物を入れて振り回したり、ビニール袋の代用品として靴下に手で握れる位の石を目一杯詰め込むだけでもブラックジャックになる。

 ブラックジャックは片手で振り回せるだけの手軽さとは裏腹に、その振り回した時の遠心力でパワーアップした重くて硬い物を相手にぶつけるので、非力な男や女の力でも簡単に人を殺せてしまうのだ。


 ジェイヴァスはどうやってこのブラックジャックを作ったのかと言うと、パンを買った時にそのパンを入れて貰った紙袋をポケットから見つけた。

 だったらこれが使えるじゃないか! と閃いたのでそれにあの碑石の欠片を詰められるだけ詰め込んでみるだけでブラックジャックになった。

 ただし紙袋なのでビニール袋や靴下の様に伸縮性に乏しいのが不安。

 その不安が現実となって、女をそのお手製ブラックジャックで何回も殴り続けるジェイヴァスに襲い掛かる。

「あっ……」

 バリッと音がして袋が破れたかと思うと、中の碑石の欠片が飛び散ってブラックジャックが壊れてしまった。


 これはまずい……とジェイヴァスは女に対して飛びかかろうとするが、その必要はどうやら無いらしかった。

 何故なら女は頭から大量の血を流し、息絶えた状態で通路の壁にもたれ掛かってズルズルと地面に崩れ落ちたのである。

 彼氏であるフランコはこの通路の狭さで迂闊に助けに入る事が出来ず、結果的に自分の彼女が目の前で撲殺されてしまうシーンを目の当たりにした事でジェイヴァスに対して怒りの感情しか無くなってしまった。

「……う……ううおあああああああああああああ!! よくも、よくも俺の、俺のおおおおおおっ!!」

 斧をジェイヴァスに投げつけ、何とか回避したそのジェイヴァス目掛けて全力のタックル。

 一気にマウントポジションを取って首を押さえつけながら、地面に何度もジェイヴァスの頭を叩きつける。

「ぐお、が、がは!」

「苦しんで、苦しんで、苦しんでそして……死ね!! このままてめぇを地獄に送ってやるよ!!」


 ブラックジャックも無くなってしまい、しかも体格が自分よりも勝る相手。

 通路が狭い為に返し技も使えず、後頭部を打ち付けられて力が出ない。

「ぐぅえ……あが……あ……」

 このままここで死んでしまうのだろうか?

 まだ武器が何か無いか……とジェイヴァスが思ったその矢先、ズボンのポケットに変な感触が。

(あっ……!!)

 まさかこれは、と思いつつジェイヴァスはそれをポケットから引っ張り出して、首を絞めるのに夢中なフランコの首筋に突き刺す。

「ぐぉっああああ!?」


 首に走った突然の激痛にフランコは手を離して苦しむ。

 ジェイヴァスの手に握られていたのはズボンのポケットに入れてあったボールペン。フランコが手を離した時に首からすっぽ抜けた。

 これで何とかマウントポジションからも脱出し、咳き込みながらもジェイヴァスは反撃に出る。

 ボールペンで刺されたフランコが体勢を立て直す前にジェイヴァスは彼を突き飛ばし、そのまま足を取って彼をうつ伏せにひっくり返す。

 そのまま左膝の関節を自分の左膝で押さえ、動きを制限されている左の足首を取って思いっ切り折り曲げた。

挿絵(By みてみん)

「ぐおああああっ!!」

 バンバンとフランコの右手が地面を叩くがジェイヴァスにはお構い無し。

 足首が折れたのを確認したジェイヴァスは素早く立ち上がり、うつ伏せのフランコの背中に馬乗りになって首をギュッと絞め上げる。

 そして耳元でこうささやいた。

「生まれ変わったら、人の忠告をしっかり聞く様にするんだ……ぜ!!」

 言葉を言い切ると同時にジェイヴァスはフランコの首をへし折り、この瞬間に盗掘団との因縁が終了したのである。


 だが、遺跡の外に出ると何やら騒がしい。

 それもその筈、さっき盗掘団に全て絶命させられた騎士団の応援部隊が遺跡の外に集結していたからだ。

 メンバーの中にはあの見張りの兵士の姿もあった。

 騎士団は一斉にジェイヴァスに対して武器を向けたが、ジェイヴァスに抵抗する気力はもう残っていない。

 なので騎士団は、遺跡から出て来たジェイヴァスを一先ず遺跡近くのあの牢屋がある村に連行し、そこで色々と一連の流れや盗掘団との関係等の事情を説明して貰った後で、このアイクアル王国の王都へと連行する事になった。


 ジェイヴァスの戦いはこれで一区切りついた。

 しかし、まだ彼の戦いは終わっていない。

 地球に帰りつくまでがジェイヴァスの戦いなのだ。

 この先、この遺跡で手に入れる事が出来たバッジを含めて壁画の文字から何かヒントが得られるかも知れないし、ひょんな事から地球に帰る為の切っ掛けを掴む事が出来るかも知れない。

 だからまずはこの世界の地理やアイクアル王国の成り立ち等を騎士団に教えて貰う事から、ジェイヴァスの新たな旅路がスタートするのだった。


 異世界人の物語は、フォースステージへ舞台を移す。


 3rd stage(アイクアル王国):ジェイヴァス(コマンドサンボ)編 完


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