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12.脱出に向けて

(あー、疲れた……肉体的にもそうだが、精神的に疲弊した……)

 思わずはぁーっとため息が出る。

 腹が減って夜中に町を歩いてはみたものの収穫はゼロ、二度寝してから朝食を摂ったは良いものの、今度は町の探索途中に朝っぱらから騎士団の詰め所で拘束され、やっと出られると思えば馬車で護送中に爆発事件に巻き込まれ、気になる素振りの女を見掛けて追いかけていたその途中でホルガーに再会して、彼の案内でこうして宿屋へ戻って来た。

 しかしこうしてだらけている暇は無い。

 あの無差別と思われる爆発事件がこうして連続で起こっていると言う事は、この宿屋もターゲットにならない可能性が無いとは言い切れないので、リオスは何処か別の町に移動する為に宿を出る準備を始めた。

 実際の所、他の町がどの方向にあるのかも分かっていないし、まだこの町に来て……と言っても来たくて来た訳では無いからしょうがないのだがな、とリオスは苦笑しながら宿屋のエントランスへ下りる。


 と、ここで分からないのであれば人に聞けば良いじゃないか? と言う考えがリオスの頭をよぎった。

(あ……そうだ、宿屋の主人だったら色々分かるんじゃないのか? 宿屋なら冒険者や旅人とかも沢山来るだろうからそれなりに情報も入って来るだろうしな)

 と言う訳で宿屋の主人に、まずはここから1番近い町を聞き出してみる。

 するとこの町から西へ3日程歩いて行った所に比較的大きな町があるらしい。そこから更に西へ馬車でおよそ2週間行くと帝都に着くのだと言う。

 帝都であれば元の世界に帰る方法も何か見つかるかも知れないと感じたりオスだったが、それだけの時間が掛かるとなると、今の手持ち分の食料と金では不安要素が大き過ぎるのもまた現実。


(何か護衛とかの仕事があれば良いのだがなぁ……そうそう見つかるものか? それに、この世界ではまだ俺はこの町の事しか知らない。しかも町の全てを見回った訳では無いから、もう少し情報収集が要るとは思うのだが……)

 でも、さっき爆発事件があったばかりで町の中をうろうろ出来ない。やはりここは町の外へと出るしか無い。

 もう1度そう考えて実行に移す為にリオスは宿を出てそのまま町も出ようとしたが、その西の町へ向かう為に町の人間に道を尋ねながら歩いている時に、またもや人影を発見。

(……あれ、あれって……?)


 黒い髪の毛に赤いタンクトップの様なシャツ、それから腰には赤い2本のハンマーをぶら下げている細身の男。

 遠くからでも赤いシャツとその腰のハンマーはなかなか目立つのでリオスにもすぐ分かった。ホルガーだ。

 と言ってもホルガーはリオスには気がついていない様だし、距離も離れていた為にすっと人混みの中へと姿を消してしまう。

(路地裏から出て来たな。こういった場所をねぐらにしているのか?)

 ホルガーを見かけたのは大通りから2~3本離れた通りの、更に所々で裏路地に道が続く細い通りだ。

 リオスは町の人間に出入り口への道を聞いていたのは良いが、その前に道に迷ってしまってようやく街の人間に地図を描いて貰って大通りにまずは出ようと思っていたのだ。

(こんな事ならば、あの宿屋の主人に地図を貰えないか聞いておくべきだったな)

 今更もう遅いけどな、と苦笑いをしながらリオスはこうして歩いていたのだが、この時ホルガーを見かけた事で、この後のリオスがびっくりする展開が待ち受けていた。


 興味本位でホルガーが出て来たその路地の奥をチラッと見るリオスだが、その時ふと気になる臭いが彼の鼻を掠める。

(……ん!?)

 この臭い。普通の臭いじゃない。

 明らかにこれは……血の臭いだ。

(うっすらとだが血の臭いがする。何かあったのか?)

 変に胸騒ぎを覚えたリオスは、1人の軍人として他に騎士団員が居ないかどうかを周りを見渡して確認するが見当たらない。

 最初のあのメイドが落ちて来た時には、これ以上変な事に関わりたくないと思ってあそこからリオスは立ち去ってしまった。

 だが先程の爆発事件があった事で、もう変な事に巻き込まれてしまったのだから今の血の臭いも調べるだけ調べて、現状を騎士団員に報告するだけしておこうと思い路地裏へとリオスは足を進めた。

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