表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

128/625

4.トリック、トラップ

 こうして頭の中で色々と考えてみると、何だか考え過ぎの様な気がして来たのでジェイヴァスは少しずつ冷静さを取り戻して行く。

(と、とにかくこの変な場所から外に出てみればここが何処だか分かるだろ。だったら素早く行動あるのみだぜ!)

 そう決心して、ジェイヴァスは力強く足を踏み出した。

 だが、この変な建物は非常に複雑で広いらしい。

 至る所に分かれ道や小部屋が存在している他、先程のスイッチの様なトラップもまだまだあるのだ。


 例えば……。

「おわあっ!?」

 いきなり通路の両側から、ジェイヴァスの目の前を文字通り掠める形で大量の矢が発射された。

 何でこんなトラップが作動してしまったのかと、一旦進むのを止めて辺りをジェイヴァスは見渡す。

 そして足下に注目してみるとその理由が分かった。

(……あ、この床……)

 大きく分けられたタイル状に敷き詰められている石畳の地面の、その模様の違いにジェイヴァスは気づく。


 今、自分が踏んでしまった場所の床とは明らかに違う模様の床があるので、自分の性格に見合わない位に恐る恐るその模様の違う床をジェイヴァスは踏んでみる。

(く……っ!?)

 矢が飛ばない。

(は……っ、どうやら俺の予想は当たってたみてえだな!!)

 心の中で安堵しつつ小さくガッツポーズをして、模様の違う床を踏んで行けば矢のトラップが作動しない事に気が付いたロシア軍の軍人は無事に通路を抜けるのだった。


 また、この建物にはこんなトラップも。

(……何か、如何にもって感じの場所だぜ)

 何処か呆れた様に頭の中で呟くジェイヴァスの目の前には、3つに分かれた道がある。

 その道は石造りのドアで仕切られており、ドアの横にはそれぞれ違う模様が描かれたスイッチが1つずつついている。

 またこれもトラップって奴なのか、と思いつつもとにかく行動しなければ先に進めそうには無いので、ジェイヴァスはとりあえず目の前の真ん中のドアの横についているスイッチを押してみる。

 すると……。

「うお!?」

 上から何かの金属音が聞こえて来たので何かと思い、その方向に向いてみれば大きな檻が降って来るのが見えたので、ジェイヴァスはとっさに横にごろっと転がって上手く回避する事に成功。

(危ねえ危ねえ……)

 もしこの檻に捕まっていたら一体どうなっていたんだろうかと若干身震いしつつ、気を取り直して次は左のドアのスイッチを押してみる。

 今度は……?


「……!!」

 次は後ろから何かの起動音がする。

 やっぱり嫌な予感がしたジェイヴァスは再び横方向に向かってサイドステップ。

 その瞬間、今の今まで自分が立っていた場所に火炎放射が後ろの壁から噴き出して来た。

 しかもこのトラップ、ただの火炎放射では無い。

(うお、やべえ!!)

 壁についている火炎放射の放射口が縦横無尽に360度動き周り、侵入者を徹底的に排除する為に満遍無く炎を放射するタイプのトラップだった。

「くっ!!」

 下に向かって放射されればジャンプで回避、上から来ればしゃがんでかわし、円を描く様に放射して来るならジャンプした後に素早くしゃがむ。


 しかしこの火炎放射のトラップは止まる気配が無い為、一旦ジェイヴァスはドアがある通路から続いている別の通路へと退避した。

(……ありゃ?)

 退避した瞬間、今までジェイヴァスを焼き殺そうとしていた火炎放射がピタリとストップしたのだ。

「良いのか、これ……?」

 止まったんなら残った1つのドアのスイッチを押してみるか、とジェイヴァスは再びドアの前の通路へと足を踏み出した……が!

「うおうっ!?」

 その瞬間、またもや火炎放射がジェイヴァスに襲い掛かって来たので再度通路に退避。

 何かがこの通路にあるんじゃないかと思い、もう1度踏み出してみればやっぱり火炎放射が出て来る。

(ま、まさかこれって俺の重さに反応してんじゃねえのか?)


 その予想が今の所は確率的に最も高いと確信したが、かと言ってこの状況をどうやって切り抜けるかと言う解決策は見えて来ない。

 こうしたトラップの解除に関しては涙が出る程自分でも苦手だと分かっているジェイヴァスは、何とかして残る1つのドアの横についているスイッチを押す為に考え込む。

(重さに反応するとして……何か岩とかあれば良いかも知れねえんだけどな……)

 うーんと腕を組んで考えるが、今まで歩いて来た通路には全くそんな役立つ様なアイテムの類いを見た記憶は無かった。

 だったらどうするか?


(なら、強行突破しかねえだろーがあああああ!!)

 戦術や作戦の立案のカリキュラムでは、ジェイヴァスは下から数えた方が圧倒的に早い順位だ。

 なのでここはそれしか無いと判断し、みたびトラップの通路に足を踏み入れる。

「くぅ、あっ、ぬおおっ!!」

 ギリギリで炎をジャンプして飛び越え、そしてしゃがんで炎を回避。

 そのまま前方へと転がって、一気に最後のドアのスイッチに向かって黒手袋の手を伸ばしてタッチする。

(今度は……!?)

 一体何が起こるのか、それだけが気掛かりなジェイヴァスだったがここで周りの異変に気がつく。

(……あっ)

 今まで自分を狙っていた火炎放射のトラップが停止し、最後のドアのスイッチがガクンと壁の中に押し込まれてそのドアが開いたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ