第39色 白い勇者と仲間達
...何とか間に合った...。
《野雷》で全力で走ってきたけど...。
本当に何とか...間に合った...。
...コイツら...。
俺の仲間を傷つけやがって...。
コイツだけは、絶対に許さない...。
《 分析》
ゴブリンキング《 rank》D++《祟神化》
ゴブリンを統べる王。
《魔導書》次元の書(祟落)
...魔導書持ち...モンスターでも持っているんだな...。
『はい、マスター。モンスターでも一定の魔力の強さや、祟落ちしてる場合は、持っている場合があります』
そうなのか...。
どんな魔導書なのかな...。
っとその前に...
「エリーゼ...歩けるか...。
皆を連れて少し離れて欲しい...。
コイツは俺が倒すから...安心してくれ」
トーカを全力で横に払い、キングとの間合いを無理矢理に開ける。
『テラ、敵は後どれぐらいいるかな?』
『はい、マスター。
キング1、ナイト3、メイジ4、ホブゴブリン52、ゴブリン504です。
オウカ様が凄まじい勢いで敵を屠っていますので、数は現在進行で減っています』
姉さん...。
『所で、途中で下ろした2人は?』
『キャットファイトをしながら敵を殲滅しています』
テラ...キャットファイトって...。
まぁちゃんと働いてくれてるならいいか...。
距離が開いたので、警戒しながら膝を落とす。
恐怖なのか、身動きが取れていない、エリーゼの肩を抱きながら、アオイの額に手を当てて《ヒール》を唱える。
アオイの全身が色鮮やかな淡い水色に包まれる。
擦り傷だらけだった、アオイの傷口が癒されていった。
「よし...これで、何とか大丈夫かな?
エリーゼ悪いが、アオイは、まだ意識がないから、肩を貸してやってくれ。いずれ気が付くと思うから」
マーカラさんも意識がないのか、エルフの女の子達が守ってくれている。
一先ず大丈夫か...。
「あ、はい...ユキ様ですよね?」
「...え?勿論俺だよ...。
分からなかったかな?
少し時間が経ったから、色々変わったかもしれないね...。」
シュラのお陰で1年近くは過ごしたからな...。
出る寸前に「あっ、こっちの時間軸とズラしてるから、あっちは一週間ぐらいだったかな?」って言われた時は本気で襲いかかったもんな...。
まぁ返り討ちにされたけど...。
頼むから、姉さんもシュラも先に重要な事は言ってくれ...。
『トーカ調子はどうだ?』
『ふん、すこぶる絶好調よ!』
よし、それじゃお礼参りとイキましょうか...。
俺の仲間に手を出した事を悔いて詫びろ...。
全身を淡い鮮やかな緑色の魔力で包み込んで、先手必勝...。
下段の構えから、勢い良く体勢を落とし、切り込む、相手はそんなに素早くない...。
大剣で塞ごうとするが、反応が遅すぎる...。
どう動くかが見え見えだ...。
動きを、読んで体勢を少しズラす。
右側に足を少しズラして、大剣を紙一重で避ける。周り込み腕から肘に掛けて、一閃を入れる。
刃は通る、硬い...けど切れなくは、ない。
トーカの切れ味は、下手な名刀より切れる。
腕を切り落としたりは、出来ないが...有効打を与える事は、出来る。
祟落ちしてる分ランクは、普通のキングより少し上がっているはずだ...。
モンスターの中では、今まで戦った中で一番強敵だろう...。
でもお前だけは絶対に殺す...。
こっちは、四天神と神殺しのスパルタな訓練受けてるんだ、少しランクが高いなんて、ハンデにもならない。
お前は仲間を傷つけた...死んで詫びろ。
キングは、大剣を勢い良く振り下ろす。
また、見え見えの攻撃、遅すぎる攻撃は、簡単に躱すことが出来る。
躱して、胴に二閃...。
弱すぎる。
ゴブリンは、よろめきながら間合いを開ける。
死を予感したのか、さっきまでの覇気や圧力は、薄れている。
...所詮こんなものか?
「ガアアアァァァァァー」
突然キングは、腹の底から、体に響き渡る様な鳴き声を発した...。
何度も何度も理解出来ない声を発している...。
『マスター、ゴブリン達に命令をしています。
周りの人間を殺せ、俺を守れ、だと思います』
テラ...相変わらずの高性能だね...流石だね...。
統率が全く取れていなかった、ゴブリンやホブゴブリン達が動きを止めて、目標を定めていく。
...俺は大丈夫だが、みんなが危ない...。
キングはゴブリンを盾に間合いを開けていく...。
『テラ、すまない、キャットの2人と姉さんに、この事を伝えて、皆を守りながら戦う様に言ってくれ』
不味いな...統率が取れてない、状態だと敵にもならなかったが...。
纏まるとやっかいだ...。
「マスター、お伝えしました。3人ともバラケて別働隊を守護しています。」
何とか、他の所は、大丈夫かな?
この子達は、俺が守らないと...。
エルフの子に近付いて声を掛ける。
「全員で何人ですか?」
怪我人を慌てて治療している...。
怪我をしてる人にヒールを掛け治療を手伝う。
重体の子はいない...な。意識を失っている子が殆どだ。骨折等してる子を重点的に治療する。
「あ、増援の方ですの?...回復魔法...有難うございます。
この班は、全部で16人ですの...。
先ほど別の班の方が助けにこられたので、17名ですわ。皆今ここに居ますの」
成程、この班は全員生きているな...。
本当に間に合って良かった...。
エルフの子が魔導書の力を使い、避難している場所を、木でバリケードを作ってくれる。
統率が取れたゴブリンの攻撃は、厄介で怪我から回復した子がバリケードの中から皆を守ってくれている。
本当に、魔導書を持つエルフの子の、魔力操作...素晴らしい。
やっぱりエルフは自然に愛されてるのだろうか...。
でもバリケードだけでは、厳しいかもしれない、いずれ魔力も尽きるだろう。
「エリーゼ、ここで防衛戦に徹してくれ。
俺が今から圧倒的に数を減らす、だから気絶したメンバーを他所に、今のメンバーで守りきれると思うから、その後は宜しく頼む」
「「えっ!?」」
「ちょっと!あなたバカですの?
さっきのキングとの一戦は見事でしたけど、数の利は向こうにありますわ。この中で私達といる方が安全ですわ」
エルフの子が言う事は、間違いないけどな...。
でも...。
「有難う、でも俺は皆の仇を取りたいだ...。
仲間を傷つけられて、黙っていられない」
「俺って、あなた...。
でもやっぱり「君、名前は?」」
「え?突然何ですの?私ですの?...ラピですわ」
急に話を遮ったので、ラピは少しで焦りながら答えてくれた。
「ラピ、有難う。俺が君も、皆も必ず守るよ。だから大丈夫。安心して欲しい...。
絶対に俺が終わらせるから...信じて欲しい」
力が強く優しく語りかける。
「...言っても無駄ですわね...作戦は、ありますの?」
ラピの、仲間だろうか、獣人の子とドワーフの子も皆を守ってくれている。
...早く終わらさないと...。
「1つ大技があるよ...森に囲まれた場所でも使える技だから...それで圧倒する」
「ここでも、使えますの?」
純粋に信じてくれている...な。
微笑みながら、頷く。
『テラ向こう側には、味方はもういないよな?』
『はい、マスターいません。魔導書を使われますか?』
『うん、サポート宜しく頼む』
左手を開き、魔力を込めイメージする。
《海王》
左手に濃く色鮮やかな、青く薄い紫を纏う、厚みのある本が現れる。
纏う魔力は絶大で、魔導書の力を体現していた。
そして、右手を天高くかざし魔力を込める。
《トリトン》
唱えると、掲げた右手には何も起こらない。
だが次第に雲が多い、暗くなっていく。
上空から雪が振り始める。季節外れの白い雪が、
少しずつ積もり出す。
次第に雪の量が増え地面を真っ白に染めていく。
温度が急激に下がり、ゴブリン達の吐く白い息は次第に増えて、大きくなっていく。
魔典海王、水と氷の魔導書。シュラとの戦いの御褒美で貰えたもう一つの魔導書。
第1魔法トリトンは、ゆっくり雪の世界に変えていき...。
「...凄い...ゴブリンが凍っていくですの...」
雪が降り積もり、魔力防壁や、逆魔法を極めて
いない限り、命あるもの全てを凍らせる。
暫くすると次第に雪は止む。
周りは1面雪化粧に覆われ、綺麗な銀世界に変えて、数百体のゴブリンの氷のオブジェを作っていた。
「アナタ一体何ですの...こんな魔法見た事ないですの...」
ラピは、白い雪を吐きながら、好奇心に覆われた、嬉々とした笑みを零して呟いていた。
「俺は、コンドウ=ユキ...。攻略者で皆の仲間さ。...じゃゴブリンキングを倒してくるよ」
読んで頂いて有難うございます。
宜しくお願いします。




