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7.未知の生物(死んでいる)との遭遇

 無事に遺跡の入り口まで辿り着く事が出来たジェイヴァスは、その入り口を出てから女を地面に下ろす。

 しかしこれで終わりでは無い。

 入り口近くに手頃な大きさの木を見つけると、さっきの女から奪い取って破いたあのジャケットのもう半分を更に細かく、そして細く破って紐状にする。

 その紐状になったジャケットで、その木の幹に女の身体を縛り付けた。

「ちょっとーっ、 私をどうするつもりよ!!」

「ギャーギャーうっせえ! 追われたくねーんだよ。どうせ仲間の奴等もすぐにこの入り口に戻って来るんだろうし、ここでそれまで大人しくしてるんだな!!」

 手荒ではあるもののしっかりと女の身体を木に縛り付けたジェイヴァスは、改めて女に宣言する。

「道案内してくれたからな。殺さないでおいてやるぜ。だが……たった今からお前も、それからお前の仲間も俺には近づくんじゃねえっ!! もし何処かで俺の姿を見て近づいて来たら、その時は……」


 そこで一旦言葉を切ったジェイヴァスは、女の顎をこれまた手荒に掴んで凄みのある口調と、血に飢えている猛獣をイメージさせる目付きで宣言した。

「ぶっ殺す……分かったなっ!? 仲間にもリーダーにもちゃんと伝えておけ。忘れんじゃねえぞ!」

 その宣言をして、ジェイヴァスは乱暴に女の顎を離して背中を向け、ヒラヒラと背中越しに右手を振って歩き出した。

「これ解きなさいよ!! ねえちょっとおーっ!?」


 後ろで喚き散らす女の声も聞こえ無くなる位まで、ジェイヴァスは登山道を道なりに下りて行く。

 その下山途中、時折り山の下に見える景色にジェイヴァスは違和感を覚えていた。

(結構高い山なんだな。けど、もし何処かに町が見えるとしたら高層ビルとかがあって良さそうなんだけどなぁ)

 さっきの女は、この山を下りきった場所に町があるのだと言っていた。

 その町が見えるかも知れないと思いつつ、ジェイヴァスは足を進めながら景色を見下ろしていたのだが、遠くに何かうっすらと尖った屋根の建物が見える位で後は全てが緑と茶色の部分……恐らくは森だろうか? そんな場所位しか見えないのだ。

(この方角じゃあ麓の町は見えねーのか? だったら麓の町で情報収集といきますか!!)

 町があるとすれば当然人も居る筈なので、その町で色々と情報を集めれば自分が今どんな状況に置かれているかが分かるだろう……とジェイヴァスは読んだ。


 そしてそれとは別に、この登山道の状況でジェイヴァスには気になる事があった。

(無数の足跡……さっきのあいつ等も含めて大勢の人間がやって来ているみたいだな。けど、明らかに人間の足跡じゃねえ奴まであるぜ)

 やはり山だけあって、この場所にも野生の動物が生息しているのだろうとジェイヴァスは考えているのだが、その野生動物の姿がまだ見当たらないのである。

(まだあんまり下りて来てないからか……? でも、それでも小動物1匹にすら出くわさないってのもまた変な話だよな?)

 自分に対してクエスチョンを出してみるが、自分が分かっていない為に当然答えは出ない。

 それでも、例えば野生の熊に襲われるとかそう言う事が無いだけ全然安全に下りる事が出来るので、その点に関しては今の状況はありがたいものだった。


 そのまま足元に気をつけて下りて行くと、ようやく最初の野生動物に遭遇する事が出来た。

「お、おお……!?」

 しかし、その野生動物を見たジェイヴァスは思わず絶句してしまう。

 何故なら、地球では絶対に見た事の無い種類の動物だったからである。そして何よりも、動物が生きたままジェイヴァスの目の前に現れた訳では無かったのだ。

(……死んでる)

 その未知の動物の死骸に恐る恐る近づいて確かめてみるジェイヴァスだが、ピクリとも動かないので一応は大丈夫そうだと確信。

 その後もなるべく動物の身体に触らない様にして、もし死んだ振りをしていた時の場合に備えて若干距離を置いてその動物を見てみる。


(まず何よりも、こいつは何で首が3つもあるんだ? 首が3つもある動物と聞いてパッと思い浮かぶのは、俺が学生時代に何かの本で読んだ事のある神話……だったか? 確かそんな奴で見た……ええと、ケルベロスとかって奴か)

 3つの首を持っている犬の怪物として、超がつくほど有名なその怪物にそっくりなこの動物。

 茶色の体毛に覆われている身体には、無惨にも無数の矢が突き刺さっている。

 それにプラスし、何かの刃物で大きく斬り裂かれたり突き刺された傷もまだ生々しく存在している。

 傷口と身体の状況を見る限り、死んでからまだ全然時間が経っていない事がジェイヴァスにも理解出来た。


 そうして、すぐに1つの予想に辿り着く。

(まさか、さっきのあいつ等が……!?)

 ジェイヴァスは改めて、この動物の大きさを自分と比べてみる。

 身長178センチの自分と比べてみても明らかに大きなその体躯。死んでいるので3つの首が今動いていないだけ、立った時の正確な大きさまでは分からない。

 しかし、縦の長さで言えば大体3メートルはあると言えるだろう。

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