表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

152/625

28.大事になって来ている現状

 あの馬車の御者に言われた通り、最初の町から3日程馬に乗って西に向かった場所に次の町があった。

 が、ここに来るまでジェイヴァスは自分の今までの行動を後悔してもいた。

 何故ならば……。

「うー、やっと飯にありつけるぜ……」

 良く3日間何も飲まず食わずで生き延びられたなと、ジェイヴァスは自分の身体に驚きを隠せないと共に詰めの甘さを反省していた。

 とにかく逃げる事しか頭に無かったジェイヴァスは、あの矢が刺さった肩の傷を治療したり変装の為に服を買い込んだりするのを優先した為に、すっかり食事の事を忘れてしまっていたのだ。

(うへぇ、こんな事ならあの時あの遺跡でヤバそうなあの食料でも貰ってくりゃあ良かったぜ……くそっ!!)

 馬の食料についてはあの預けた場所でサービスで貰えたのでこの町まで持たせる事が出来たのだが、自分はもう限界だとジェイヴァスはひしひしと感じていた。


 とにかく何か食べ物を買わなければ餓死してしまうと危機感を覚えたジェイヴァスは、手持ちの金を使って何か食べ物を買う事にした。

(そう言えば馬の食料も買わなきゃいけねえのか)

 ここでもとりあえずサービスしてくれるらしいのだが、次の町があるとしてそこまでどれ位の時間がかかるのかと言う情報が今の所は全く無い。

 なので、まずは腹ごしらえと情報収集を兼ねて人が集まりそうな酒場へとジェイヴァスは乗り込む事にしたのであったが、そこでもまた事件に巻き込まれてしまう。


 手持ちの金で腹ごしらえ出来る分だけの食事を摂る事にしたのであるが、酒場と言う場所はそれこそ気軽に会話が出来る場末のバーの様な存在から上流階級御用達のVIPクラブまでロシアでも夜の街に繰り出してみれば至る所に存在している。

 その法則に当てはめてみた所、どうやらここの酒場は余り程度の良さそうな酒場で無い事だけはジェイヴァスにも分かった。

 何故なら先程から明らかにガラの悪そうな連中が、酒場の至る所で酒の入ったジョッキを片手にバカ騒ぎをしているからであった。

 ジェイヴァスも酒癖は悪い方だし、軍と言う閉鎖的で男社会な面が大きい職業であるが故に多人数で飲み食いする事も多いので、余り他人の事を言える立場でも無いのだが。


 そんなガラの悪い連中から離れた場所に座ったジェイヴァスは、まずはとにかく腹ごしらえとばかりにメニューを見てみる。

 何故だか分からないが普通にメニューの文字は読めてしまうので、持っている金額と照らし合わせる形で馬の分のエサ代も今度はしっかりと考えながら料理を注文する。

(やっぱスタミナつけるなら肉だよな、肉!!)

 野菜も格闘家を始めとしたアスリートには大事なのだが、やっぱりここは肉料理だとばかりにジェイヴァスはおすすめでリーズナブルな肉料理をオーダーしてしばし待つ事にする。

(あーあ、俺のこの先の旅って一体どうなっちまうんだろうなぁ)


 いきなり地球とは全く違う世界にやって来てしまい、来て早々に変な奴等に遭遇して戦い、トラップにも引っかかって死にかけた。

 更にあの山道では神話の中でしか聞いた事も見た事も無かったケルベロスと言う三つ首の動物に追い掛け回され、最後は相手の自滅を誘って何とかリザルトで勝ちに持ち込んだ。

 だがその後、山の麓の町で最初に出会った奴等の仲間である槍使いの男をジェイヴァスは殺害。服と金を奪ってその町で出会った馬車の御者から遺跡の噂を聞いた。

 何か情報が掴めるかもしれないとそこまで馬車で乗せて行って貰って、最深部の大きな部屋であの番人か何かと思われる紫色のモンスター(?)相手に勝利して奇妙なバッジをゲット。

 遺跡から町に戻る前に槍使いの男の彼女が弓を持って襲い掛かって来たので返り討ちにし、一旦町に戻って来て服を買い込んで変装。


(そのまま馬を走らせて3日、この西の町にやって来て食事を頼んで今に至る……か)

 実際の所、まだこの世界にやって来て自分は1週間と経っていないのにこれだけのトラブルを巻き起こしたり巻き込まれたりしているのだから、相性がかなり悪いのでは無いかとジェイヴァスは疑心暗鬼になりつつあった。

 そしてこれから先の旅路においても、あの最初の集団の全容が全然見えていないだけに何かトラブルに巻き込まれてしまう可能性は大いに考えられる。

(地球に帰る所の騒ぎじゃ無くなって来たな。どんどん厄介な事に巻き込まれて行ってる気がするぜ)


 その厄介な事を引き起こしてしまった原因が自分にもあるとジェイヴァスは考えているが、かと言ってもう後戻りは出来ないのだ。

(こんな訳の分からない世界でむざむざ死ぬ訳にはいかねえんだよ。殺されない為にはまず自分から行く事が非常に大事だからな。それでも……いや、それ以上に大事なのはもっと情報を集める事だ。裏を取って……その上で決めなきゃ殺される!)

 あの5年前の出来事がジェイヴァスのその猪突猛進な性格を少しは直させたと言う事になるのだろうが、ついつい戦いになると熱くなってしまうその性格は今もまだ変えられそうに無かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ