第10色 ダメっ子+肉
全然ダメだった...。
うん?何がって?
...うちのエルフ娘ですよ。
昨日あれから...ドキドキイベント?を乗り越え、部屋の準備をしてあげて、就寝した。
こっちの世界では、だいたい遅くても10~11時には、就寝する。
まぁ少なく見積っても6時間から7時間寝れたらいいだろう...。
俺は昨日少し仕込みをして、3:00には起きていた...。
恩恵のお陰なのか、少しの睡眠でまったく疲れが残らないのだ...。
それに3階のエリアが掃除出来てない...。
happyイベントが起こらない様に、慎重に2階を掃除して、3階に移動する...。
そこは、夢の島だった...。
ゴミの...。
仕込みは、大体出来ているので30分あれば調理出来る。
全粒粉パンのサンドイッチだ。
新鮮なトマト?モッツァレラ?が手に入ったので、迷わず朝食に組み込んだ...。
昼休憩のOLの如く、昼の時間は、有効利用しないといけないのだ...。
4:00...。
4:30...。
5:00...。
...なんとか片付けれた。
多分散らかしたのは、師匠だろ...。
寝室に気配は、2つ。
...だから...結婚出来ないんだよ...。
...ヤバ!殺気を感じる...様な気がする...。
そそくさと退散する...。
5:30サンドイッチも完成したし、そろそろ準備するか...。
あれ?エリーゼは?
...まさか!?
コンコン
コンコン
5:45...。
もう行ってる?
ドアノブに触れてみると...。
開いてる...。
ゆっくりと開き中に入ると...。
大股びらきの半パン半袖で口を開けながら寝てるエリーゼがいた...。
「昨日泣いてたよね...?」
時間がない!!
早く起こして行かないと...。
...。...。...。
あかん、何しても起きひん...。
5:50を過ぎていた...。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!!
服を適当に入れて、大事そうに抱えながら寝てる特注の斬馬刀の様にデカイ大剣も入れて、背中に背負って走る。
美女をおんぶしながら全力疾走...。
あれ?なんか役得なデジャヴ??
『本当にこの子起きないわね...』
そうですね...。
ある意味尊敬しますよ...。
5:55にギルド前に着いた...。
「エリーーーーゼっっ!!!!」
寮内では、出せない大声を出してエリーゼを起こす。
「ハイっ!!」
飛び起きるエリーゼ...。
可愛いから許す...。
「起きなかったから、背負ってきたよ...。
明日からは、ちゃんと起きようね?
着替える?一応適当に持ってきたけど?」
「ハイ...ほんとに初日からすみません...。
」
着替えを受け取り、上衣のみ着るエリーゼ...。
6:00になった...。
師匠は、来ない...。
同じメニューを、こなせと言う事だろうか?
ランニングコースの説明をして、初めてなので、ゆっくりと一緒に走りだす。
普段のスピードの10分の1ぐらいのスピードで...歩く一歩手前だ...。
このままでは、サボってると思われかねない、昨日より多めの魔力で白→水→火→白と15秒程で入れ替えながら、練成する。
特に水から火に換えるのが難しい...。
でも一周走る間には、10秒程で切り替えれる様になっていた...。
集中し過ぎていたかなっ?
後ろを振替ると......。
バテバテのエリーゼさんが息をキレキレで走っていた...。
「だ、だ、大丈夫?」
「...は...い...。」
全然大丈夫じゃない...。
確か一周は、2キロぐらいか...階段や、坂道、少しの段差、足元は安定しずらいし、状態は変化し易いから...。
普段から魔力を纏う状態に慣れていないのか、むしろ体力がない...のか?
「エリーゼ?自分のペースで走ってくれて構わないからね...これも飲んでね...。」
水袋を渡してペースを任せる事にした...。
.........。
......。
魔力の最大消費インターバルを色を変えて走っていた。
全力疾走+高い3色魔力負荷と、歩く手前速度+低い3色魔力負荷を交互にしていく。
疲労感は、昨日と比べるまでもない。
何度も何度エリーゼを抜かしたが、根は素直で真面目だからか真剣に取り組んでいた...。
ギルド入口に師匠とエリーゼが到着していた...。
「...よし...石を貸してみろ...。」
太陽に黒い石をかざして、何かを呟く...。
「今日は、三色魔力を使ったんだね?
赤(火)は、誰に教わったんだい?」
「アオイに教わりました...不味かったですか?」
「そんな事はないよ...。
今日私が、光と風を教えるから、マーカラに闇を...クレスに土を教わってくれるかい?」
「はい!分かりました、有り難うございます」
「それから、2時間で今の疲労感になるぐらいランニングで消耗してから、明日から魔力を纏いながら素振りをする様に!
ゆっくりでいいから、色を変えながら素振しなさい」
「わかりました」
「では、下にいくよ」
いつもの場所に移動して、2色の色魔法を教わる。
光魔力は、黄色に近い色だ。
日光浴の感じと言うか...太陽には触れた事はないが、太陽光の暖かさに限りなく近い、神聖なイメージが頭に過ぎった。
風魔力は、緑色で、比較的に身近なモノで少し簡単だった。
優しい肌あたり、羽の様に触れる感覚、空気の感触、厚み...そんな感じだ。
だがアオイの様に誰かの魔力に触れて覚える事は、重要な事かもしれない...。
人によって性格が違う様に魔力も同じだと思えた。
それに敵意などを魔力に混ぜると、優しいイメージで感じていた魔力とは、正反対に変わるだろう...。
魔力から感じるイメージ...。
それを大切にしようと思った。
サラが使える、水、風、光のトリプルは、魔力性質上、神聖魔法が使える。
回復と結界のスペシャリストらしい...。
マーカラさんは、闇、火、土のトリプルで、次元魔法が使える。
アイテムボックスなどがコレの特性を使っているそうだ、俗に言う錬金術や召喚術もこのカテゴリに分類されるそうだ...。
奥が深すぎる...。
来て間もない俺には、まだまだ先の話だろう...。
全色魔力使いは、500年前の賢者以来初めてになるんだとか...。
全色使えるからと言って、何でも出来るとは、限らないし、人それぞれ極め方も、自分の天井も違う...切磋琢磨やるしかない...。
でも、あと2色を早く覚えて、魔法を使いたい...。
色を全て覚えたら、下地が出来るそうなので、覚える事が出来ていれば、明日から実際に魔法を使用するそうだ。
魔法を使えかもしれないので、ウキウキだ...家事が楽になる...。
所で今日は、気絶をしていない...。
何故かって?
別の人が気絶しているからです...。
~1時間前~
「エリーゼ...お前は、魔力をどれぐらい使える?」
「...嗜む程度です。
特性は、風だけのシンプルです。
魔導書は、ありません。」
「得意魔法をあの壁に当ててくれ」
「わかりました...。
...。
...。
...。
風の弾丸よ的を撃ち抜け...ウィンドバレット」
パス......。
えっ??
魔法ってあんな物なのか?
あれではレッドオークには、吐息ぐらいかもしれない...。
「...バレット」
バッ!!!
えっ!!!?あの重そうな風の音は、何なんだ!!?
...壁に拳程の大きさの、穴が深く開いていた。
コレが魔法っすよね!?
...これの水魔法が俺の顔面に...。
別の意味で青くなる...。
「これぐらいは、最低限イメージ、錬成しないと魔法の意味がないぞ?
魔力操作は、教わったのか??」
「...いえ...。」
「やっぱりか...。
エリーゼ...ギルド職訓練校に興味はないか??」
「あります...。
でも卒業出来ないと言われました...。」
あれだと、10人のハードルは、高いな...。
1年の訓練を経たら、テストを受ける資格が出来るのだとか、三ヶ月に1回のテスト(戦い)で10人に残れば卒業らしい...。
何度も落ちて冒険者になる事を、諦める人が殆どだそうだ...。
エリーゼは、英霊貴族なので、ギルド職訓練校の卒業は免除されて、ダンジョンに潜れるそうだ...。
でも、それで死亡したら目も当てられない...。
普通は、貴族の英才教育が普通なのだとか、女傑の英霊なら尚の事だろう。
でも猫可愛がりし過ぎて、死に掛けた...。
1度その英霊とやらに一言物申すべきだろ...。
「...ヨビコミされて、ユキを鍛えてまだ3日目だ...。」
「えっ!?3日ですか!!?」
「コイツは、恩恵のお陰で、休憩や少しの睡眠を取る度に、1日の睡眠に匹敵する、超回復の効果がある。
既に何十日分のトレーニングの効果は、あるだろう...。
でも基礎魔力が絶対的に少ないから、死ぬ気でやってギリギリだけどな。
男のハンデを持ちながら、なかなかのガッツだ」
えっー!?初めて聞いたんですけど!!?
トーカ?『私も初耳よ!!』
マジっすか...。
地獄の訓練も意味があったんですね...。
でも本当に殺されそう...。
「そこまでは、望まない...。
でも合格出来る可能性まで持っていく事は、出来る...。どうしたい??」
「...絶対に受からないって言われて、本当に悔しかったです。
やります...お願いします」
昨日と同じ決意に満ちた表情だった。
この日、地獄の鬼軍曹の門下生が1人正式に加入した。
それから少し早めに、訓練が終わり...。
ダッシュで、買い物を済ませる、肉、乳製品、野菜、米...。
そう...異世界にも、米があるんですよ...。
第2大陸の1部が、主食が米らしく、サラやセオリも第2大陸出身なので、サラに言うと狂喜乱舞していた。
本場の第2大陸には、劣るそうだが精米もされているし、最高だ...。
仕込みを終わると、ゾロゾロと女性陣が昼休憩に来る...。
満身創痍だがエリーゼも食欲は、ありそうだ...。
セオリも今日は、一緒に食べる様だ...この子は、いつも何をしているのだろうか...。
温かい内に食べて貰えのは、嬉しいので、一層腕がなる...。
サラダにキノコとベーコンのオイル系パスタとミネストローネ...足りない子の為にパンも用意していた...。
凄い勢いで食べてる...。
マーカラさんとクレスさんでさえ急いでいる様に感じる...。
こんな美女達に食べて貰えるなんて、幸せすぎる...。
あっ?お腹が一杯になる前に約束のモノを出さないと...。
「アオイ昨日は有難う...これが俺のスペシャリテだよ...。」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
全員から聞こえた様な気がする...。
「約束だったからね...。
これは、ローストビーフって言う物だよ。
僕の居た世界で、特別な時に食べたりするんだけど、見た目は生だけど、ちゃんと食べれるから安心してね。
このフルーツビネガーの特別なソースとワサビで、お食べ下さい」
ゴク
...みんなから唾を飲む音が聞こえる...。
「ユキ、ワサビってにゃに??」
「これは、ホースラディッシュって言ってね?
別名西洋ワサビと言うんだけど、辛いのは、苦手かな??味を引き立たせてくれんだよ。
少し付けて食べてみて」
小さく頷き、1口食べる...。
むちゃくちゃ可愛い笑顔で、足をバタバタしてる...。
...惚れてまうやろぉー!
次々に、平らげている...。
皆様目で追いかけていた...。
「ユキ!!私達のはっ!!?
ないのか!!?」
サラから殺意の篭った目で、問いただされる...。
「お肉が、足らなかったのでありません...」
......みんな死の宣告をされたかの様な、絶望の表情をしていた...。
師匠は、魔力が少し吹き出していた。
ヤバイ殺される...。
コト
「冗談ですよ!
一人1枚しかありませんが...。
お肉の在庫が、これだけしかなく...すいません。」
置いた瞬間に、お肉が全てなくなる...。
ワサビのアクセントも良かった様で気に入って貰えたようだ...。
特に師匠とクレスさんサクラさんは、歓喜しているのが、わかる...。
1枚は、少な過ぎたかもしれない、自腹なのであまり多くは、買えなかったのだ。
でも肉食系女子多すぎないかっ??
獣人は好物なのがわかるが、エルフは、食べていいのか?
ガッツリ食べてますけど...大丈夫なのか??
「ユキ無くなったにゃ...。」
アオイが悲しそうに語りかけてくる...。
「ごめんね...また作ってあげるね...。」
頭を撫でながら答える。
気に入って何よりだ...。
「私ユキのお嫁さんににゃるにゃっ」
「あははっ!ありがとう、いつでも作ってあげるね」
冗談でもこんな数日で、こんなに好感を持って貰って正直嬉しい...。
ちっ
数人から敵意の目線が突き刺さる...。
サラは、足りなかったのか「何でアオイだけ...」っと文句を言っていた...。
いい大人?なんだから我慢して下さい...。
クレスさんが、昨日の経緯をサラに説明してくれていた...。
うちの師匠が子供ですいません...。
食べ物に対してうちの人達は、見境がなくなる...。
...食べ物の恨み(執着)は、怖い...そんなお話。
読んで頂き誠に有難うございます。
明日も同じ時間に投稿致します。
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